unsteady diary
riko



 桃のきもち

最近夜に何度も目が覚める。
疲れているくせに、眠りが浅く、リズムが乱れる。
起き出しても余計に体が重くて、引き摺るようにして、それでも会社へ行く。

夏ばてというより、気持ちに負けている気がしてならない。

今月はいわゆる外での仕事がずいぶん多くなった。
出張研修やらプレゼンやら、接待っぽいものや、営業同行やら。
様変わりする仕事。ちっとも上がらないお給料。
そうそう変えられない自分のスタンスと、その能力。

そんな夜は、桃を食べる。
友人が長野から送ってくれた桃。
ひんやり、つるりと甘く喉を通る。
少し元気になる。

ありがとう。

2006年08月24日(木)



 ガレとドーム兄弟とイイノナホ

渋谷Bunkamuraで開催されている「エルミタージュ美術館秘蔵 エミール・ガレとドーム兄弟」展に行ってきた。
アール・ヌーボー、それもガラスに特化した展示というだけあって、客層もいかにもアート系の人ばかり、中には一人で来ている男の子などもいた。

3時間ほどかけて100点余りをじっくり見てまわる。
中でも、今回の展示の目玉であるエミール・ガレの「トケイソウ」は素晴らしく、誘蛾灯に吸い込まれる蛾のごとくふらふらと引き寄せられ、長いこと向き合った。
ドーム兄弟の「チューリップ文花器」も思わず触れたくなったほど。
ガラスという硬質なものでありながら、やわらかかったりあたたかかったりして見える。その質感にひたすらうっとりして過ごした。

図録を買って外に出ると、アート関係の本屋があって、そこでイイノナホさんという硝子作家の「水と空のあいだに」という作品集に出会った。

まず印象的だったのは、その帯の言葉。

「彼女のガラスはやわらかそうに見えるから不思議だ。」

彼女の夫であり、世界的なテキスタイル・服飾デザイナーの皆川明さんの言葉。(ミナ ペルホネンのひと)

そしてページを開いてみれば、もう言葉もなくただ見入るばかり。

代表作といわれる「クローバー」という作品は、透明の卵型のガラスの真ん中に黄緑色のクローバーがぷっかり浮いているペーパーウェイト。
もう一つ素敵だったのは卵型のまんなかに黄身だけがぽかんと浮いている「カラノナイタマゴ」という作品。

ガレのように妖しいまでの美しさはないし、ラリックの貴婦人のようなフォルムもないけれど、もしも傍にあったなら、日常をさりげなく気持ちよくしてくれるだろう、いとおしい作品の数々。

「クローバー」は一部ビームス等で販売しているそうなので、今度探してみたいと思う。

2006年08月20日(日)



 祈り

染みのように頭にこびりついて離れない。
笑っていても食べていても。
生と死の境目を漂っているだろう人のことを考えては、頭をぶんぶん振る。
だって私が出来ることは何もないのだ。
ただ遠くで、身勝手に祈るだけ。


事故の数日前に収録されたというラジオを流している。
時間軸的に仕方がないのだけれども、今は言葉も発せないだろう彼の、あまりに元気で奔放な姿がそこにあって。
泣かずにいられなかった。





事故が起きてから6日。
ようやく意識を取り戻したらしい、と聞いた。
どれほどの怪我だったのか想像もできないけれども、死の淵を覗き込みながら耐えて生き抜いてくれたのであれば、ただ嬉しいと思う。
…もしも、復帰が難しくても。
役者としての彼をもう見ることができないとしても。
それでもやはり、生きていてくれるのであれば。



2006年08月13日(日)



 雨と夢のあとに 約束してくれますか? また逢えると (word:柳美里)

母が観たいというので、当日券を並んで購入して「雨と夢のあとに」2回目を観てきた。
キャンセル待ちしたかいがあって、1階席それも前から11列目!
ストーリーや台詞がすっかり入っている2回目でも、いや2回目だからこそ、役者さんの表情や台詞の端々から迸る熱い気持ちに引き込まれて、切なくて幸せな時間を過ごした。

帰りがけにサウンドトラックCDを購入した。
舞台でもそうだったけれども、音楽に触れるだけで涙腺が緩む。
娘を見つめているやわらかな表情とか、幸せになってほしいと娘に涙ながらに語りかける時の眼差しだとか、最後に遠くからあたたかく見守っている、そんな数々のシーンを想い返しては、泣きそうになる。

そして思う。

どうしたって私は「物語」というものが好きで、その物語を紡ぐ「役者」という存在がいとおしい。
役をどれだけ大切にしているかが伝わってくればこそ、その人の演じる役柄をもっと好きになれる気がする。






数日前、私の好きな役者さんが交通事故に遭った。
詳細は分からないけれど、病院に運ばれていく瞬間にも「仕事に行く」と口にしたという。
そのことが切なくて嬉しくて胸が痛い。
おそらくはかなり深刻な容態のようで、ただ祈ることしかできない。
どうか、その存在を愛する人たちから奪わないでほしい。
そう祈り続けるだけ。

どうか……。

2006年08月11日(金)
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