読書の日記 --- READING DIARY
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 驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!/A・J・ジェイコブズ

『驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる!』/A・J・ジェイコブズ (著), 黒原 敏行 (翻訳)
文庫: 701 p ; サイズ(cm): 16
出版社: 文藝春秋 ; ISBN: 4167651521 ; (2005/08/03)

内容紹介
日々脳細胞が溶解していく恐怖にうちかつため、百科事典全巻3万3000ページの読破に挑戦した知識おたくの記録。トリビア情報満載。子供の頃は世界一頭がいいと思っていたが、35歳のいま知的レベルは下がる一方。そこで『ブリタニカ百科事典』全巻読破に挑戦。一年かけて3万3000ページを読破しながら、高IQ集団の会員と物知りバトルをし、『ブリタニカ』編集部を訪ね、要らぬ薀蓄を傾けて妻や友人に辟易され、「クイズ・ミリオネア」に挑戦し……。かつて神童だったすべての人に『エスクァイア』編集者の著者が捧げる、トリビア情報満載の抱腹絶倒の読書日記。(HK)


2005年12月31日(土)
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 A Redbird Christmas/Fannie Flagg

『A Redbird Christmas』/Fannie Flagg (著)
マスマーケット: 193 p ; 出版社: Fawcett Books ; ISBN: 0345480260 ; (2005/10/25)

From Publishers Weekly
Lured by a brochure his doctor gives him after informing him that his emphysema has left him with scarcely a year to live, 52-year-old Oswald T. Campbell abandons wintry Chicago for Lost River, Ala., where he believes he'll be spending his last Christmas. Bestselling author Flagg (Fried Green Tomatoes; Standing in the Rainbow) makes this down-home story about good neighbors and the power of love sparkle with wit and humor, as she tells of Oswald's new life in a town with one grocery store and a resident cardinal (or redbird, as the natives call it). Frances Cleverdon, one of four widows and three single women in town, hopes to fix him up with her sister, Mildred—if only Mildred wouldn't keep dying her hair outrageous colors every few days. The quirky story takes a heartwarming turn when Frances and Oswald become involved in the life of Patsy Casey, an abandoned young girl with a crippled leg. As Christmas approaches, the townspeople and neighboring communities—even the Creoles, whose long-standing feud with everybody else keeps them on the other side of the river—rally round shy, sweet Patsy. Flagg is a gifted storyteller who knows how to tug at readers' heartstrings, winding up her satisfying holiday tale with the requisite Christmas miracle.
Copyright © Reed Business Information, a division of Reed Elsevier Inc. All rights reserved.


やっと読み終えた、ファニー・フラッグの 『A Redbird Christmas』 。200ページほどの本だが、本筋の話が展開しはじめるのが、150ページあたりからという、ちょっと忍耐を要求される本。

『フライド・グリーン・トマト』 (翻訳は絶版!)同様、いかにも南部っぽい描写が楽しめるし、ファニー・フラッグの本には悪人は出てこないから、なんとなく安心した感じで読める。

でも、冴えない中年男(エルフに似ているなどと言われるが、けして「指輪」に出てくるようなエルフではない)の話かと思えば、骨がおかしくなっている女の子の話?でもなく、最後はそれらが全部ひっくるめられてはいるが、結局は鳥の話というわけで、推測がことごとくひっくり返される。

たかが鳥一羽でこんなに大騒ぎして・・・なーんて言ってはいけないんだ。これは「ちょっといい話」なんだから。みんないい人ばかりだし、この人が犯人?なん疑うのもダメ。そんなことで疑ったりしたら、あとで「私はなんて悪人なんだろう」と後悔する。あくまでも性善説でなければならない。

途中に、川向こうに住むクレオールの家族との確執が出てくるが、最後にはそれも丸く収まる。クレオールが出てくるところに南部らしさを感じるが、べつに相手はインディアンでも何でもいい話だ。

骨に障害がある女の子の手術をめぐって、町中が一丸となって大騒ぎになるのだが、そんなところは、バーバラ・デリンスキーの 『Three Wishes』 に似ている。スモール・タウンは、どこでも皆そんな感じなのだろうか。それとも、これこそサザン・ホスピタリティなんだろうか。

そういった精神は、本の冒頭から感じられる。シカゴに住んでいる冴えない中年男が、「ここにいたら今度のクリスマスまでには死にますよ」と言われ、アラバマに引っ越すわけだが、見ず知らずの男にも、住民たちは非常に親切に世話を焼いてくれる。でも、そういうのがうっとうしい人には、南部は向かないのかもねと思う。

『フライド・グリーン・トマト』もそうだったが、この本にも南部料理のレシピがたくさん出てくる。それもストーリーのうちだ。とても気になる「Polka Dot's Secret-Weapon Tomato Aspic」と「Happy New Year Black-eyed Peas」。

2005年12月29日(木)
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 ねじの回転 デイジー・ミラー/ヘンリー・ジェイムズ

『ねじの回転 デイジー・ミラー』/ヘンリー・ジェイムズ (著), 行方 昭夫 (翻訳)
文庫: 366 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 岩波書店 ; ISBN: 4003231392 ; (2003/06/14)
出版社/著者からの内容紹介
〈アメリカ的なもの〉と〈ヨーロッパ的なもの〉の対立を扱い、一躍ヘンリー・ジェイムズ(1843−1916)の文名を高からしめた〈国際状況もの〉の代表作「デイジー・ミラー」。その解釈をめぐってまさに議論百出の感のある、謎に満ち満ちた幽霊譚「ねじの回転」。ジェイムズの最もポピュラーな中篇2篇を収録。新訳。


<デイジー・ミラー>

「ねじの回転」の前に「デイジー・ミラー」を読んだのだが、なんとなく、このデイジーという女性が、自分のことのように思えた。

というのも、1800年代の封建的なヨーロッパの上流社会において、アメリカの富豪の娘であるデイジーは、あまりにも奔放すぎるアウトローなのだ。「上流社会の娘が、あんなことをして!」と、周囲の紳士、淑女たちから非難ごうごうの娘なのだ。かといって、実際にふしだらであったりするわけではなく、本人はいたって天真爛漫でしかないのだと思うのだけれど。

で、私は上流でもないし、富豪でもないが、周囲から見れば、おそらくアウトローに見えるのだろうと思う。「まあ!主婦がお酒を飲みに行ったりして・・・」とか、「ご主人以外に男友達がいるなんて・・・」と思われているに違いない。

しかしデイジーと一緒で、やりたいことをやっているにすぎない。主婦がお酒を飲んではいけないとは思っていないし、たまたま友だちの性別が男だったりするだけで、それ以上の意味もないし、自分の人生を楽しく生きて何が悪い?とも思う。デイジー同様、世間の目など、あまり気にしていないから。

というわけで、この「デイジー・ミラー」は、当時としてはかなり奔放な女性についての描写であっただろうから、非常に話題にもなったのだろうが、いつの時代にも、こんなことはよくあることと思える。こんな風に自分の意志で自由に生きる女性には共感を覚える。

ただデイジーが、あまりにあっけなく死んだのと、その死についての言及があまりにそっけないのとに唖然とした。この小説の主人公の男は、デイジーのことが好きだったのに、世間の目や厳格な伯母の目を気にして、なにやかやといいわけしながら(例えば「デイジーは下品な娘なのだ」とか)、デイジーの死に、自分は何の関係もありませんよ的なそっけない態度を取るのがいやらしい。ほぼ毎日のように、デイジーのいるホテルに通い詰めていたというのに。

この主人公に比べれば、デイジーと付き合っていたイタリア男のほうが、ずっと正直で好感が持てる。自分はデイジーとは身分が違うけれど、デイジーが望むことは何でもしてあげたい、一緒にいれるだけで幸せなのだと言える、この男のほうが、体裁ばかり気にしている主人公よりも数倍いい。

この時代、女性は何かというと気を失って、すぐに気付け薬の瓶を嗅ぐというようなことをしていたわけだから、デイジーが主人公の男を好きだったとすれば、男に拒絶されたショックで死んだとしても不思議はない。自由奔放な娘でも、心は非常に傷つきやすかったとは言えないだろうか?

ヘンリー・ジェイムズは、デイジーという女性を描いたつもりだったのだろうが、私は体裁と世間体を気にする優柔不断男の典型を見せられているような気がした。時代背景を考慮しても、こんな男は嫌だ。だいたい、いい年をした大人の男が、伯母様のお供をして旅行をしているなんて、気持ちが悪い。


<ねじの回転>

クリスマスものと思っていたのだが、実際はクリスマス・イヴに語られた話というだけで、中身は全然クリスマスには関係なかった。

有名な幽霊話と聞いていたが、訳者あとがきを読むと、本当に幽霊が出たのだと解釈する人と、あれは語り手の女教師の妄想だとする人がいるらしい。たしかに、あの女教師はちょっとヒステリックだなと思う。

でも、私は普段からホラーやゴシック小説を読んでいるので、幽霊の話が荒唐無稽だとも思わないし、見える人には見えるのよねと思うから、実際に出たのだろうと思って読んでいた。

ただその幽霊2体が、なぜ出てくるのか、それがちょっとよくわからない。女教師が教えている子どもたちのところに出てくるわけだが、だからといって、アン・ライスの幽霊のように、何か実際に影響があるのか?というと、そういうわけでもなく、ただ女教師が幽霊を邪悪であるとするばかりなのだ。

女教師は、子どもを邪悪に寄せ付けないために、幽霊を撃退しようとしたのだろうか?子どもはけして純真無垢なものではなく、大人よりも残酷な邪悪さを持っていると思っているので、その幽霊のために、学校を退学させられるほどの「悪い子」になったとは思えない。

あまり強調されてはいないが、身寄りのない子どもたちを引き取っている伯父さんの不在が、子どもたちに寂しさを感じさせ、自分たちを気にかけてくれる人間(のちに幽霊になる)に、親しみを感じていたのだろうと思う。つまり、愛情に飢えた子どもたちの精神状態なども描かれていたのだろうと考える。

印象としては、先にあげたアン・ライスや、『嵐が丘』などのゴシック小説のような感じを受け、たぶんこの時代の幽霊話とは、だいたいこんな感じなのだろうなと思ったが、この小説では幽霊たちは何の悪さもしていないのだから、はなから邪悪な存在と決め付けるのはどうなんだろう?と思う。

しかし、そんなふうな決め付けをしてしまった女教師の、雇い主に対する恋心というものまで解釈されている。批評家たちというのは、考えなくてもいいことまで考えるらしい。確かに、お金持ちでハンサムな雇い主ならば、恋心も抱いたかもしれない。しかし、素直に、単なる幽霊話と受け取ってはいけないのか?いわゆるホラー小説として読んではダメなんだろうか?と思った。

実際に幽霊が出たにしても、あるいは女教師の妄想にすぎなかったとしても、サイコものとして、十分ホラー小説ではないか。「ヘンリー・ジェイムズの曖昧性」とか何とか説明がされているが、何か大きな意味があるのだろうか?と勘ぐるから曖昧なのだ。ホラー小説だとして読めば、こういうものだと収まるだろう。

幽霊話で、きっちり理屈で説明がつくようなものには、いまだにお目にかかったことがないし、これは幽霊話だと最初に言っているのだから、そう思って読めばいいんじゃないかなと思う。

これはものすごく怖い話だと聞いていたが、私にとって怖かったのは、幽霊ではなくヒステリックな女教師のほうだったとも言える。

2005年12月22日(木)
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 A Prairie Christmas:
A Pair of Novellas Celebrating the Age-Old Season of Love/Pamela Griffin、Maryn Langer


『A Prairie Christmas: A Pair of Novellas Celebrating the Age-Old Season of Love』/Pamela Griffin (著), Maryn Langer (著)
ペーパーバック: 220 p ; 出版社: Barbour Pub Inc ; ISBN: 1593102569 ; (2004/09)

・One Wintry Night/Pamela M. Griffin
・The Christmas Miracle/Maryn Langer


2005年12月20日(火)
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 The Christmas Shoes/Donna Vanliere

『The Christmas Shoes』/Donna Vanliere (著)
ハードカバー: 144 p ; 出版社: Integrity Pub ; ISBN: 1591450586 ; (2002/10)

内容(「MARC」データベースより)
あの頃は、神さまが誰かの人生を変えるために一足の靴を使うなんて、信じられるわけがなかった…。15年前の雪の日、喜びを失った弁護士が出会った人生でいちばん大切なもの。


Donna Vanliere の 『The Christmas Shoes』 を読んだところだが、実は買ったときから何度もトライしては投げ出していた本で、そこを我慢して、今年はようやく読み終えたという状況だったのだ。

しかし、翌年出版された 『The Christmas Blessing』 も買ってあるし、今年もまた 『The Christmas Hope』 を買ってしまった。1作目は面白くないかもしれないけど、次は面白いかも?などと思って・・・。べつに続き物というわけでもないのだから、律儀に毎年買わなくてもいいとは思うんだけど。(^^;

例によって「ちょっといい話」的な本なのだが、「ちょっといい話」を書こうという意気込みだけが見えて、話そのものに盛り上がりもないし、退屈なのだ。不治の病にかかった母親が死んでしまうというのも、なんだか「泣いてください!」と強制されているようで嫌だし。

取り扱っている素材はいいのに、テンポが良くないのか、展開にメリハリがないのか、集中できずに退屈してしまうのがもったいない。そもそも「ちょっといい話」というのは、だいたい「そんなに面白くはない話」なんだなと思う。

当然のことながら、「すごくいい話」のほうが面白いに違いないし、逆に「すごく悲惨な話」のような「人の不幸は蜜の味」的な話のほうが、人間は面白いと思うだからだ。「ちょっといい」くらいの話では、そう簡単に感動はできないだろう。それ相応に年も重ねているから、「もっといい話」もたくさん知っているわけだし。

だったら買わなきゃいいのにと思うのだが、表紙がほら、三角屋根の家があって、雪景色で、キラキラしてて・・・という抵抗できない物体なものだから、中身はともかく、つい手が出てしまうのだ。本当に毎年懲りない。

2005年12月18日(日)
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 Three Wishes/Barbara Delinsky

『Three Wishes』/Barbara Delinsky (著)
ペーパーバック: 419 p ; 出版社: G K Hall & Co ; ISBN: 0783883161 ; Largeprint 版 (1998/12)

内容(「BOOK」データベースより)
交通事故により重傷を負ったウエイトレスのブリーは、光り輝く存在から三つの願い事を授けられて現世に戻るという臨死体験をする。彼女を車ではねたのは、弁護士にして有名作家という素姓を隠して最近町に引っ越してきたトム・ゲイツだった。事故のために子供を生めなくなってしまったブリーは、献身的に看病をしてくれたトムと愛し合うようになる。私は三つの願いをかなえるために生き返ったの?でも願いが実現したとき、私は死ぬのでは?とまどいのなかに愛を選んだ女性の生き方に心癒される、感動のラブロマンス。



これもクリスマス本のひとつで、どうせ・・・と全く期待していなかったのだが、予想に反して、とても面白かった。

内容は、「交通事故により重傷を負ったウエイトレスのブリーは、光り輝く存在から三つの願い事を授けられて現世に戻るという臨死体験をする。彼女を車ではねたのは、弁護士にして有名作家という素姓を隠して最近町に引っ越してきたトム・ゲイツだった」という設定で、もちろんこの二人が恋に落ちて結婚にまで至るのだが、問題は、与えられた「三つの願い」だ。

この「三つの願い」は、本当に叶えられるのか?はたまた、願いが三つ叶えられたあとはどうなるのか?というのが、最後まで読者を引っ張っていく鍵で、それが、ロマンスにちょっとしたミステリを加味し、退屈させない展開となっている。

事故により、子どもができなくなってしまったブリーだが(99,5%くらい不可能と言われる)、愛する夫トムのため、「子どもを授けてください」と願いをかけるわけだが、その願いは、与えられた三つのうちの最後のもの。これが叶ったら・・・。

さて、このひとつの願いのために、自分の命がなくなるとしたら、一体どうするのがいいのだろう?個人的には、トムはあくまでもブリーを愛したのであって、子どもを愛したわけではないとも思うし、トムの人生において、ブリーが一緒にいなければ、意味がないのではないかとも思う。

二人の愛の結晶としての子どもは素晴らしいのだろうが、「三つの願い」などということがなければ、子どもがいなくても、二人は一生幸せに暮らしていけただろうに、とも思う。でもブリーは、どうしてもトムに子どもを作ってやりたかったのだ。

結末は、ちょうどクリスマスだ。どんな結末か、うすうす感じているのだが、その結末に向かっていくのが、とても怖い。死に向かって、カウントダウンをしているようだからだ。

二人があまりにも幸せで、あまりにも満ち足りているため、そこに向かっていくプロセスが、とても辛い。けれども、事故で一度死んだと思えば、それからの日々は、神に与えられた素晴らしいおまけのようなものだろう。とても残念な結末ではあるけれど、そこで終わっているからこそ、美しい物語になっているとも言える。

にしても、ハンサムでお金もあって、優しくて逞しい、何があっても守ってくれるトム・ゲイツのような男だったら、私も結婚したい!(^^;

2005年12月17日(土)
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 Snowbound Baby/Susan Meier

『Snowbound Baby』/Susan Meier (著) 
マスマーケット: 184 p ; 出版社: Silhouette ; ISBN: 0373197918 ; (2005/11)
From Publisher
You know me too well to call me a hero, but I rescued two strangers from this deadly blizzard after spotting their vehicle in near white-out conditions. Now I'm sharing a secludes cabin with gorgeous Zoe Montgomery and her adorable infant. When I first started out, saving my precious ranch was all that mattered to me, but now...well, it's about all I can do to keep up with my new domestic duties and keep my eyes (and hands) off Zoe. But Cooper Bryant, devoted husband and dad? That would take a Christmas miracle....


2005年12月14日(水)
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 始末屋ジャック 見えない敵(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『始末屋ジャック 見えない敵(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 362 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594048730 ; 上 巻 (2005/01)

出版社より
乗り合わせた地下鉄車内で銃を乱射しはじめた殺人狂を手持ちの銃で制し、その場を立ち去ったことから「幻のヒーロー」として、新聞記者に追われる身となった、われらが<始末屋ジャック>。文字通り名前も身分も消して、大都会ニューヨークの無関心のなかに身を潜めてきた裏世界の仕事人に重大な危機が訪れる。他方ジャックは、奇妙な以来を引き受けたが、その依頼人はジャックの消息を知るはずもない、実の姉のケイトだった!そしてジャックが相対することになる、新たな敵の正体とは・・・?


『始末屋ジャック 見えない敵(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 370 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594048749 ; 下 巻 (2005/01)

出版社より
始末屋ジャック・・・。これまで誰にも知られることがなく生きてきた男は、とある事件を契機に、功名心を燃やしたタブロイド新聞の記者サンディに追い回される身となった。他方ジャックの姉ケイトの周辺で起る怪事件は、超自然のものであり、明らかに異界からの侵入であることを示していたが、その敵との戦いは、ジャックにとってこれまで以上に困難な、そして想像を絶するものだった!影のヒーロー<始末屋ジャック>が、超自然の敵を相手に繰り広げる孤立無援、七日間の死闘の結末は?



<始末屋ジャック>シリーズは、わざわざ感想を書くようなものでもないとも思うけれど、とりあえず感想として載せたものもあるし、書いていないものもある。個人的には、あらすじさえわかれば十分。

このシリーズは、★5個に対して、3個くらいの感じだろうか。3個では少ない気もするが、4個をつけるほどではない。というのも、時々状況説明がだるくなることがあるからだ。しかし、なぜ次々に読んでしまうかというと、「始末屋」が、どんな始末をつけるのか、そこに非常に興味をそそられるのだ。

「正義」というのが、どんな定義かにもよるが、正義の味方という言い方は違うだろう。殺しもするし、どんな酷いことでもやるのだから。例えて言えば、必殺仕事人のようなものだ。かといって、自分が納得しないものはやらない。そこが、ちょっとハードボイルドっぽいジャックの魅力となっているのだろうと思う。

にしても、一気に5作続けて読むと、いい加減ちょっと飽きてくる。ひとまずこのあたりでやめておくのが正解ではないかと。ハードボイルドだけなら、こんなに続けて読まなかったかもしれない。そこにホラーの要素があって、なにやら不穏な感じなのが、結構面白かった。

今回は実体のない、まさに「見えない敵」を相手にするわけだが、それがどうやら、例の「異界」との繋がりがあるらしい。人間の脳を占領してうんぬんという話で、ウィルスンの本業(医師)ならではの記述も多い。

また今回は、長年会っていないジャックの姉が登場し、彼女が弟とは知らずにジャックの依頼人となり、さらに異界の犠牲者になってしまう。このあたりのジャックの苦悩は、恋人であるジーアや、その娘ヴィッキーとの関係にも似て、「正義」というよりも、愛するものを狙われた「怒り」が支配しているようだ。「正義」は、「怒り」を媒介として存在するものなのかもしれない。

2005年12月11日(日)
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 悪夢の秘薬(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『悪夢の秘薬(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 343 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594039391 ; 上 巻 (2003/04)

内容(「BOOK」データベースより)
五月…ニューヨークでは、狂暴な暴力の発作を伴う新麻薬が蔓延していた。われらがヒーロー〈始末屋ジャック〉は、製薬会社の女性研究員から、謎のセルビア人ギャングのボス、ミロシュの調査を依頼される。ミロシュはこの新麻薬に絡んでいるらしい。一方製薬会社重役モネを尾行するジャックは奇妙な人体実験を目撃。荒れ狂う被験者のありさまは、新麻薬の発作と同じものだった!単なる脅迫と思えた事件は、奇怪な様相を見せていく。鬼才F・P・ウィルスンが放つ痛快アクションホラー巨編。


『悪夢の秘薬(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 325 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594039502 ; 下 巻 (2003/04)

内容(「BOOK」データベースより)
モネは怪しげな“珍奇博覧会”なる見世物小屋にひんぱんに出入りしている。ジャックは、その見世物小屋に潜入した。そこで彼は驚愕すべきものを目撃する。それは、再びみることはないとおもわれた、魔界の使者ラコシの姿だった。かつて壮絶な死闘を繰りひろげ、死滅させたはずのラコシ!新麻薬とラコシを結ぶ見えない糸とは?ジャックは、かつて倒したはずの敵と再びまみえることに…!ついに映画化される傑作『マンハッタンの戦慄』につらなる好評アクションホラーシリーズ最新作。




2005年12月08日(木)
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 異界への扉/フランシス・ポール・ウィルスン

『異界への扉』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大瀧 啓裕 (翻訳)
文庫: 557 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594035876 ; (2002/07)

出版社/著者からの内容紹介
モダンホラーの古典的傑作『マンハッタンの戦慄』『神と悪魔の遺産』につづく、第三作!裏世界の仕事人〈始末屋ジャック〉のもとに、行方不明の妻を探してほしいという依頼があった。彼女は〈秘密組織と未承認現象を暴露する協会〉なる怪しげな組織の会員で、近く年次総会で、世界の不可解な現象を解き明かす大統一理論を発表するという。そして、ジャックはこの世ならぬものの跳梁と対決することに……。



『異界への扉』を読了。これは上下分冊になっておらず、結構分厚かったので、今日中に読み終わるかどうか・・・と思っていたのだが、順調に読み進んで、無事読み終えた。

この話は、ミステリなのか?ホラーなのか?とずいぶん迷った。私の感覚ではホラーとは言い難いのだが、一応ホラーの部類なのかなあ?・・・まだ迷っている。

始末屋ジャックが、UFOやエイリアン、オカルト、世界陰謀説などを信じている人たちの集会に潜入して、行方不明の女性を探す話なのだが、ジャックは、はなからそういった話を馬鹿にして、せせら笑っているといってもいいだろう。

ところが、最後はほんとに異世界が出てきてしまう。異世界のブラックホールみたいな穴に、吸い込まれそうになるのだ。そこには、1作目の『マンハッタンの戦慄』に出てきた化け物ラコシがいて、ジャックに復讐したがっているらしい。ラコシの姿は出てこないが、その存在を示すような話が出てくる。

というわけで、『マンハッタンの戦慄』は、ラコシの存在から、ホラーのジャンルに入れたのだが、そうなると、これもホラーになるだろうと思うのだ。怖いばかりがホラーではないか、と。

ちなみに、私はUFOもエイリアンも信じていて、その手の話は大好きなので、この本に出てくるような集まりに行ってみたいなとも思うのだけれど、どうもこの「異界」というのは嫌だな。「異界への扉」なんかなくていいよ、と。

その異界の生き物が(人間の感覚からしてノーマルではない姿のものが多いらしい)、今私たちが認識している地球(あるいは宇宙)を征服したがっているようなのだが、この本の結末では、とりあえずの危機は回避されたが、異界そのものはまだ残っているわけで、この先もこの話は続くのだろうと思わせる。

<始末屋ジャック>シリーズとしては、作者の筆も乗ってきたようで、ユーモアも増えて、ジャックの印象もだんだん良くなってきている。でも、今回のような話になると、単なる「始末屋」じゃなくて、ヴァン・ヘルシングみたいなモンスターハンター的な様相も呈してきているかも。

2005年12月06日(火)
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 神と悪魔の遺産(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『神と悪魔の遺産(上)―始末屋ジャック』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大瀧 啓裕 (翻訳)
文庫: 323 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594030645 ; 上 巻 (2001/01)
内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨークの小児エイズ・センターを取りしきる若き女医アリシアは、急死した父の遺産として屋敷を受け継いだ。しかしそこには、彼女の秘密が封印されている。悪夢の屋敷を処分すべく動きはじめたアリシアに対し、強大な敵の妨害工作がはじまった。しかもその背後には、腹ちがいの兄がいるらしい。頼りの弁護士を爆殺され、徐々に追いつめられていくアリシア。ついに屋敷の焼却を決意した彼女のまえに、凄腕の男が現われた―"始末屋ジャック"。姓もなく、社会的な身分もいっさい消した、裏世界の仕事人である。

『神と悪魔の遺産(下)―始末屋ジャック』/F・ポール・ウィルスン (著), F.Paul Wilson (原著), 大瀧 啓裕 (翻訳)
文庫: 340 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594030653 ; 下 巻 (2001/01)
内容(「BOOK」データベースより)
始末屋ジャックは、小児エイズ・センターで起きた卑劣な犯罪を解決する仕事から、美しき女医アリシアと出会う。だが、彼女自身がたいへんなトラブルをかかえていた。遺産として受け継いだ屋敷をめぐって暗躍する、ふたつの謎の結社。隠された秘密をついに解き明かしたジャックは、世界を根底から揺るがす凄絶な戦いに巻きこまれていた…モダンホラーの金字塔『マンハッタンの戦慄』の始末屋ジャックが帰ってきた!F・ポール・ウィルスンが構想も新たに贈る、アクション・エンターテインメント。




F・ポール・ウィルスンの『神と悪魔の遺産』を読み終える。これもホラーだと思って楽しみに読み進んだのだが、結局普通のミステリだった。しかも「クリスマスもの」で、「ちょっといい話」的な部分もあったりして、拍子抜け。

それはそれで面白かったのだが、読んでも、読んでも、怪物や化け物は出てこないし、不思議なオカルトめいたところもない。なんだこれ・・・?と思っているうちに、終わってしまった。

訳者あとがきによれば、幽霊話ではないクリスマス小説(クリスマス小説とは、一般に『クリスマス・カロル』のような幽霊話であるとの定義がされているらしい)であるとのこと。つまり、始末屋ジャックにも人情があるんだよということか。

12月はクリスマスものという予定が大幅に狂ったと思っていたが、図らずも<始末屋ジャック>シリーズで、クリスマスものを読んでいたわけだ。

でも、ハードボイルドに徹するなら、全編ハードボイルドで通したほうが面白いんじゃないか。『マンハッタンの戦慄』みたいに、途中からホラーになるなんて、中途半端だ。ホラーならホラーで、最初からホラーでなければ!

この話では、生まれながらのHIV患者である子どもたちに届けられたおもちゃを盗んだ犯人を、ジャックがサンタクロース姿で「ホッホッホー!」と言いながらやっつけるところが痛快。社会に存在しない人間として生きているジャックだから、普段はできるだけ目立たないように活動するのに、今回ばかりは、ちょっと羽目をはずしたようだ。

幼児ポルノや、幼児虐待など、子どもが虐げられている犯罪についての話だったが、こと子どものことになると、ジャックは怒りが増幅するみたい。

2005年12月05日(月)
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 マンハッタンの戦慄(上・下)/フランシス・ポール・ウィルスン

『マンハッタンの戦慄(上)』/F・ポール・ウィルスン (著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 346 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594006191 ; 上 巻 (1990/08)
内容(「BOOK」データベースより)
巨大都市ニューヨーク。それは現代の魔都だ。この街の裏側では想像もつかない闘いがくりひろげられていた。酷暑の夏、マンハッタンでは街の浮浪者が次々に姿を消すという事件が起こっていた。しかし、その原因は誰にもわからなかった。一方、「保安コンサルタント」こと、非合法の世界で危ない仕事をこなす〈始末屋ジャック〉は、国連のインド外交官だという不思議な男クサムから、路上の強盗に奪われたという家宝のネックレスの捜索を依頼された。ジャックが首尾よくネックレスを取り戻すのと前後して、彼の周辺で奇妙な事件が続発しはじめた。老婦人の失踪、ジャックを誘惑する謎の美女。いくつもの手掛かりが結びつき、驚くべき謎の正体が解かれていく。

『マンハッタンの戦慄(下)』/F・ポール・ウィルスン (著), 大滝 啓裕 (翻訳)
文庫: 367 p ; サイズ(cm): 15 x 11
出版社: 扶桑社 ; ISBN: 4594006205 ; 下 巻 (1990/08)
内容(「BOOK」データベースより)
〈ラコシ〉―それは鋭い牙と鉤爪を持ち。黄色い眼を光らせ。人肉を食らうこの世のものならぬ魔物だった。太古の旧支配者がつくり出した醜悪な怪物〈ラコシ〉を操る力をもった怪人クサムは、百三十年前に、インドの寺院からイギリス軍人ウェストファーレン大尉に財宝を盗まれた怨みを晴らし、その子孫を根だやしにすべく、はるばるニューヨークまでやってきたのである。愛する少女ヴィッキーを護るため、始末屋ジャックは死力をつくして戦うが、クサムと彼が放つ〈ラコシ〉は執拗に襲いかかってくる。吸血鬼小説『城塞』で注目されたF.ポール・ウィルスンが、現代の魔都ニューヨークを舞台に描く入魂のオカルト伝奇ホラー巨編。

●画像は原書 『The Tomb (Repairman Jack Novels)』/F. Paul Wilson

2005年12月03日(土)
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