short story


2005年02月23日(水)


「観測系」


何かで一杯になる事は
何もない事と似ている。

基準点が曖昧なこの観測系は
自分の立つ位置すら分からず
ましてや君を見失うなんて簡単だ。

拒絶することでしか愛せない時があって
その結果に気がつかなければ
いつの間にか私の側には
きっと君はいない。


2005年02月22日(火)


「暁とマフラー」


目覚めたあなたの目に
一番に入るのはきっとおかしな僕で
そしてあなたは笑う。

今日が昨日と違っているならば
今日の僕も昨日と違っているはず。
あなたが昨日のあなたと違っているならば
僕が愛すあなたが少し大きくなるだけ。

笑っちゃうくらいに空気が冷たくて
あなたがマフラーを巻いて
靴を鳴らし出すその瞬間
その息が白いことに見とれていたい。


2005年02月15日(火)


「望月」


暗がりに蜜。
眠り際に夢。
朔を撫でて満ちるあなた。

愛しく月と同じに
24通りの顔を持って
僅かに笑う。

私がはじめて使う言葉を
投げかけた人が
あなたでよかったと思う。


2005年02月08日(火)


「ふたり」

外は雪。
僕らふたり。

ものすごく遠くの方から
あなたの声が聞こえて
いつしかひとり。
いつしかふたり。



2005年02月02日(水)


「恩に甘え」

恩を受けた人がいて
その人達にはいつか恩返しをしたいと思う。
恩を受けた人がいて
その恩に僕が気づいていないかもしれないから
なるべく人には優しくしようと思う。
それができない時があるのは
きっと僕に甘えがあるからだ。
あの人の優しさに油断した。
それは誰にだって見せるわけじゃないけど
でも多分そんなのは言い訳にはならないんだろう。


2005年02月01日(火)


「あの頃のように」

幼い頃、一緒に遊んだ近所のお兄ちゃんが好きだった。
優しくて面白い人だった。
いつも私を気遣い
バカなこともやったけど
なにか真ん中に芯が通っていて
この人は信用できると心で感じた。
もう20年も会っていないけど
もし偶然会うことがあったら
また昔のように僕の前を走って
僕の知らないところへ連れて行って欲しい。
きっと僕は
置いてはいかれまいと
必死に後ろを追いかけるのだ。

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日記才人