西方見聞録...マルコ

 

 

2012夏ダイジェスト - 2012年08月31日(金)

 さて 夏休み、終わっちゃいましたが振り返ってダイジェストしてみようと思います。夏休みとは、私とあめでおさんにとっては基本、学期中出来ない自分研究を進める期間で、1号さんはクラブを引退してしおらしく受験生体制に入ったので,まあやることはあるんですが小学生魂がシャウトしているおKさんが私たちと一緒におとなしく机に向かっているかというとそういうわけではないのです。そこで彼女を接待しつつ,それを口実に大人と受験生も楽しむというスタンスの夏でした。今年もおKさんの夏休み1行日記を基に我が家の夏の名場面をピックアップしときます。


7月29日かちかち山で平群里山クラブの子ども自然教室に参加しました。ヤギの正雄くんと触れ合ったり、昆虫(オオムラサキや玉虫を見ました)を観察してカレーを食べました。




 このカレー皿の竹はのちにおKさんの夏休みの宿題の木工細工の土台に姿をかえました。



 この日の参加者はマルコとおKさん。

8月5日勾玉つくり。斑鳩町文化財センターの子ども考古学教室で勾玉つくりが行われた模様。この日はあめでおさんとおKさんで参加して、勾玉つくりの魅力にはまったようです。どんな様子なのか不参加の私にはわかりませんので、他のご家庭のHPを参考までにhttp://naopapa.blog.eonet.jp/default/2010/11/post-a691.html

8月6-8日琵琶湖に行く
 ここは受験生1号さんも含めて家族4人で出馬。朝は琵琶湖畔をランニングし(これはわしだけ)



 昼は琵琶湖で泳いで



 付属体育館で貧血起こしそうになるまでバトミントンしました。
 さ、さすが1週間前まで中学バトミントン部部長だった1号さん。そのスマッシュ素人相手に打たないでください!ってかんじでした。



 この琵琶湖旅行後,あめでおさんがおKさんを連れて東京に行き,そこでマルコ実家におKさんを引き渡し、ご自身は信州方面にフィールドワークに行ってしまいました。おKさんはマルコ実家、あめでお実家を渡り歩き、ボリショイサーカス、渋谷のプラネタリウム、おおかみこどもの映画とこう至れり尽くせりに楽しい日々を送ったようです。マルコと1号さんは二人で県立図書館に通ってそれぞれ「できないようできないよう〜」と言いながら宿題やったり、著作執筆をしたりしていました。夜遅くまで図書館で粘った日は、帰りに二人でイオンで夕食,食べてお洋服買っちゃったりもしました。

8月16日かぞくのくにをみて平常心オフ
 あめでおさんが信州から帰ってきたので、1号さんをよろしくして、わたしゃさくっと「かぞくのくに」みて、WMな皆様と心斎橋で恒例の平常心オフを開催しました。
 ミクシとフェイスブックでくわしくその夜の様子を紹介しています。



8月17-18日名古屋に行く。
あめでおさんが再び中部地方に実習に学生さんを連れて出発するので、私と1号さんも近鉄特急で名古屋へ!途中駅であめでおさんとは別れ、私と1号さんは名古屋にておKさんを連れてきてくれた老親エルザさん夫妻と落ち合って名古屋旅行。水族館行って











 名古屋城行って






 ひつまぶしとか、とりごてつでおいしい親子丼食べたり楽しく過ごしました。子どもと老親と私に連なる人々とよき週末を送らせていただきました。

8月21-22日柳生で合宿

 で、おKさんのお絵かき教室の合宿で柳生の青少年センターに行きました。
一刀石行ったり、ピザ焼いたり、お絵かきしたり、花火したりしてすごしました。同じ施設を使っていた私たち以外のグループは1日目は福島から避難、移住してきている3家族の寄り合いだったり、2日目には福島の小学生100名ほどが放射能保養にショートステイで合宿に来ている団体だったり、さまざまな形で放射能と向き合う人々と行き会いました。



 受験生抱えているにしては、なかなか盛りだくさんな夏休みでした。


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かぞくのくに - 2012年08月16日(木)

 今日は夏休みだ!ということで夜に楽しい集まりがあったりしたりしたんだが、その前にぽっかり時間が空いたので、ヤン・ヨンヒ監督作のかぞくのくにを観てきた。





 ちょっとネタバレあり!ご注意!
 お勧めなので,観にいくつもりのある人は観てから読んでね!






 ほんとうに同じ社会で暮らしながら、帰国事業と在日コリアンの<あの時>と<今>って、日本で広く知られてない。そこに北朝鮮や総連にすごく近い場所に生まれた監督が光を当てだしたわけだけど、その光が当たったところにはあまりにもごくごく普通の人の家族の営み(父は頑固では母フォローがうまくて娘は勝手で)があり、でも突然そこに持ち込まれる不条理(治療すれば治るのに治療の機会を剥奪される愛しい家族とか、明日帰ってこいとか)にもうどうしてくれるの!という監督の気持ちがすごくリアルに、じぶんだったらどうする?って感じで伝わってくる。

 映画に行く直前に偶然この蓮池徹さんの言葉を読んだ後だったので、帰国事業で北朝鮮に移住した人々の現在の状況って<拉致された>人々と似ていると思ったりもした。それはきっかけは強制連行といろいろな事情に追い込まれての移住と違いはあるけど、その結果としての現在の状況はとても似ているのではないか。(実際帰ってこないかぞくに会いに平壌通いを監督の家族は繰り返していたのは「ディア・ピョンヤン」や「愛しきソナ」に詳しい。)

 帰国事業で北朝鮮に移住した在日コリアンの人々は9万人。もうちょっと私たちは我が事としてこの離散家族に心を添わせることは出来ないか?「あのときのアボジの判断が間違ってたのよ!」だけじゃなくて。あのとき乏しい情報から地上の楽園と報道したり、日本社会でのコリアンが社会的上昇をあきらめねばならないような差別的な状態を作っていたり,もっと言ってしまえば朝鮮半島が分断してしまった歴史に深くかかわったという様々なレベルの「日本の関与」を思えば、この問題とまったく他人事のような顔してちゃいけないんでないか。

 指導者が変わって変化の兆しのある隣国を仮想敵国として遠ざけるのではなくて、せめて人々が自由に行き来が出来るような方向に持っていくのは私たち全体の利益として考えられないだろうか。

 ただ主人公のリエとソホンの家族の位置は多様化が著しいコリアンの中ではすごく特殊な場所ではあるとは思う。私の知ってるだけでも韓国と近い人、日本と近い人、朝鮮半島や日本より欧米に近い人ともう物凄いいろいろな立ち位置にコリアンの人々は立っているような気がする。またその場所は不断に選択され移動が可能にも思う。
 でもリエとソホンの父母のように、その北への忠誠が世界一濃いようなコリアンも北にわたった家族である簡単にあえない大切な人のために振り絞った忠誠なのではないだろうか。作中のオモニの言葉はすごくそのことを私たちにわかりやすく示していた。(「遠く離れた日本にいる母親は病を持つ息子に何もしてやれません。出来る事は祖国を信じることだけです」)

 二つの国の間にいる人が二つの国から守られず、排撃されるのではなく、二つの国の架け橋として二つの国から尊重される社会をつくっていけますように、そう願わずにはいられないリエとソホンとオモニとアボジの体温や息遣いが伝わるような映画だった。


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往復書簡ー虚実の間ー - 2012年08月05日(日)

 往復書簡 湊かなえ著読了。

 「告白」とかの悪意でキトキトの湊節を期待していると、様々な波乱を含み、過去の悲劇が明らかにされながらも、台風のあとの青空のように、意外にも、晴れやかに結末を迎え、びっくりするかも。

 連作のなかの「15年目の補習」では青年海外協力隊員と日本に残った恋人の手紙のやり取りが出てくる。そのやり取りから15年前の事件の真相が明らかになっていく。
 ここにもあるように、あんな悪意キトキトの「告白」書いておきながら、湊かなえは世界で一番平和で幸せといわれる青年海外協力隊員トンガ隊のOGだ(痩せてかえって来るアフリカ隊員や、論争にさらされる中国隊員とちがって、ちょっと緩んで帰ってくるのがトンガ隊員と言われていた。しかし私は痩せてかえって来ると言われるアフリカ隊員だったわけだが全然痩せなかったので単なる都市伝説なのかも)。

 で、協力隊期間中の日本語への飢えと手紙への異様な執着がすごくリアルに本作中に出てくる。そうなのだ。日本語に触れられる機会が限られると人は自ら手紙を書き、その自らが作った日本語を繰り返し読んでから投函するという日本語自家中毒を起こすこともある。その辺さすが元協力隊員(それも湊氏は微妙に途上国ではインターネットブレイク前夜の平成8年度2次隊隊員である。ちなみに完全にインターネット夜明け前だった平成4年度1次隊の私は手紙以外ほとんど本国との文章のやり取りは無かった)リアルな手紙への執着を描いている。

 しかし作中のように、恋人との手紙のやり取りはこんなに核心にぐいぐい食い込んで真実に迫っていったりはしない。2年間手紙のやり取りで遠距離恋愛を維持すると言うのは、豆腐を菜ばしに載せてマラソン走るような危険な行為なので菜ばしで豆腐をぐいぐいせずに、やさし〜く,核心に触れず当たり障りの無い話題で長い文面を埋め尽くしちゃうのである(例「町の測量士が牛に追いかけられながら測量していた」とか、「ケニア人保健師さんに日本で家族計画はコンドームによって行うと言ったら大変馬鹿にされた」とか)。

 町の治安の悪さを匂わせるようなことも「心配するだろうから」と書かなかったり、隊員同士のラブアフェアもやっぱり「心配するだろうから」と書かなかった。

 ところで最後に3連作の後日譚に当たる「1年後の連絡網」という短編が収録されている。ここで描かれた短い手紙のやり取りはまさにリアルに協力隊員の手紙である。巻き爪痛みと対処を情熱を持って語り、そして共通の友人のゴシップに燃える。そうだこれが協力隊員のリアル意味無し手紙だ!

 協力隊OBOGも、そうでない人もかなり楽しめます。お勧め。


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