short story


2002年09月23日(月)


「溝に冷たい水」


重荷になるとまで言われて
大人しく引き下がったのは
呆れたとか
ショックだったとか
そういうこともあるけど
一番の理由は
二人の溝を再確認したこと。

僕らは全てが合わないと
知ってはいたけど
その中にあって
唯一僕らを支えていた
愛情の表現とか
気持ちの確認とか
そういう大事な部分までも
僕らは違い過ぎた。

僕にとってはごく当たり前の
感情表現でさえ
君にとっては重荷だったり
君がなんとも思っていなくても
その気まぐれさが
僕には苦痛だったりする。

それでもなんとかやってこれたのは
一体なんのおかげだったのか
今考えるともう分からない。
思い出せない。

でも、もういい。
安心していい。
もう君を抱こうとは思わない。



2002年09月20日(金)


「見えない壁」


肌に触れる程
近いものと
距離感を失う程の
遠いものとの
その間にある
見えない壁。

私の望みに気付いてください。
怠惰や理想に頼って
ないがしろにしていては
いつかなにも感じなくなってしまって
そうなってからでは
きっともうお終いになるのです。

見えない壁が
私を一人にする。

届け。



2002年09月08日(日)


「風景にいる」


流れは止め処なく
そこにいる者達とも
昨日すれちがった。
今、共に進んではいるけれど
あなたのことも
行き先も
何も知らない。

きっと僕らのどちらかが
先に姿を消して
それきり
この街で生きてゆくのだろう。

風景のように。


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日記才人