J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年08月25日(月)    お知らせ


こんばんは。
エンピツのみなさん、初めまして。
Jean-Jacques Azurと申します。よろしくお願いいたします。
(HNが長ったらしいので、略称J、もしくはAZと呼んで下さい。)


私は他の日記サイト(ライコス)でこの『J(ジェイ)』という恋愛物語を書いていました。
これは私が長らく心に温めていた恋愛物語なのですが、
このたび、ライコスという日記サイトがなくなるという不測の事態が生じ、
ここエンピツにすべてのログを移行しまして引き続きこの物語を書き綴ろうとしています。

こちらでは以前ショートストーリーを書いていました。
が、コンテンツが手一杯になってしまったこともあり、2月から長らく放置していました。

エンピツユーザーのみなさんにおかれましては、いきなり来てなんだ、でしょうね。
どうぞ新参者ですが、毎日一生懸命書き綴りますので何卒よろしくお願いいたします。


さて、お知らせです。
本日ライコス日記のカウンターのアクセス数をこちらに引き継ぎました。
ライコス最後の日記を昨日UPした時点のアクセス数90171を加え、
今日91908よりこの『J(ジェイ)』を再出発することにしました。

(この件について快く相談に乗ってくださったエンピツサポートの有住さんにこの場でお礼 申し上げます。ありがとうございました。迅速なお返事と対応に感謝致します。)


執筆再開は9月1日を予定しております。
その前にINTRODUCTIONを書く予定です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 
                                  03/08/25  Jean-Jacques Azur


   2003年08月09日(土)    さようなら。(ライコスでの最終回)

2002/11/4より書き始めてはや9ヶ月が過ぎました。

今日現在のアクセス数87254(8/9 16:00)。

これまで何人の方がこの拙い物語を読んでくださったのでしょう。

心からお礼申し上げます。



私は世の中の外れで生きている取り柄のないただのサラリーマンです。

文才があるわけでもなく、小説でものになろうと考えているわけでもなく、
ただ書くことが好きで毎日続けて書くことに喜びを持って書き綴ってきたのです。

できれば、ずっとずっとここで書いていたかった。

ですがライコスという日記サイトがなくなるという事態にあっては、
私ごときはここから立ち去って消えて行くよりありません。

よって私はここでの執筆をこれで最後にするつもりです。

長い間ありがとうございました。



今後私は別の日記サイトで見知らぬ人々の中、
細々とこの物語を書きつづけることになります。

しばらくは過去ログを引っ越す作業をいたします。
新しい日記サイトでの執筆は9月からと考えております。

よろしければ9月以降下記URLにアクセスしてみてやってください。

宜しくお願いいたします。


引越し先 URL⇒http://www.enpitu.ne.jp/usr/712/diary.html


尚、『J(ジェイ)』を日記才人経由で読んで下さっている皆様におかれましては、
何ら変更の必要はなくそのまま9月より継続してお読みいただけます。
今後とも宜しくお願いいたします。
(日記才人の登録NOは22442です。未登録の方は是非加えてやってください。)



 ということで。

 みなさん、さようなら。いつかどこかでまた逢いましょう。

 その日までお元気で。


                            03/08/09 JeanJacques Azur


   2003年08月08日(金)    実家に戻る道々私は考える。これからのこと。

J (2.結婚)

14. 生と死 (11)


レイ、ちゃん、、、。通夜に来ていてくれていたんだ、、、。



私は気づいていませんでした。

通夜の間中、私は正面に向かい頭を下げていた。
その横をレイが通っていたとは。

社員の葬儀について会社関係の弔いはその部署の上役が葬式に参列する、
そういう決まりが会社にはありました。
際限なく社員が参列することを避けるための決まりごとでした。

なのにレイは、、、。

ひとりで来たのだろうか、、、。



受付は町会の世話人がやってくれていました。
私は手ががりを求めて挨拶がてらそのことを聞きにいきました。
覚えているわけはないと思いながらも。

しかし、レイのことは強い印象を持って記憶していたのです。

「ああ、この娘。覚えているよ。何だって最後のほうにひとりで来てね。
 ほら住所がずいぶんと遠いところだったから声をかけたんだよ。」

確かに。
レイの実家の住所が書かれている。
○×郡○×村、、、。
ああ、これはあの時履歴書に書いてあった間違いないレイの住所、、、。(参照こちら

「ずいぶんと遠いところから来たんだね、親戚の人?って聞いたんだ。」
「それで?」
「うん、そうしたら、いえ違います、知り合いです、とだけ言って。」
「ああ、会社で禁じられているから、」
「あ、純ちゃんの会社の人だったの?」
「ええ、僕の部下なんですが、、、そっか、わざわざ来てくれたんだ、、、。
 あいや、どうもすみません。だからドウだって事はなくって。
 いろいろお世話になりました。」

私は頭を下げる。町の世話人は思いやりを持った声で話し掛ける。

「純ちゃんも大変だな、子どもが生まれて、お父さんが亡くなって。
 お母さんの面倒もみなくっちゃね。同居するんだろ。これから。」
「いや、まだ、そこまで考えていなくって。いずれは、ですけれど。」
「ま、お母さんひとりじゃかわいそうだからな、よく考えてやんな。」
「はい。よく考えます。ありがとうございました。」



実家に戻る道々私は考える。

これからのこと。

みんなのこと。

私の大切な人々のこと。

妻。
生まれて来た子ども。


母。
友美さんのご両親。



そして、、、レイのこと。


だがレイのことはすぐにその場で取り消した。

首を振って。




(14.生と死、の項 終わり)



《第二章 結婚 終わり》



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この日記は全てはフィクションであり、
実在する人物をモデルにして書くものではありません。

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本日を持ってこのJ(ジェイ)の第二章を終わりにします。
明日はライコスの思い出と今後の執筆予定と移転先などをUPいたします。
長い間どうもありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

HP URL⇒http://bulari.chu.jp/



   2003年08月07日(木)    生きているその人々のために私は生きていく。

J (2.結婚)

14. 生と死 (10)


苑晩、父の通夜がありました。

私は友美さんの実家で全てを話し、
そしてとんぼ返りをしたのでした。

季節外れの雪は止み、
帰る頃には道の雪も解け、
滞ることなく私は戻れたのです。



私には大切な存在がある。

妻。
そして生まれて来た子ども。


母。
そして友美さんのご両親。


生きているその人々のために私は生きていく。

私は厳粛にそう感じながら父の葬儀を終えました。



父の葬儀には友美さんは参列できませんでした。
出産したばかりの友美さんにとっては当然のことでした。


運命。

君のおかげでゆきが生まれた。

ありがとう。

私はそう友美さんに声を掛けたものでした。



・・


翌日。

葬儀が終わり参列してくださった方々にお礼をするために、
私は記帳していただいたものを見ていました。


私はそこにレイの名前を認める。


そしてこれが次の章への布石となる。



   2003年08月05日(火)    もう生まれたのだろうか!

J (2.結婚)

14. 生と死 (9)


・・

病院に着いたのは翌朝5時過ぎでした。

雪はやみ静けさが漂う駐車場に車を止めて、私は車を降り入り口を探しました。


、、正面玄関は閉まっていました。

私は裏口を探し、うろうろと病院の周りを回りました。

、、どこにも入れそうなところはありませんでした。


仕方なく私は急患の呼び出し用のインターホンを押してみました。

「はい?」
「あっと。朝早くすみません。こちらで出産する工藤友美の夫なんですが。
 中には入れなくって。どこから入ればいいんでしょうか?」
「ああ、昨夜入院された方ね。ちょっとお待ちください。」

しばらくして入り口のカーテンがあき、中から看護婦さんが顔を出してくれました。
そして私の顔を確認してから鍵をあけてくださいました。

「面接時間は8時からなんですが、、、。」
「え、ええ、しかし、生まれると連絡をうけて、
 それでこの時間まで車を飛ばしてきたんです。」
「まぁ。この雪の中を。それはそれは。」
「ですから、なんとか、見舞いをさせてもらえませんか。」

看護婦さんは少し考えてから、「では、どうぞ。」と私を招き入れてくださいました。


(もう生まれたのだろうか!)

私はそれが知りたかった。

廊下を黙って歩きながら胸が高鳴る。

「あの。」
私は肝心なことを聞こう、そう思って声を出しました。

看護婦さんは私の顔を見てにっこりされました。
「可愛い女の子、ですよ。ホント、今日のこの雪のように色の白い。」
「、、、ああ。そうですか、、、。女の子、ですか。」

「奥さんも無事で。安産でした。」
「、、、ああ。そうですか、、、。安産、でしたか。」

「こられてすぐに、時間もそうかからなかったのですよ。」
「、、、ああ。そうでしたか、、、。よかった、、、。」

「なので付き添いの人も暫くで帰られて。
 今は奥さんとお子さんが一緒の部屋で休まれているわ。」
「、、、ああ。そうですか、、、。よかった、、、。」

私は言葉が浮かんでこなかった。
ただ看護婦さんが言うことに対して反復するがやっとだった。

よかったと、そう思う、そう安堵する、それしかできない。

そんな私でした。


・・

病室に入り友美さんと子どもの寝顔を見る私。


私は眠っているふたりにそっとキスをしました。


友美さんには、「ありがとう。」と言う言葉を添えて。

生まれ来た子どもには、「ようこそ。」という言葉を添えて。



私はこの子に「雪子」という名を付けました、、、。



   2003年08月03日(日)    母子共に無事であってくれればいい。

J (2.結婚)

14. 生と死 (8)


夜中の雪降る高速道路を東へ。
はやる心。

しかし車は遅々として進まない。
往生している車があるようだ。

(ち、チェーン規制かよ、、、)

料金所の脇でチェーンを装着する。

凍える手。

(あ〜あ、こんなことをしているうちに生まれちゃうんじゃないかな、、、。)

私は天を見上げて溜息を吐く。

雪が私の顔に降り積もる。


普段であれば3時間もあれば着くはずの友美さんの実家のある町が、
今夜はきっと倍の時間がかかるだろうよ。

着くのは明け方かぁ。



母子共に無事であってくれればいい。

オレの望みはそれだけだ。

オレは君たちを守り生きること約束する。

だから無事に。

生まれてきてくれ。



やがて海沿いの道は大きく半円を描き山間の道となる。

雪は深く降り積もる。



待っていろ。

きっとオレは間に合うから。


+++

HPを引越しました。
BOOKMARKしてくださっている方はお手数ですが変更願います。
新URL⇒http://bulari.chu.jp/



   2003年08月02日(土)    子どもが生まれる!

J (2.結婚)

14. 生と死 (7)


「はい。工藤ですが、、、。」
「あ、純一さん、良かった、そちらにいて。」

(お義母さん!)

「純一さん、友美が、生まれそうなのよ。今、産気づいて。
 車でこれから病院に行くの。お義父さんが車を今出してきて。」

(!)

「病院は知っているわね、じゃ、待ってるからね、急いで来てっやってね。」
「は、はい、今からすぐに。そちらに向かいます!」
「雪道だけど、気をつけてね。、、、そちらのお父さん、お母さんによろしく伝えて。」
「は。はい。」(それでですね、)
「何?、あとでこちらで聞きますわね、もう行くのよ。じゃ、」


電話はそれで切れた。
慌しさが耳に残る。

子どもが生まれる!

ああ、ああ、なんという巡り合わせなんだ。


・・

「お母さん、友美さんが、」
「うん、すぐに行きなさい、向こうのご両親によろしく言っておくれ。
 その子は、お父さんの生まれ変わりだよ、。大事にしてあげて、ね。」
「はい、明日の午後には帰ってくるから、ちょっと行ってくる、」


「どうしたんだい、純一君、。」

様子が変なことを察した叔父が私に声を掛ける。

「子どもが、。生まれそうなんです、。」
「そりゃ、また、拠りによって、、、、。」
「、、、叔父さん、お母さんのこと、ちょっと頼みます。すぐに出かけないと。」
「ああ、だが、純一君、お父さんの葬式は。」
「すぐに、帰ってきます、よろしくお願いします。お願いします。」

私は頭を畳に擦り付けるようにして叔父に全てを頼みました。
叔父は「分かった、気をつけてな、」と言ってくれました。


私は取るも取り合えず表に出る。

車のエンジンを回す。


雪、雪が降っている。

季節外れの雪が。


この雪は私の心の中にまで降り積もり、

静粛な心持ちを私にもたらすのです。


私は父の死と子どもの生を静かに受け入れつつありました。



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