「映写」
変化し続けて再現しないものを伝えるために私は表現し続ける。それは点と点を繋げ線になり絡み合っていつか途切れても私が生きているということを遠慮がちに宣言するのだ。
「表裏一体」
あの人の持つ選択肢を私は受け入れる。分かれ道に差し掛かった時幸せであるために選ぶなら私はその選択をいつだって祝福するでしょう。そうやって歩いてゆくあの人を心から愛している。だからその選択肢の中に「私の側ではないところで生きる。」という道が含まれることも私はちゃんと受け入れなければならない。
「塵」
全ての事には理由がある。君がなにかを言いかけてやめたことにも。
「夕凪」
あの人の声がして振り向いた。熱を持った風が凪いだ。それは多分、あの時あの場所で僕にしか見つけられなかったものだ。それにしたってなんだってこんなにも悲しくなんだってこんなにも強くなんだってこんなにも。
「日課」
思いがけず向こう岸へと渡ってしまえばあちらからでは見えなかったものがあった。こんなに素晴らしいものがこの世にあるなんて僕はまるで知らなかった。世界が一変する出来事だった。それからというものそれがどれほどすごい事かを話して聞かせることが僕の日課になったけどとても素晴らしいことなので話終えるのはまだずっと先のこと。
「片側の時間」
透明な力。何にでもある代償。終わってから分かる事もあるしそうでない事もある。そこに自信があるかないかの違いだけ。