夜が私のものになればいいのに。 と思う。 それは 全てを置き去りにして あの高い所へと 私を連れて行く力を持つ。
縛るものはない。 できぬことなどない。 なにものも 邪魔することはできない。 自由の世界へ。
私は連れて行ってと願う。 どうかそこまでと。 引き換えにこの命が欲しいのならば 差し出すとまで言って。
それでも夜は 自分がまるで孤高の存在であるかのように 平等に少しずつ孤独を分け与えて消える。 捕まえようとすると遠のく。 すり抜けると言った方が 正しいかもしれない。
私はその度に掌を眺めて どうしてなの。と問うばかり。
でもそれでいいの。 夜はそれでいいの。 夜は私のものなんかになってはいけない。 そうでなければ 私はとうにほとりぼっち。
ただ時々 眠れない日は 夜が私のものになればいいのに。 と思う。 それだけのこと。
|