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■ ドラゴンランス 夏の炎の竜(上・中・下)/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン
『ドラゴンランス 夏の炎の竜(上)』/マーガレット・ワイス (著), トレイシー・ヒックマン (著), 安田 均 (翻訳) 単行本: 352 p ; サイズ(cm): 21 x 15 出版社: エンターブレイン ; ISBN: 4757715803 ; 上 巻 (2003/09/24) 内容(「MARC」データベースより) 世界で5千万部のベストセラー「ドラゴンランス」「ドラゴンランス伝説」「ドラゴンランスセカンドジェネレーション」に続くD&Dファンタジーの続編がついに日本上陸。世界創世の真実と神々の戦いの歴史が今明かされる!
『ドラゴンランス 夏の炎の竜(中)』/マーガレット・ワイス (著), トレイシー・ヒックマン (著), Margaret Weis (原著), Tracy Hickman (原著), 安田 均 (翻訳) 単行本: 309 p ; サイズ(cm): 21 x 15 出版社: エンターブレイン ; ISBN: 4757716699 ; 中 巻 (2003/12/19) 内容(「MARC」データベースより) ドラゴンランス戦争から約25年。「暗黒の女王」タキシスを奉じる闇の軍勢が勢力を盛り返し、世界進攻を開始する。異常気象の中、一気に滅びへと向かう世界を救うべく、ドラゴンランス戦争の英雄達が動き出すが…。
『ドラゴンランス 夏の炎の竜(下)』/マーガレット・ワイス (著), トレイシー・ヒックマン (著), Margaret Weis (原著), Tracy Hickman (原著), 安田 均 (翻訳) 単行本: 385 p ; サイズ(cm): 21 x 15 出版社: アスキー ; ISBN: 4757718012 ; 下 巻 (2004/03) 内容(「MARC」データベースより) さらば、ドラゴンランスの英雄と神よ。万物と無の父、火竜、異界の魔物が世界を襲う。親子二代にわたるドラゴンランスすべてを締めくくる完結篇。
この「夏の炎の竜」シリーズは、クリン(この物語の舞台である惑星)を創造した神々の話や、その神々の父カオスによって、世界に終末がもたらされるという内容である。個人的には宗教がらみのファンタジーは好きではないので、もっとも避けたい内容ではある。もともと「ドラゴンランス」は神々の存在が色濃く出ており、その神々に仕える僧侶たちの存在も大きい。
だが最初の『ドラゴンランス』全6巻は、宗教的な色合いを差し引いても面白かったが、この『夏の炎の竜』全3巻は、それを差し引いたら話にならない。少なくとも半分は、そういった神々と宗教の話である。その点で、非常に不満が残るし、最初の『ドラゴンランス』に感じたわくわくした感じは、全く感じられない。
主人公はキャラモンの末息子である白ローブの魔術師パリン(上の兄二人は戦死)と、スターム・ブライトブレイドとキティアラの息子スティール(暗黒の騎士)である。そこにレイストリンの娘(といわれている)ウーシャや、ケンダーのタッスルホッフ・バーフット、レオルクスの化身であるドワーフのダウガン・レッドハンマーなどが関わって、カオスのもたらした最終戦争を戦うのである。
まず気になっていることから先に書いてしまうが、レイストリンは<奈落>で生きていた。パリンが大審問を受けたときにマギウスの杖を贈り物として授けるといったことから、パリンは叔父さんは生きていると確信する。そして必要に迫られて<奈落>に行き、レイストリンを<奈落>から連れ戻し、一度はキャラモンのもとに連れて帰るのだ。
そして、レイストリンの娘と言われるウーシャだが、たしかに目はレイストリンと同じく金色だが、実は娘ではなかった。レイストリンが過去に遡って調べたところ、全く関係のないことがわかった。では産まれてすぐ、イルダ族の男に連れて行かれた、レイストリンの本当の娘はどうしたのだろうか?どこにいるのだろうか?ウーシャはあまり好きなキャラではないので、レイストリンの娘でないなら、登場しなくてもよかったんじゃないかとも思える。
スタームの息子スティールは、父親譲りの勇敢で高潔な性格ゆえ、心の中に常に葛藤を抱えている。あくまでも暗黒の騎士であり続けたが、最後には白ローブの魔術師パリンと力を合わせて戦い、父に恥じない勇敢な最期を遂げる。
しかしその前の戦いで、敵側のスティールの命を助けたタニスが、その目の前で殺されてしまう。これには唖然。一番好きなキャラだっただけに、ショックだった。タニスはスタームとの約束どおり、スティールを守ったのに、スティールはなぜタニスを死なせたのだ!と憤りも感じてしまう。スティールも、父のスタームよりは好きなキャラではなかったので、タニスのほうが死ななければならないとは、本当に悔しい。息子ギルサスの活躍もほとんどなく、晩年は苦悩に満ちたタニスだった。
スティールの上官アリアカン卿の死(カオスとの戦いで)は、大きな存在であった割に、あまりにあっけなかった。
だが最後の英雄は、ケンダーのタッスルホッフ・バーフットだ。ウーシャとパリオンがまごまごしていて、カオスに狙われたとき、小さなナイフを持って、巨大なカオスに飛び掛っていったのだ。そのおかげでカオスの血液を<灰宝石>に閉じ込めることができ、絶望的だった状況が一転。世界は破滅から救われた。タッスルはカオスに踏み潰され、<奈落>へと旅立つ。
最後は<竜槍戦争>の仲間、老ドワーフのフリントが、タッスルを待っている場面。そこにタッスルがやってきて、酒を酌み交わすところで終わる。ここはさすがにしみじみとする。
タニスがずっとヒーローだったら、たしかに出来すぎな物語になってしまったかもしれないが、最後の英雄がタッスルとは思ってもいなかった。タッスルは、非常に魅力的だけど。
これまでの17巻で、一応「ドラゴンランス」は完結ということになっているが、この後、シリーズはまだまだ続いている。『魂の戦争編』、『新たなる冒険編』、『レイストリン戦記編』と続いていく予定らしい。レイストリンの少年時代や、キャラモン、キティアラとのエピソードなどといったことも、新たに書き加えられているらしい。やっと一息ついたと思ったが、まだまだ終わりにはなりそうにない。今後1冊ずつ出版されるのを待っていると、欲求不満になりそうなので、それらが出揃ったところで、再び読み始めたいと思う。何年後になるだろうか?
2005年05月03日(火)
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