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■ 家族なのに…
うちの猫はタムといいます。 とてもとてもかわいくて、かけがえのない存在です。
生後2ヶ月で飼いはじめました。 飼ってすぐに、兎足と言われる歩き方をしていて、後肢が若干湾曲し、 きちんと後足で踏ん張ることができないことに気づきました。 猫自身も、後足を浮かせて前足を支えにしているような状態で、 下半身をべったりとつけてだらりと座る、というか寝そべったり、と 普通の猫とはちょっと違いました。 ですが、この当時はじゃれつくような元気はすごくありましたし、食欲もありました。
足が将来もっと不自由になるのではないかと思い、ショップへ相談したところ、ショップの規則で、ショップと関わりのある獣医の方に診てもらうことになったのですが。 「スコティッシュフォールドは先天的に異常が出やすいし、多少の奇形はあたりまえ。うちの(その病院の)スコティッシュも2歳で、後肢湾曲気味だが元気なので、これ以上歩行が困難になることはないだろう」と、軽くかわされてしまいました。
けっきょく、不信感をもった私は、別の獣医さんに診てもらうことにしたのですが、そちらでの診断は、進行性のものだと思うが、どこまで悪化するかわからないというものでした。 ちなみに、その獣医さんは、脳には障害はないとおっしゃられました。 とにかく、生後3ヶ月にも満たない状態ではレントゲンもあまり映らないと言われ、一応撮っていただいたのですが、けっきょくはっきりとした原因は見当たらない、とのこと。
しばらく様子を見るしかできないと言われ、 生後3ヶ月を迎えたのですが、歩行がより酷くなっただけではなく、 そのころから徐々に食欲が減退してゆきました。 また、さらに頻繁に身体の痙攣が起こり始めました。(猫は平気な顔をしており、痛がってはいない) しかし、診断は皮筋をつかさどる首から下の(あくまで脳ではない) どこかの神経異常だろう、とのことでした。 痙攣については、あくまで心配することはない、と。 気休めのビタミン剤をもらって、終わり。
3ヵ月半ごろ、やっと、後肢の膝が脱臼していることが判明しました。 それまでも透視やレントゲンをしていただいていたのですが、わからなかったようです。(でも触ればすぐにわかるのだと次の獣医さんは言いました) 診断は、生まれつきの脱臼だろう、とのことでした。 しかし、猫の膝脱臼自体が、非常にまれだということで、 生まれつきだとすればなにが異常なのか、けっきょく判らないままでした。
さらに、最近は3度、どこにもぶつけていないのに鼻血を出しており、これも原因がわからないままです。 食欲は相変わらずあまりないし、抑鬱状態で、眠ってばかりいます。 そのような状態でしたので、ただ様子を見ているだけのことしかできないのは辛く、けっきょく、3つめの獣医さんを訪れることになりました。 それが、今日…でした。
いま、生後4ヶ月ちょうど。 体重1,2キロ。 食欲減退とともに、しばらく体重も骨格も増えていません。
その獣医さんは、痙攣をみて、すぐに「小脳の形成不全」と診断しました。 母猫の子宮内でウィルス感染した場合、そうなるのだそうです。 その場合、生後2ヶ月ごろから痙攣や食欲不振、動きも鈍くなり、すべてに無気力になり、数ヶ月のうちにほとんど動けなくなり、飼い主が見るに見かねて安楽死させるのが先か、死亡するのが先か、というほどの、重い先天性の病だということでした。 「これは先天的なものだからペットショップに交渉すべきだよ」とも言われました。
このように、治療法は一切なく、進行性で死ぬのを待つだけ、という診断があり、大学病院で麻酔をしてMRIをかけるかどうかを尋ねられたのですが、 子猫で、現在の状態で、はたして麻酔をかけていいものかどうか、MRIでなにがわかるのか、糸口を見つけられる可能性があるのか。
後肢についても、脱臼だけではなく腫れている、とのこと。 ほかにも、鼻をぐすんとやったりくしゃみをすることが、ここ1ヶ月ほどずっと続いているし、目やにも、黄色いねばねばしたものが消えません。 一度は気にすることがないと言われた痙攣がそんな重い病の徴候だったらしいので、なにを信じていいのか、正直混乱している状態です。 私がしっかりしなくてはならないのに。
最後にこの診断をした獣医が、 「これは面白い、ほかにもいっぱい疾患持ってそうだね」と言われました。 医者らしいコメントだと思いましたが、「面白い」というふうに患者である子猫を見ていらっしゃる方の言葉と熱意をいったいどこまで信じてよいものか、迷わざるを得ませんでした。
いったい、この病気はどんな病気なのか、きちんとした情報がほしいと思い、インターネットで検索してみたのですが。 難病には違いはないようですが、けっしてほとんど知られていない病気というわけではないようです。 なぜもっと早く自分で病名を見つけられなかったのか。 そればかりが、ぐるぐるとめぐります。 不治の、進行性の病だとしても、なにか、できることがあったのではないかと。
ついさっき、症状のひとつだそうな眼振を確かめるため、 タムの眼が振れていないか確かめようとして、 眠っているところを起こそうとしたのですが、 何度声をかけても、なんの反応もありませんでした。 思わず、かなきり声でヒステリックに叫んでしまった。 ゆすっても、叫んでも、なかなか目が覚めなかった。
…このまま目が覚めないんじゃないか。
心細くて、医者を信じてこの子の病気に気づけなかった自分が悔しくて。 なんとか目を覚ましてくれたあとも、 堪えきれず、大泣きしました。
あんなふうに、動かなくなって、食べなくなって、 歩こうとしてもふらついて、やせ細っていって、 苦しそうに痙攣しつづけて。 しまいにはただ眠り続けて。 そういう状態を、いずれ見続け、看取らなくてはならないみたいです。
どうしてこんなことに。
母の大切な伯母が、いま危ない状態で、山形に行かなくてはいけないので たったひとりで週末を過ごすことになっています。 この子の容態が急に悪くなっても、すぐには病院に連れて行ってあげることもできない。 いますぐどうにかなるとは限らなくても、 寝てばかりのこの子がちゃんと起きてくれるのか、きっとずっと心配してしまう。
私が泣いたって、タムが怪訝な顔をするだけなのに。 取り乱している場合ではないわ。 やれることをすべて、やってあげるだけ。
2001年12月21日(金)
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