unsteady diary
riko



 黒い染みのように


数年間、ほぼ毎日のように電話で声を聴いていた人。
お会いしたことは数回しかなかったけれど、今も耳にはっきりと蘇る声。
たった1ヶ月と少しでいなくなってしまった。

喪服を引っ張り出して、就活以来久しぶりに引っ張り出した黒のパンプスが少し痛くて、大人になって初めて参加するお葬式に慌てたりしながら、実際少しも涙は流れないのだけれども、漠然と喪失感みたいなものがある。

私より少し年上なだけ、いつも綺麗で輝いていた、そういう人が。
ある日、癌に倒れるということ。
千羽鶴を折るのさえ間に合わなかったほど、あっという間に逝ってしまったこと。
いつも強くて揺るがなくて、知る限り最強にプロ意識の強い人が、泣きはらした顔で娘の写真をずっと見上げていたこと。


葬儀に参加しながらもけろりとしている上司や同僚を見ていると。
何の関係もない自分が、その気持ちに引き摺られてしまうのは、おかしいのだろうと思うのだけれども。

歯を食いしばって我慢して、身体を痛めつけながら働いて、それでも死ぬときは死ぬ。
元気だった身体が、あっという間に動かなくなって、苦しんで、死んでしまう。
そんなことに今更気づいた。

明日、来週、来月、来年。
当たり前のようにやってくるわけではないんだってことに。

2007年04月21日(土)



 レースと羽根とスモーキーな石たち

スピック&スパンで取り扱っているRECIPEのネックレスがお気に入りで、最近よくつけている。
スモーキークォーツとパール、アイオライトにちょこっと羽根までついていて、全体的に淡い色味なのだけれど、少しだけ個性的。
HUMAN WOMANの生成りのレースをあしらったブラウスによく合うのだ。
ナチュラルテイストって苦手だったのに、最近ガーゼだのふわっとしたものについ手が伸びる。

不思議だなと思う。
ひとつのアクセサリーがつけたくて、服を選ぶ。
そういう選び方をすると全体的に統一感が出るし、自分の好きなテイストでいっぱいになって、気持ちが少し明るくなる。
社会人として羽根がついているネックレスをしているのってどうなのか、とか。
そんな気もしないでもないけれども、不快にさせるほどでなければいいかなって思う。
意外と、オバサマたちは褒めてくれる。
生保の営業をしている女性は、アタマのやわらかい人たちが多いのかも。


そんな風に、春なので。
桜も咲き初めのころに見に行けたし。
コットンのブラウスもお気に入りのネックレスも、悪くない。
人生初めての春ブーツなんてものも、履いてみたりする。
…ひとり、なのだけど。
連日の途方もない寝不足で、肌がぼろぼろだったりするのだけれど。
ストレスバロメーターな指先が、これまた酷く皮が剥け続け、治る暇もなく血が滲んでいたりするのだけれども。

加算法で行こう。
幸せじゃなくても、不幸ではない。
差し引いて、プラス1くらいを目指そう。


2007年04月08日(日)



 

職場の人間関係でいざこざがあったり、キャリアアップで突然転職する人が出てみたり、そんなこんなで現実逃避してみたくなる今日この頃。

2年生になった中途さんへ。
「やめたい」って挨拶みたいに吐き捨てていたら、間髪なく「やめれば」と返しますとも。
30歳目前でも、中身は赤ちゃんみたいで。
「やめないで」って引き止めてほしいの?
悪いけど、誰も引止めやしない。
「こんなに頑張ってるのに」という言葉は、毎日彼氏と会社でメールするような人には使ってほしくない。
不当な評価を受けていると本人は愚痴るけれども、それどころかむしろ甘すぎるくらいだということに、なぜ気づかない?

そんな問題児を抱えて、後輩さんも破裂寸前のカンシャク玉みたいになってる。キリキリしてて、ギリギリで、そりゃあ冷静でいられるもんか。
間に挟まれて、どこまで毒を吐いたらいいのか迷う。
私が「優しい」というなら、それは歯止めが利かなくなるから毒を吐けないでいるだけなんだってば。
最低限度の誠意すらないなら、本当に要らない。
「さっさと結婚してやめれば」と口にした後輩さんよりもっと酷いこと、言ってしまうと思うから。


毒吐けなくて、うんと現実逃避してドロドロしたものに浸りたい気分だったので、椎名林檎のアルバムを借りた。
「平成風俗」よいです。
ひっさびさに、椎名林檎にハマッた。
ぐるんぐるん「ギャンブル」が頭の中をまわってる。
素敵、素敵。


2007年04月06日(金)



 夢のような1週間を終えて

引き続き好きなスケーターの話。
なんでこんなに夢中になるのか、少し分析してみた。


ジェフリー・バトル。
彼はまず音楽に耳を澄ますの。
流れ込んでくる音楽に身体中、指先まで浸して、それからすっと動き出す。
その瞬間が身震いするほど好き。

私の好きなスケーターは2種類あって、演じる(憑依する)タイプと、音楽を体現するタイプ。
優れたスケーターはそのどちらの要素も持っていることが多いのだけれども。
ジェフは音楽を表現するタイプだと思う。
オペラ「サムソンとデリラ」のプログラムでは、哀しい英雄サムソンを演じたけれど、それも音楽があっての表現だった。
たとえ無音であっても、彼の滑りからは音楽が聴こえるのだけれども、その表現が音楽と切り離されることはきっとないと思う。
ニジンスキーのように、ジャンプをしないで氷に吸い付くような滑りだけをするならば、きっと彼は世界一美しいひと。


対して、同じく私の好きなステファン・ランビエールは、演じるタイプ。
本人も演劇やバレエを学びたい思っているようで、その才能はたぶんオフアイスでも発揮されるだろうと思う。
たとえ音楽がなくてもきっと彼は、何かを演じることができるんだろう。
たとえばパントマイムなんかもはまりそう。
美しくないことも一つの表現にしてしまいそうな、独特の魅力がある。


そんなことを考えながら、悪友から借りた欧州選手権のビデオを観ていた。
二人とも出ていないけれどね。


アイスダンスの大好きな2組が引退する今、男子シングルで来季も現役続行を表明している二人、それがただ嬉しい。
バンクーバーまで応援し続けるからね!

2007年04月01日(日)
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