J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年07月03日(土)    親族の焼香が済むと弔問者の焼香。

J (3.秘密の恋愛)

7. 葬式 (12)


私はレイの涙を見て深い哀しみを覚えました。
そしてこの哀しみの場にあって、
レイの彼氏の詮索をしていた自分を恥じた。

なんと言う破廉恥な。
ここは葬式の場ぞ。
色恋にうつつを抜かすなど不謹慎な。

きりりとたがが締まる。
いつもの工藤純一に戻る。



親族の焼香が済むと弔問者の焼香。
高い位置に座っていた私は三順目くらいに番がきた。

親族に礼。

レイと目が合う。

すみません、とレイの潤んだ目が語りかける。
私は、いや、と目で首を振り優しく労う。


若くして母を亡くしたレイ。
哀しみは如何ばかりか。
焼香しながら思い出すのは父のこと。

あの日は雪が降っていた、、、。(参照こちら



仏様に手を合わせて。

どうぞ安らかにお眠りください。
レイちゃんのことは。。。

 レイのことは!
 レイのことはいったいどうできるのだ!

いえ、
レイちゃんのために僕ができることを、
できるだけしますから、

 何を!
 何をできるだけするのだ!

あ、あの。
つまり、仕事のこととか、
そう、幸せな結婚をされるように、
仕事上の先輩としてサポートいたします。

ですから。
仕事の上でのレイちゃんにはご心配なく。
どうか安らかに、。

・・

私は遺影に深々と礼をしてその場を離れた。

振り返ると異常に長かった焼香に後がつかえていました。



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