J (3.秘密の恋愛)
7. 葬式 (12)
私はレイの涙を見て深い哀しみを覚えました。 そしてこの哀しみの場にあって、 レイの彼氏の詮索をしていた自分を恥じた。
なんと言う破廉恥な。 ここは葬式の場ぞ。 色恋にうつつを抜かすなど不謹慎な。
きりりとたがが締まる。 いつもの工藤純一に戻る。
親族の焼香が済むと弔問者の焼香。 高い位置に座っていた私は三順目くらいに番がきた。
親族に礼。
レイと目が合う。
すみません、とレイの潤んだ目が語りかける。 私は、いや、と目で首を振り優しく労う。
若くして母を亡くしたレイ。 哀しみは如何ばかりか。 焼香しながら思い出すのは父のこと。
あの日は雪が降っていた、、、。(参照こちら)
仏様に手を合わせて。
どうぞ安らかにお眠りください。 レイちゃんのことは。。。
レイのことは! レイのことはいったいどうできるのだ!
いえ、 レイちゃんのために僕ができることを、 できるだけしますから、
何を! 何をできるだけするのだ!
あ、あの。 つまり、仕事のこととか、 そう、幸せな結婚をされるように、 仕事上の先輩としてサポートいたします。
ですから。 仕事の上でのレイちゃんにはご心配なく。 どうか安らかに、。
・・
私は遺影に深々と礼をしてその場を離れた。
振り返ると異常に長かった焼香に後がつかえていました。
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