short story


2001年05月31日(木)


「いいですか?」

今日は
とても疲れてしまったので
とりあえず
くっついて寝ても
いいですか?


2001年05月28日(月)


「あの人と夜」

カーテンの向こうには
夜のみがあるべきです。

そして私の横には
あの人がいるべきなんです。


2001年05月25日(金)


「満たされてくちづけ」

満たされて
くちづけしました。
深く、長く
くちづけしました。

相手の顔が
どうしても思い出せないけど
なぜかそんな事は
どうでも良い気がします。


2001年05月24日(木)


「食べちゃって」


僕は

かなり深刻な

ドーナッツ。


2001年05月23日(水)


「染まる雲」


雲が邪魔をして
見ることができない。
そこにあると分かっているのに
見ることができない。
淡く染まる月色が
真円の音を知らせても
まだ見えない。
歯痒くて
苛立たしくて
僕はもう
二度と空を見上げないことにする。
今夜はもう。


2001年05月21日(月)


「胸へ包むよう」


一瞬、触れ合った
肌の滑りに
驚く。


2001年05月20日(日)


「明日へ」
いつも
ずっと
望んでいたこと。

ゆっくりと
育ってゆく
この感じ。

次第に包み込んで
一つになるような
ある感触。


2001年05月18日(金)


「陽光と桜」


こんな時くらい
黙りこくってもいいでしょう?


2001年05月17日(木)


「それがあなたの望んだこと」

別に。とか。
なんでもない。とか。

明らかに不満なくせに
それがなんなのか説明してはくれない。
あなたの心を読まなくてはいけないの?
言われなくても気付かなくてはいけないの?
それは私が心がけることであって
あなたが期待することではないでしょう。

分からない時は
言って。

じゃないと、すべてはここで終わり。
なにも進まない。

私と話す気がないなら。
いいよ。

もう
「どうしたの?」
なんて聞かないから。


2001年05月16日(水)


「二度と」


気分が優れない。
いつもだ。
いつも。
救われることなど
ないのかな。
遠すぎて
もう見る気にもなれない。
俺に声をかけないでくれ。
かすってゆくもの。
唐突に愛しくて
やがて記憶から消したいと願うもの。
二度と。




2001年05月15日(火)


「しわ」

鼻にしわを寄せて笑うあの人は
自分の笑顔が
どれほど人を楽しい気持ちにさせるか
分かっていないみたいだった。
それを教えられるように
僕も人を幸せにできる人に
なりたいです。
鼻にしわを寄せて。


2001年05月14日(月)


「愛しさに一言」


なぁ

腕かすから

枕かえしてよ。


2001年05月11日(金)


「それは」



あなたの態度次第。






2001年05月10日(木)


「うそつき」
あなたがいつでも

私から離れて行ってもいいように

まだ

一番にはしない。


2001年05月09日(水)


「胸騒ぎの音」
なだらかなものに潜む
一瞬の胸騒ぎに
私は足踏むように喜ぶ。

投げ捨てられた音を
拾いに行くのが好き。


2001年05月08日(火)


「聞きたい言葉」
君の口から

聞きたい言葉がある。

意地悪しているわけじゃ

ないんだよ。


2001年05月07日(月)


「近くでも」
それも
これも
とても曖昧で
不確かなものだから
せめて君にとって
特別じゃないなら
意味がないんだよ。


2001年05月03日(木)


「赤い公園」
子供のような純粋さを
大人に持ち込んで
汚れたことを嘆く。
君は
赤い公園に一人。

ブランコに乗る自分の影が
近づいて
離れて
耳障りだが懐かしい金切り音が
次第に心を絞めつけ
耐え切れずに飛び降りた。
君は
赤い公園に一人。

昨夜の雨が染み込んで
黒く
固くなった砂場。
爪先でいくら掘り返しても
いつまでも重たい砂。
それはきっと
涙に濡れていたのだろう。
君は
赤い公園で
途切れがちな言葉の美しさに
優しく手を繋いで笑って。


2001年05月02日(水)


「なぞる半月の刻」
立ち止まって

目が合った。

視界の隅に

髪の長い女。

見てはいけない気がして

うつむき、時計を探す。

刻は幾ばくかの

半月をなぞるのみ。


2001年05月01日(火)


「さようなら、あなた」
あなたが
私とは全く関わりのない人生を
歩き始めたことは知っています。
時が教えてくれます。
日、一日と。
目覚める度に。残酷に。

だから
私もあなたを忘れます。
思い出にさえも残さないようにと
それはもう必死で忘れます。
これ以上
あなたに淡い期待を抱いて待つのは
つらいのです。
ごめんなさい。
もうつらいのです。

お願いですから
忘れた頃に
電話などしてこないように。
私の名を呼ばないように。

死にもの狂いで忘れるのですから
私にそう決意させたあなたは
もう私には触れないように。

さようなら。
あなた。
私の中のあなた。
もう二度と
触れないように。

笑い掛けることはないでしょう。

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日記才人