J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年03月31日(月)    私は友美さんの涙にキスをしました。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (14)


「ごめんね、トモミさん、こんなオレで、、、」

そのひと言で友美さんの目から堰を切ったように涙が溢れました。

友美さんは嗚咽を上げながら、

「純一さん、ありがとう、ありがとう、」と何度も言うのです。


私は友美さんの涙にキスをしました。

そして目じりにも。

瞼にも。


優しく優しく優しく、
そっとそっとそっと、


私は嗚咽を上げる友美さんの唇にキスをしました。

震わせる肩を抱きました。


優しく優しく優しく、
そっとそっとそっと、


・・

友美さんにキスをしながら、
私の中で何もかもが流れ去っていく。

昨夜の出来事、ジェラシー、疑問、過去、、、


これからは、あるがままに君を愛するよ、トモミさん、、、


・・

しばらくして。


急に私はおどけて言いました。
「あ〜あ、これじゃあ、丸見えだよ、トモミさん。ほら。」

そう、私たちは大通りの道端に車をとめていちゃついていたわけで、、、。
まだ昼の2時ごろだったわけで、、、。

友美さんは恥かしそうに顔を赤らめました。


「よし、出発だ、もうすぐ錦ヶ浦に着く。いい景色だゾ、」

そう言って私はウインカーを出しました。


友美さんはコックリ頷きました。嬉しそうに、、、。



(5.新婚旅行、の項 終わり)



   2003年03月29日(土)    私は友美さんの肩を抱きました。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (13)


友美さんを呼び捨てにした男、長谷部健二。
その男にジェラシーを感じた私。
その男と知美さんとの関係は?

今まさにそのことを友美さんに聞こうとしているその矢先、
友美さんは私に「ごめんなさい、純一さん、」と言った、、、


友美さんは海を見ていました。
私は車を頭から海に向けて止めました。
ふたりの目の前には熱海のロングビーチが広がります。

「え?、ごめんなさいって?、、、どういうこと?」

私は黙っている友美さんにもう一度聞き直しました。


友美さんは私のほうに顔を向けました。
その顔はとてもすまなそうな顔でした。

「ごめんなさい、純一さん、私がこんなばっかりに、、、」

「どういうこと?」

「純一さん、新婚旅行で南の島に行くの、とっても楽しみにしていたでしょ?
 それなのに、私が、その、だから、行けなくなって、」


  友美さんは妊娠していました。(参照こちら
  そのために大事をとって私たちは予定を変更し、
  近場の温泉に行くことにしたのでした。


「何をおバカなことを言ってるんだ、それはつまり、オレの、、、」

オレの不注意、と言いかけましたが、それは生まれてくる子どもに申し訳ない。


私は友美さんの肩を抱きました。
そして堪らなく愛しい思いに溢れ、夢中にキスをしました。

何度も何度も、、、。

キスをしながら、私は心の中で友美さんに詫びるのです。


ごめんね、ごめんね、

ちょっとでも君のことを疑って、ごめんね、

君は僕の心のうちをまったく知らないのだろうけれど、

僕はつまらぬジェラシーのために君を疑っていたんだ、


ごめんね、ごめんね、ごめんね、、、


・・


そして、、、私はある決意をするのです。

長谷部健二のことはもう聞くのはやめようと。



いいじゃないか!
一番悪く考えてそれを認めておけばいいじゃないか!

あの男と友美さんは何かがあって、そして今も何かがある。
お互いに惹かれあっている。
それでもいいじゃないか!

何もないかもしれない。
それでもいいじゃないか!

関係ないじゃないか!

オレには友美さんの心のうちを束縛する権利はない!

オレにとって大切なことは、
今この目の前にいる愛しい友美さんを信じ、愛することじゃないか!


オレを慕って、オレを愛して、オレと結婚してくれて、
オレの子どもを産んでくれて、オレと共にその子どもを育ててくれる友美さん、

今目の前にいるこの愛しい友美さん、

関係ないじゃないか、あの男がどんな男だって!!!


・・

長いキスの末に私は言いました。

「ごめんね、友美さん、こんなオレで、、、」




   2003年03月28日(金)    聞いてしまえ!

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (12)


(ケンジ?)、、、くっ、また、呼び捨て、で、呼んだ、な、、、。

私は一瞬、ハンドルを握る手に力が入りました。

人の気も知らないで、、、。



私はもう我慢がならない、そう感じました。

聞いてしまえ!
そんな気持ちになりました。

(あの男は君のことが好きだったんじゃないのかい!?、そして君は、、、!)

その言葉がもう喉元まで出掛かりました。

喉元まで!


ところがその時。
私が直接に友美さんとあの男の関係について触れようとした、まさにその時。

窓の外の海を見ていた友美さんが、急にこんなことを言ったのです、、、

「ごめんなさい、純一さん、、、」



私は言葉を飲み込みました。

ごめんなさい?何が?どうして?

「え?、」

…私は(え?、)と聞き返すより他に言葉がありませんでした。



あの男のこと?


何がごめんなさいなの?



   2003年03月27日(木)    お人よしなのよ、ケンジって、、、。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (11)


友美さんは少し考えるような仕草をし、

そしてこう答えました。

「う〜ん、よくワカンナイ、、、。」


いつでも友美さんはこうでした。
他人について自分の意見を述べることがない。
当り障りのない言葉でその場を濁す。
決して敵を作らない生まれついての性格が彼女をそうさせていました。



けれど、、、私は聞きたかった。


ちょっとだけ、ちょっとだけでいいんだ。

オレのジェラシーを抑えるために、ちょっとだけ、、、


私は思い切ってこう聞きなおしました。
思い切って。

「トモミさんは彼を子どもの時からよく知っているんでしょ?
 君の知っている彼ってどうなんだろうなぁ、もてないタイプなのかなぁ?」



・・・友美さんはすぐには答えませんでした。

言葉を探しているようでした。

・・・私は待ちました。


少し間を置いて友美さんは言いました。

「お人よしなのよ、ケンジって、、、。みんなからの人気はあるの。
 みんなからケンジ、ケンジって声かけられて、みんなから慕われてるの、
 でも、、、いいように使われいて、、、。いい人ってかんじかな、、、」



いつしか二人の車は熱海に入りました。

私はロングビーチ沿いに車を走らせる。

友美さんは車窓の外の海を見ていました。



   2003年03月26日(水)    しかし、君はあの時、あの男を見ていたね!

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (10)


私と友美さんは社内恋愛です。

それも交際らしい交際は数ヶ月のことに過ぎず、

友美さんの21歳の誕生日の夜、

私は感極まった友美さんに思わずプロポーズをしたのでした。(参照こちら


私は友美さんを、友美さんは私を、その時から深く知り、
それ以前のお互いのことは殆ど知る由もありませんでした。

ふたりはふたりの結婚を実らせるためにふたりの時間を過ごしたからです。


私が何かしら友美さんの過去について知ったところで、
そして結婚をした今となっては何も変わることはないのですし、
かえって無用の心労をお互いにするだけのことなのです。



そんなことは分かっている。


いいよ、高校時代のことなんて、
いいよ、祭りの時にあの男と一緒にいたのであっても、
いいよ、あの青いセーターをあの男にプレゼントしたのであっても、


いいよ、いいよ、いいよ、

今、君がここにいて、君の心が僕のものならば、、、

いいよ、、、

いいんだよ、、、


しかし、君はあの時、あの男を見ていたね!
オレじゃなくって、あの男を!


そこだけなんだよ、、、


そこだけなんだよ!
オレの心がジェラシーに囚われている原因は!

、、、。


だが。


けれども。


私は、、、聞くのはやめようと決めたんだ。

だから、だからだからだから、

ちょっとだけ、教えてくれよ。


あいつはどんな奴なのか、ってことだけを、、、。



私はそんな心中の葛藤をまったく表に出しませんでした。
変わらない態度と口調を保ったまま話を続けました。
にこやかに話し、落ち着いて運転をしている私です。

「高校もかぁ、じゃ、トモミさんとはホントに小さい時から一緒だったんだね。
 彼、優しそうだから女の子に人気あったんじゃない?」



   2003年03月25日(火)    高校時代の友美さん、、、。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (9)


高校時代の友美さん、、、。

テニス部の副部長をやっていて、、、。

あとは、、、。なんだろう?


私は思い巡らす。
これまで友美さんとの付き合いの中で、
友美さんの高校の頃の話題がいかほどあっただろうか。

高校時代の友美さんについて、私はほとんど何も知らないのだ。

はたしてどんな高校生活を送ってきたのだろう?



これまでは興味もなかった。
それがどんなものか、おおよそ想像してそれで終いだった。

友美さんも話すことはなかった。
私も聞くことがなかった。

友美さんは私に話すような特別なことはない、そんなふうだったので。
話すようなことはない、それを恥ずかしそうにしているふしがあったので。

もとより、過去の恋愛についてなど、聞くつもりはなかった。



…なぜなら、私が聞くってことは私も話さなくてはなりません。

過去のこと、終わったこと。

わざわざ悲しい思いをさせるために真実を語るべきでない。


恋愛に過去なんか関係ない。

目の前の相手を愛する。信じる。


互いの過去について聞かず語らずにいて当然、

私はそう考えていたのですから。(参照こちら



しかし、、、。

それはその対象となる男が過去の存在であるが故のこと。

現実に目の前に現れたその男の存在は、、、。

如何にしても私の心を動揺して止まないのでした。



私はある日友美さんの部屋で友美さんのアルバムを見たことがあります。

小さい頃からの写真のアルバムです。

子どもの頃はまるまると太っていた友美さん。

成長するに従って健康的な少女になり、そして大人になっていく。


高校時代。

お祭りの写真。

ハッピを羽織って威勢のいい友美さん。

そして、、、。


そう、そこに、確か、

一緒にではないがその写真の隅に、確か、、、。

ああ、朧げながら、あの男が写って見える、、、。



自宅で写した青い手編みのセーター姿の写真。

「ずいぶん大きいセーターだね、」
「えへへ、お父さんに編んであげたの、」
「へぇ、上手だね、」
「今度、純一さんにも編んであげる、ね、いい?」
「え、いいの?、楽しみにしているよ、」

、、、。


あの手編みの青いセーター、本当は誰の?



   2003年03月24日(月)    聞きたいことはこういうこと。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (8)


昨夜友美さんは私の前で、あれほど「ケンジ」、「ケンジ」と、

あの男、長谷部健二のことを親しげに呼び捨てで呼んでいたのに、

今私に聞き返した言葉では、「ハセベくん?」と名字でした。



私は一瞬、友美さんに私の心のうちのジェラシーを見透かされて、
友美さんはちょっとの慎重さを言葉に込めてそう言ったのかとも思いました。

…ほんの一瞬です。ほんの一瞬だけ、パッと心によぎっただけです。

友美さんの言葉の調子には、私は特別なものを感じ得ませんでしたから。



「そうそう、長谷部君、、、。彼、どんな人?、」

友美さんは(何故そんなこと聞くの?)という、そんな顔をして、

「どんな人?、って?、」とまた聞き返してきました。



私の頭の中はくるくる回りました。
聞きたいことはこういうこと。
君にとってあの男はどんな人なのかっていうこと。

あの男とドレくらい親しいのかっていうこと。
あの男とどんな付き合いがあったのかっていうこと。

確かに君にとっての初めての男はオレだよ、それは分っているよ。
そんなことを言っているんじゃない。

今、君が思うにあの男は君にとってどういう存在なのか、
それが知りたいんだよ。


昔は仲が良かった、今も仲が良い、しかしそれは幼馴染として。
それだけのこと。
それだけのことなんだよね、、、。


しかし、あの男はオレよりも君のことを知っている。
君の子供の頃から今までのこと。
オレの知らない君をあの男は知っている。

く、くやしい、、、。


あの男じゃないのか!
結婚を5年待って欲しいって電話をよこしてきた、あの男じゃないのか!

、、、。


だが。


けれども。


私は、、、聞くのはやめようと決めたんだ。

だから、だからだからだから、

ちょっとだけ、教えてくれよ。


あいつはどんな奴なのか、ってことだけを、、、。



私は運転に注意しながらタバコに火をつけました。

友美さんはいつも通りに、すっと灰皿をだしました。



私は一服をつけてからにこやかに話を続けました。

「ありがとう、、、。どんな人って、つまり、さ、子供の頃とか、
 今何やっているのかとか、う〜ん、小学校が一緒だったんだっけ?」


友美さんはなあ〜んだ、という顔付きで答えます。

「そういうこと?、うん、小学校も一緒だし、高校も一緒だったのよ、」



高校も?



   2003年03月23日(日)    しかし、、、聞いてどうする?

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (7)


友美さんは、「ハゼベくん?、」と語尾を上げて聞き返してきました。

その言葉の調子には、私は特別なものを感じ得ませんでした。

「そうそう、長谷部君、、、。彼、どんな人?、」

私はさりげなく普通に聞いてみました。

私はこの問いに対する友美さんの答えに、全てを預けようと考えていました。



というのは、、、こういうことです。


私は友美さんの言葉の中に何もないことを感じていました。
そう信じることが本当のことだと考えました。

長谷部健二は、ただの幼馴染、それだけのこと。

…言外にそういう雰囲気を感じさせるような、そんな友美さんでしたから。


昨夜私が感じた胸騒ぎ、ジェラシーや疑問、、、
それらは私の一人よがりであったのだと、私はそう結論づけよう。
運転をしながら私は心の中でそう決めました。


聞きたいことは、やっぱりある。
私は昨夜の疑問を数々思い出す。(参照こちら

しかし根掘り葉掘り聞くことに価値があるのだろうか?


友美さんと長谷部健二はどの程度の付き合いがあったのだろう?
幼馴染とはいえ呼び捨てで呼び合う程のあの親しさは?
声をかけてもいないのにワザワザ結婚式の二次会に来たのは何故?

、、、あの電話の男?

友美さんに結婚を5年待って欲しいと電話を掛けてきたという男は?


君は何故あの時オレを見てくれていなかったの?


しかし、、、

聞いてどうする?

恋愛に過去なんか関係ないのに。

目の前の相手を愛する。信じる。

それだけなのに。

まして、オレと友美さんはもう結婚して夫婦となったというのに!



内心は、、、聞きたくて聞きたくて仕方のない私。

けれど私は、、、聞くのはやめようと決めた。


その私にとっては、
「そうそう、長谷部君、、、。彼、どんな人?、」というこの問いは、
この問いに対する友美さんの答えだけで、私の全ての疑問を解決しよう、
そういう意思と意味を込めた、たった一度、これっきり、という、
自分としてはここに葛藤の終止符を得んとする、そんな思いを込めた問いでした。


(難しい奴だな、、、このオトコ、)



   2003年03月22日(土)    車の中での私と友美さん。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (6)


新婚旅行は熱海から伊豆をゆっくり回る予定でした。

私たちは高速道路を西に向かいスムーズに車を走らせました。

途中サービスエリアで軽い昼食を取り、3時過ぎには錦ヶ浦に到着しました。



車の中での私と友美さん。

私が黙ると友美さんは黙ります。
私がず〜っと黙っているといつまでも友美さんは黙っています。

ですから、私はたまに不安になって、
「どう?、退屈じゃない?」と聞いたりします。

そうすると友美さんはいつでもニコっと微笑んで、
「ううん、」と首を横に振ります。


私はできるだけ友美さんに楽しい思いをしてもらいたい。
そう思う一心であれこれ話題を持ち出しては笑いを誘いました。

昨夜の結婚式の話題は、話し出すと尽きませんでした。

ああだったね、こうだったね、と間を外すことなく二人は話しました。


・・


  私は友美さんと二人きりになるといつもこうなります。

  以前にも話しましたが(参照こちら)、何故ならいつでも私は私の世界の中に、
  友美さんの過ごしやすい世界を作っておいてあげなければならないからです。


・・


さて、結婚式の話題、そして二次会の話題、、、
話はあの友美さんを呼び捨てにしたあの男の話題になります。



私はその男にジェラシーを感じたことなんて少しも顕わにしないで、
平然と、さも偶然にその男の話題になった、気にもしていなかった、
そんなふうに装いながら、その男の話題に触れてみるのです。


内心は聞きたくて聞きたくて仕方なかった、のですが。



私は、とぼけた口調で、車の運転に注意をむけながら、
どうでもいいような話のように話を切り出してみました。


「そう言えば、あの、なんて言ったかな、あの男の子、
 ほら、ビールの一気のみに出てた、あ〜、君の幼馴染とか言う、、、」



ちらっと横目で友美さんを見る私。

その視線はとっても優しげにしています。


友美さんの表情は変わりませんでした。

私のちょっとの視線に気づき、にっこりしました。



   2003年03月19日(水)    嗚呼、時の権力者よ、名も無き民の声を聞いて悟れよ、…

この後に及んで何を私ができるのか。
しかし、声だけは上げていよう。
名もなき小さな声であろうとも。


私が日本の子どもを愛するように、
きっとイラクの人々も子どもを愛している。

私が日本の子どもを愛するように、
きっと米国の人々も子どもを愛している。


何で殺しあうのか!何で武力で争うのか!



前世紀、私たちはその悲しみを十分に勉強した筈なのに、、、。


嗚呼、時の権力者よ、名も無き民の声を聞いて悟れよ、

おのれの子どももやがてその戦火に泣くことを。




03/03/19 Jean-Jacques Azur

+++

※小さな声をあげよう。こちら




   2003年03月18日(火)    何ということよ、これが新婚生活の第一日目なのに!・・・

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (5)


私は今朝から本当にどうにかしているのです。

ジェラシーを感じたり、キスをしたり、「抱きたい、」と言ったり、

挙句はおのれの振る舞いを恥じて落ち込んだ気分になってしまう、、、。


何ということよ、これが新婚生活の第一日目なのに!

、、、


とは言え、こうした私の心の内部の感情の起伏は、
私の心の中だけで起こっていることで表面には出ていません。

表面上はいつも通りの私。

ひょいと冗談を言って、友美さんを笑わせて、
次にやるべきことがあれば、あれこれ先に先にと手を回してあげて、
友美さんから見ればいつも通りの頼りになる私、でした。


ですから、私の心の内の動きは、
友美さんには全く分かり得ないことであったと思われます。


・・

昼前になりました。

私たちは車に荷物を積み込み、
いよいよ新婚旅行に出発します。

ここから3時間のドライブです。

その時間になると、私はアルコールも抜けてきて、
正常な思考ができるようになっていました。


先程の揺れ動いた心はアルコールが残っていたせいなのかな?、
私はそう思いながら車のハンドルを握りました。

助手席には変わらない、
目が合えば微笑んでくれる友美さんがいました、、、。



   2003年03月17日(月)    友美さんは困ったような顔をして、訴えるように言いました。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (4)


私は立ち上がり友美さんに近づきました。

奇妙な笑顔を浮かべ「いや、何でもない、」と言いながら、、、。

友美さんはキョトンとした顔をして、「変なの〜」と言いました。


(まったく持ってして私は変だ。)

私は友美さんに近づいて、「ちょっとさ、」とか言いながら、
また友美さんを抱きしめてキスをしました。


  何故?
  何故君はあの時オレじゃぁなくってあいつを見ていたの?


私はキスをしながら心の声が友美さんに聞いている、、、。

、、、それは友美さんには届かない声。


友美さんは私のキスを純粋な愛情表現として受け入れている、、、。
同じ時に同じキスを共にしながら、違う意味合いを持つキス。


  だめだ!
  ひとつにならなきゃ、、、
  ひとつにならなきゃ、だめだ!


私は再び本能的に友美さんをとの交わりの必要性を感じました。
「トモミさん、やっぱり、抱きたい、今、」
「も〜、純一さんたら、夜に、って、」

友美さんは、今度はきつく私を拒みました。


私はちょっぴり不機嫌になりそうでした。
しかしそれも大人気ないこと、すぐに気を取り直して言いました。

「何でだよ〜、オレたちやっと夫婦になったんじゃないか、」


友美さんは困ったような顔をして、私の目を見つめ訴えるように言いました。

「だから、だからなの、結婚して初めて、でしょ?
 だから、大切にしたいの、ね、分かって、、、。」



私は自分勝手なおのれの振る舞いを恥ずかしく感じました、、、。



   2003年03月16日(日)    そうだ、その時、、、。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (3)


幼馴染のオトコが友美さんを呼び捨てで呼んだ。
友美さんが幼馴染のオトコを呼び捨てで呼んだ。
そのオトコは呼んでもいないのに私たちの結婚式の二次会に来た。

…事実。


そのオトコ、もしかしたら、
友美さんに結婚を5年待って欲しいと電話を掛けてきたあの男かもしれない。

…推測。


それだけのこと。
それだけならどうということはない。
確かにそれだけならどうということはない、オレがどうかしていただけ。

呼び捨てで呼んだこともない友美さんを呼び捨てにされて、
目の前で妙に馴れ馴れしくされて、
そのことに対してオレは妬きもちを妬いた。
それだけのこと。

アルコールが私の平常な判断を狂わせて、
普通に考えれば気にすることもない程度のことを異常に大きく考えて、
それが心の中で増幅して極端なジェラシーとなって表れた、、、。
それだけのこと。


オレは異常だった。
取るに足らないことにジェラシーを覚えた。

オレは異常だった。
あの奇妙な行動は何だ!

オレは吐いてまで一気呑みで奴に勝とうとした。

一気呑み!?
いい年こいて、アホやんか、、、!


しかし。

その根底にあったのが、
取るに足らないことに対する取るに足らないジェラシーだった。


それだけのこと。
それだけのこと。


ん?、、、。



それだけではなかった、、、!



その時、

そうだ、その時、、、。

友美さんは、私を、見て、いなかった、、、。

友美さんは、あのオトコ、長谷部健二を、見て、いた、、、。


何で?

 ・・

そこまで考えて、私の胸はギュウンと潰れそうになりました。

私は堪らず、「トモミさん!」と大きな声で友美さんを呼びました。


友美さんは台所から茶の間に顔を出し、ビックリしたように言いました。

「どうしたの?、純一さん、」


 
・・友美さんは呼べばすぐにそこにいました、、、。



   2003年03月15日(土)    果たして私の感じたジェラシーはなんだったのだろう?

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (2)


私は友美さんの身体を腕の中から離しながら、
「う、うん、そうだね、そうそう、時間もないし、夜にネ。」
と言いました。

友美さんはちょっぴり顔を紅潮させて私から離れました。



時間もないし、、、

そう、私たちはこれから新婚旅行に出かけるのでした。


新婚旅行は友美さんの身体の大事を取って海外旅行をキャンセルし、
近場の温泉にゆっくり行くことにしてありました。
車で3時間もすれば目的地に着きます。
私たちは時間に余裕を取って昼前に出かけることにしてありました。



友美さんが初めて作ってくれた朝食。
二人で向き合って初めて食べる食事。

私は食べながら、(ママゴトみたいだなぁ)と思いました。


 ・・・

朝食が済んで、私は頬杖をついてタバコを吸っていました。

友美さんは台所で洗い物をしていました。

私のところから友美さんの姿は見えません。


「トモミさん、」
「なあに、純一さん、」
「いや、呼んでみただけ、」
 
 ・・

「トモミさん、」
「はい?、」
「えっと、身体の調子はどう?」
「平気よ、」
「そっか、そりゃ、よかった、」

 ・・ 

私は朝食の後片付けをしている友美さんに何度となく話し掛け、
そこに確かにいる自分の妻である友美さんを確認しました。


呼べばすぐにそこにいる友美さん、、、。


果たして私の感じたジェラシーはなんだったのだろう?



   2003年03月14日(金)    5. 新婚旅行 

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (1)


結婚式の翌日。

私は友美さんに揺り動かされ起きました。

私は二日酔い。昨夜のアルコールが体中に残っていていました。


「純一さん、朝ですよ、」

食卓には朝食の準備が整っていました。
ご飯、お味噌汁、目玉焼き、そんな程度のものでしたが。


「おはよう、えっと、今何時?」

「もう9時よ、お食事できる?」

「う〜ん、でも、せっかくだから戴こうか。」


正直を言えば私は食べられるような状態ではありませんでした。
でも、せっかく友美さんが作ってくれたんだもの、戴かなくっちゃね。


友美さんはすっかり着替えも済んでキチンとしていました。
髪を編みこんでエプロンをした“カワイイ奥さん”、そんな雰囲気です。

私は対照的に二日酔いのヘロヘロオヤジ。
どうにも不釣合いな新婚生活のスタートでした。


(やっぱ、おはようのキスぐらいした方がいいのかな?)
(でもなぁ、お酒臭いしな、、、失礼かな、)
(いや、新婚生活初めての朝なんだもの、キスぐらいしてあげないと、)
(でもなぁ、、、)


「どうしたの?純一さん?、、、何か私の顔に付いていて?」
「ん?、違う違う、ちょっと考え事していたんだよ、」
「何かしら?」
「君にキスをしたもんかどうか、ってね、酒臭いだろ、オレ?」
「ううん、、、平気、」
「そっか、じゃ、こっちにおいで、」


友美さんはしおらしく私の傍らにきて、目を閉じました。

私は友美さんの唇にそっとキスをしました。

私は心の奥底に何かを感じました。


ジェラシー。


昨夜の出来事が私の脳裏に浮かび上がって、
私は友美さんを確認したくなった。

君の心はオレのもの、だよね!


私はたまらずぎゅっと友美さんを抱き締め、
耳元で「抱きたい」と囁きました。


友美さんは、「夜に、お願い、」と甘えた声で言いました。



   2003年03月13日(木)    私は、そのまま寝た、のです。

J (2.結婚)

4. 二次会 (18)


勝負はあっという間に終わりました。

私は一瞬の懐疑の中で出遅れて、途中でリタイアしてしまいました。

勝ったのは長谷部健二ではなく、鏑木さんでした。

長谷部健二は私がリタイアしたのを見、ペースを落としたのでした。




勝負が終わると私は急に酔いが激しく回った感がありました。
私はもう飛んでしまっていました。


その後もいろいろとバカ騒ぎが続きました。
ですが私は断片的にしか思い出せません。
もう記憶の外の出来事となってしまっています。


二次会が終わり、三次会に行き、四次会へ、、、。


誰がどうしていたかも思い出せません。
いつしかひとりふたりいなくなって、
最後はよく知った仲間内だけになっていたようです。


長谷部健二は二次会で帰ったようです。
いや、三次会だったかもしれません。

いずれにせよ、私はその時以来、長谷部健二とは会ったことはない。
ですが、たった一回の邂逅で固く私の脳裏に焼きついたあの男。
友美さんを呼び捨てにしたあの男。


レイは三次会の途中で帰りました。
たぶん終電になって会社の連中と一緒に帰ったはずです。
私は「じゃな、あと頼んだぞ、」と大声をかけた記憶があります。

その時のレイは、「ハイ、」と言い、手を小さく振って出て行きました。
私も手を振った、小さく、。


四次会では私はまったく時間の観念を失っていたようです。



午前2時を回ろうかという時間になって、
その時に残っていた誰かがタクシーを呼んでくれて、
私と友美さんが押し込まれ行き先を告げられ家路についた、、、。


新居である社宅に着いた途端、
私はトイレに行きベロベロに吐いた、、、。


そして、私は真新しいふとんに潜り込むようにして入り、そのまま寝た。


何もせずに、そのまま寝た。

友美さんの隣でそのまま、寝た。


ひとつになることもなく、そのまま寝た、のです。


私と友美さんの新婚生活はこうして始まったのでした。



(4.二次会、の項 終わり)



   2003年03月12日(水)    私が一瞬の懐疑に入っているまさにその時に!

J (2.結婚)

4. 二次会 (17)


その時、友美さんは私を見ていなかった。

その時、レイは私を見ていた。

レイは私と目が合って、そしてすぐにそらしました、あの時のように、、、。




あの時、、、あの時は花火の夜でした。(参照こちら

あの時、、、あの時は友美さんは私の視線にすぐに気づいた。
あの時、、、あの時は友美さんは私に微笑を返してくれた。
あの時、、、あの時、、、あの時。


そう、

あの時も、、、私とレイは目が合って、、、

しかし、

あの時は、、、私がレイから目をそらした、、、



そして、今のこの状況はなんだ?


友美さんは、私ではなく、あのオトコを見ている。

レイはオレと目が合って、そしてレイが私から目をそらす。



なんだ?なんだ?なんだ?

、、、。


その時、幹事がスタートの号令の声をあげた、、、。


私が一瞬の懐疑に入っているまさにその時に!


「始め!」



   2003年03月11日(火)    その時友美さんは私を見ていなかった。

J (2.結婚)

4. 二次会 (16)


今思い出しても本当に馬鹿げた話です。

たかだかビールの一気呑みのために吐いてまで勝とうとするなんて。

でもその時私にはそれしか選択肢がなかった。
ぐるぐるに酔っ払っていて正常な判断ができなかった。
ただ、あのオトコには負けてはならない、そんな思いだけが優先された。


、、、。

本当は友美さんとレイの前でいい所を見せたかっただけなんです。

それだけなんです。

それなのに、、、。

、、、。



決勝戦は私がトイレから戻るとすぐ始めました。
幹事の掛け声で5人が呑み始める。


「用意!、」の掛け声。

私は鏑木さんと私の友人をちらりと確認した。
目が笑っている。がんばれよ、そんな感じが漂っている。

私はあのオトコ、長谷部健二に目をやる。
奴は、会場を凝視していた。


ふん。
ならば、やってやろう。


私は先ほどの一回戦と同じように、
大ジョッキを手にし一息吐き、ぐっと腹に力を入れる。
飲むのではなく流し込む体制に入る。


私は友美さんとレイが座るテーブルに目をやる。
先ほどと同じように。

先ほどは、二人とも固唾を飲んでじっと私を見つめていた。
先ほどは、そうした二人を見て、これだ、これでいい、と思った私。
先ほどは、そうした二人に、オレは絶対勝つからと二人に合図を送った、、、。


しかし、、、。

その時は、違った、のです。


その時、私が友美さんとレイ、二人が座るテーブルを見た時、、、


友美さんは、私を、見て、いなかった、、、。

友美さんは、長谷部健二を、見て、いた、、、。


そして、、、


レイは、私を、見て、いた、、、。

レイは、私を見ていていてくれた、、、のです。



   2003年03月10日(月)    くっ、そ〜。こんなことで負けてたまるか!

J (2.結婚)

4. 二次会 (15)


結果は、、、当然、私が一位でした。

幹事の都築が間髪入れず声を張り上げます。

「さすがは、純、お見事!」

会場内はさらに大いに盛り上がりました。



一呼吸おいて都築が話します。
「さ、ここで新婦の友美ちゃんにひとこと貰いましょう、」

都築はマイクを持って友美さんの座るテーブルに出向きます。
「どうですか?今の純の飲みっぷりは?、」

友美さんは、ニコっとして、
「ハイ、すごくカッコイイです。」と答えました。

「ますます好きになっちゃう?、」
「ハイ、」
「じゃ、決勝戦も大丈夫かな?」
「ええ、たぶん、、、でも、みなさんお強そうだから、、、」

友美さんはいつものように救いを求めるような表情で私を見ました。

私はウインクしながらVサインを送りました。(大丈夫だよ、きっと勝つ、)



都築は話を続けました。
「じゃさ、純が決勝戦で勝ったら、ほっぺにchuっとしてやってね!」

友美さんはちょっと困ったような表情をしましたが、
都築はその返事を待たずにステージに戻ってきてしまいました。

「では、いよいよ決勝戦を始めますよ、いいですか?
 新郎純一君は新婦友美ちゃんのキスを勝ち取れるか!ワクワクしますね!」



決勝戦には5人が残っていました。

私、鏑木さん、高校時代と大学時代の私の友人が一人づつ、
そしてあのオトコ、長谷部健二。



こんな時、、、私だったら今日の主役に花を持たせます。

八百長をする、そういうわけではないのですが、あうんの呼吸でそうします。
何もこんなことで新郎に勝ったって仕方ないですし。
新郎が勝って新婦からキスのプレゼント、その方が会として盛り上がります。

私の友人や鏑木さんからは何となくそんな雰囲気が伝わってきました。
(お前に勝たせてやるよ、)
そういう雰囲気がなんとなく、伝わってきた。


しかし、あのオトコからはその雰囲気が伝わってきませんでした。

勝負。そんな雰囲気です。


こいつ!


実は、、、もう私はいっぱいいっぱいでした。
さっきの一杯でかなり腹が膨れていました。
あのオトコと差しで勝負すると勝てないかもしれません。


くっ、そ〜。
こんなことで負けてたまるか!

、、、

「タイム、」私は咄嗟にタイムをかけました。

「どうしたの?、純、」都築が聞きました。
「ちょっと、トイレ、すまん、」と私。

私は余裕綽々とした様子でトイレに入りました。
そしてあたりに人がいないことを確かめてから、口に指を突っ込んで、
私は胃の中のものを全て吐きました。(キタナイ話ですみません)

私は幾分か持ち直しました。


よおし、これで少しはイケルぜ!

(バカですね、ホント。)



   2003年03月09日(日)    友美さんとレイ。二人とも固唾を飲んでじっと私を見詰めていました。

J (2.結婚)

4. 二次会 (14)


私はもう相当飲んでいました。

ですからここで一気呑みをすることはできればよしておいた方がいい。

今夜はまだ長く先があるのですから、、、。


しかし私は自分を止められなかった。
ステージに上がると会場中から歓声が沸き、
私はもう引くことはできなくなった。

あんなオトコ、何するものぞ。

私はそんな気分でいっぱいになってしまっていた。


あのオトコに勝つためにはこの予選を勝たなければなりません。
私は大ジョッキを手にし一息吐き、ぐっと腹に力を入れました。
飲むのではなく流し込む体制に入りました。


私は友美さんとレイが座るテーブルに目をやりました。

友美さんとレイ。
二人とも固唾を飲んでじっと私を見詰めていました。


これだ、これでいい。

オレは絶対に勝つからね。


幹事の都築が私に声を掛けました。
「純、準備いいかい?、」
私は言葉に出して答えず、ウンと首だけ振りました。

会場内は騒然としています。
幹事が大きな声で開始を告げます。
「それでは新郎の純一君が飛び入りした予選の最終組、用意、」

一瞬の一呼吸、それ!、「スタート!」


私はビールを一気に胃の中に流し込んだ。

ぐ、ぐ、ぐ。


、、、

うっしゃぁ〜!



   2003年03月08日(土)    何でオレがあんなオトコに妬きもちを妬かにゃならんのですか!

J (2.結婚)

4. 二次会 (13)


その一言は私の心の中のジェラシーに、カチっと火を点けました。

が、私はその感情を押し殺し表面には出しませんでした。


何でかって?

何でオレがあんなオトコに妬きもちを妬かにゃならんのですか!

、、、そういうことです。


私は工藤純一ですよ。
友美さんと結婚したばかりの、幸せの絶頂にある、クドウジュンイチ、ですよ。
何で妬きもちを妬かにゃならんのですか。

仮にあのオトコ、友美さんを呼び捨てにしたあのオトコが、
友美さんに対して恋愛の情を持っていたとしても、
あのオトコこそが私に対して妬きもちを妬くのならいざ知らず、
何で私があのオトコに妬きもちを妬かにゃならんのですか、、、!


しかし。

そう思えば思うほど、心は己の意思とは別の感情に揺れ動く。

私は確かにその時熱いジェラシーに心が妬けていた。


、、、。

「純一さん、見て、ケンジだわ、大丈夫かしら、」

「う〜ん、と、ああ、安田と一緒ジャンか、無理かもな。」

「そうよね、安田さん、お酒強いから。、、、。あら、始まったわ。」

「おおっ、、、」

「ああっ、スゴイ、ケンジ、ね、純一さん、」

あのオトコ、長谷部健二は息も付かず大ジョッキを飲み込む。
ぐいぐい、飲み込んでいる。
他を圧倒する早さ。
(ち、安田、何やってんだよ、、、。)


レイが友美さんに話し掛けました。
「友美センパイ、お知り合いなんですか?」

友美さんはステージに囚われながら答えました。
「そうなの、幼なじみ、あ、ケンジ、勝っちゃった、、、」

レイは私をチラっと見てから言いました。
「落ち着いた優しそうな人なのに、すごいですね、」

友美さんが答えました。
「頼りないのよ、あいつ、気がやさしいだけ、、、フフッ、
 でも見かけによらないものね、安田さんに勝っちゃうなんて、」


友美さんは自分が勝ったように嬉しそうに話してる、、、。
レイも楽しそうにその話に相槌を打っている、、、。

くっ。


「何、大したことない、オレがその実力を見せてやる、」

私はそう言い切ってスタスタとステージに向かいました。

、、、。


はい、こんなくだらんことで張り合う馬鹿なオトコの物語、始まりです。

ホント、オトコって奴は、、、。



   2003年03月07日(金)    そして、、、あのオトコがステージに上がったのです。

J (2.結婚)

4. 二次会 (12)


中央の仮設ステージでビールの一気呑み大会が始まりました。

私の学生時代の友人達が続々と名乗りを上げました。
5人づつ一気呑みをして、一番の人のみ決勝へ進めます。
ビールの大ジョッキですからよっぽど自信がないと勝てません。


その時私と友美さんは丁度会社の仲間の席にいました。

鏑木さんや矢崎など酒に自信を持ったツワモノ揃いの私の会社の連中も、
我先にとステージあがりました。

そのためテーブルには私と友美さんと、その他数人が残りました。

レイ、も。


私はこの時もレイに何も感じませんでした。

レイと顔を合わせても何も感じない。
もうすっかり私はレイへの恋愛の情を封印できていました、この時は。


レイは私に、
「工藤さんは参加されないんですか?」と聞きました。

私は、「今回はパス、主役がこれ以上酔っ払っちゃうとマズイっしょ、」
と友美さんを見ながら答えました。

私はかなり酔ってはいました。
しかしまだまだしっかりしている、そのつもりでした。
ですから別に参加してもよかったのですが、どうしてか参加しませんでした。


私は楽しげに振舞っていたかったのかもしれません。

レイの前で。

友美さんとの結婚を。


ステージでは一気呑み大会が続いていました。
ワーワー歓声が上がっていました。
私達もステージに注視して声援を送りました。

「ガンバレ!、」とか、「行け!」とか、、、。



そして、、、


あのオトコがステージに上がったのです。

友美さんを呼び捨てにしたあのオトコが。



友美さんは私の心中を知らず私に話し掛けました。

「純一さん、見て、ケンジだわ、大丈夫かしら、」



   2003年03月06日(木)    このオレが甘ったるくオンナから呼び捨てにされるなんて、、、

J (2.結婚)

4. 二次会 (11)


私は呼び捨てで呼び合う二人が羨ましかったのかもしれません。

それで妬きもちをやいた、、、。


(トモミ、)
、、、私は心の中で友美さんを呼び捨てで呼んでみました。

「トモミ、」
、、、今度は声を出して呼んでみました。

友美さんは怪訝そうに聞き返しました。「何?、純一さん。」
「何でもない、ちょっと呼んでみたかっただけだよ。」
「変なの〜。」


私は友美さんに初めて呼び捨てで呼んでみたのに、
友美さんは別段の違和感もなく返事をしました。

これからは呼び捨てで呼び合おうかな?

どうしよっかな?


いや、やめた。
動機が忌々しい。
あの男を羨んでそういうことをするなんて真っ平御免だ。

一生呼び捨てでなんか呼んでやるものか。

まして、、、
このオレが甘ったるくオンナから呼び捨てにされるなんて、、、

考えただけでも鳥肌が立つぜ。



幹事の都築が私たちに話し掛けてきました。
「純、そろそろ祝いの余興みたいなことをやろうと思うんだが、いいかな?」

「ああ、大分盛り上がっているようだし、、、任せるよ、」と私。

「じゃさ、純と友美ちゃんはみんなのテーブルを回ってくれないかな。
 ここをステージにするからさ、」と都築。

私と友美さんは中央の正面に座っていました。

私は「オッケイ、じゃ、よろしくな、」と言い、
友美さんを促し席を立ち二人一緒にテーブルを回り始めました。


ギュウギュウに押し込まれた二次会の会場内。
誰がどう座っているのか最初はまとまりがありませんでしたが、
その頃にはなんとなく知り合い同士でかたまりが作られつつありました。

私と友美さんはそれぞれの友人のテーブルに行き、それぞれに紹介し合い、
写真を撮ったり、ジョークを言ったり、酒を注いだり注がれたり、
和気あいあいに歓談しました。


私はかなり酔っていました。

しかし、

まだまだ大丈夫、しっかりしていました。


中央のステージでは余興の出し物が続いていました。
スピーチあり、歌あり、手品あり、、、。
その都度、私と友美さんはステージに引っ張り出され参加させられました。


私はかなり酔っていました。

しかし、

まだまだ大丈夫、しっかりしている、そのつもりでした、、、。



   2003年03月05日(水)    これってただの妬きもちじゃないのか!

J (2.結婚)

4. 二次会 (10)


私と友美さん。

今日この日に結婚をし遥かな旅路を二人で歩み始める。

幸せの絶頂にいる私。
幸せそうに見える友美さん。

私には何の迷いもない筈でした。


この長谷部健二という男。
ただの友美さんの幼馴染であって、それ以上も以下もない。
普通に考えればそれだけのこと。

普通に考えれば。


しかし、その時の私には何かが引っかかっていたのでしょう。

その男が友美さんを呼び捨てにしたから?
友美さんがその男を呼び捨てで呼んだから?
妙に馴れ馴れしかったから?
呼んでもいないのに二次会にきているから?

、、、あの電話の男?
友美さんに結婚を5年待って欲しいと電話を掛けてきたあの男、、、。

頭の中をぐるぐる蠢くクレッション、、、



次第に私はある結論に行き着きました。


これってただの妬きもちじゃないのか!

ただのヤキモチ、、、


オレハヤキモチヲヤイテイルノダ。
オレハヤキモチヲヤイテイルノダ。
オレハヤキモチヲヤイテイルノダ。
オレハヤキモチヲヤイテイルノダ。
オレハヤキモチヲヤイテイルノダ。
オレハヤキモチヲヤイテイルノダ。

、、、



私は私の取り巻きに応対しながら、隣に座る友美さんに目をやりました。

もうそこには長谷部健二の姿はありませんでした。
友美さんは友美さんの高校時代の友人に囲まれていました。


友美さんは私の視線に気がつき、(何?)と顔で聞きました。

私はニコッとして見せました。意味もなく。


友美さんは、、、

私の笑顔を嬉しそうに受け止め微笑みを返してくれました。

友美さんにとっては私の笑顔が何のことか分からなかったでしょうけれど。



二次会の会場は相変わらずごった返していました。

私はぐるぐるに酔っ払っていきました。


   2003年03月04日(火)    友美さんは私が初めてでした。

J (2.結婚)

4. 二次会 (9)


友美さんは私が初めてでした。

聞いたわけではありません。

ただ、確かにその時その徴しがありました。


私が初めて友美さんを抱いた夜、それは花火の夜でした。
結婚までは身体を許したくない、そういうふうであった彼女を、
私はそうなるべくしてなるような状況の中で抱いたのでした。

確かに、、、
その時その徴しがありました。


私は彼女に毛布を掛けてやりました。
彼女は、、、「ありがとう、」とひとこと言いました。


その晩私と友美さんはSEXを楽しむために結ばれたのではありません。

私たちは力が欲しかったのです。
心と身体がひとつになった時、お互いが溶け合ってひとつの力になる。
私はそのために彼女を抱き、彼女はそのことを悟って私に抱かれた。

そんな夜だったのです。(参照 こちら


私は友美さんにとって初めてのオトコが私であるかどうか、
そんな野暮なことをどうこう考えたことはありません。

どうでもいいことです。

妻の男性歴について知ったところで何も得るものはありません。

どうこう言うのあれば、私はどうなるのです。
私は過去に何人ものオンナを抱き、そして今、友美さんと結婚するのです。


恋愛に過去なんか関係ありません。

目の前の相手を愛する。信じる。

それだけです。


結婚についてもそれと同様。

目の前の相手を愛する。目の前の相手をを信じる。

それだけです。

虫のいいような考え方ですが、私はそう思っていました。



ところが。

このケンジという男の出現は何故だか私に胸騒ぎをさせました。



、、、あの電話の男?

友美さんに結婚を5年待って欲しいと電話を掛けてきたあの男、、、。


頭の中にクレッションがいくらも浮かんでくる。


とは言え。

今は聞けない、友美さんに。

この場では、聞けない。



この席では、

友美さんに、、、聞けない。



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