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■ アメリカ南部―大国の内なる異郷/ジェームス・M・バーダマン
『アメリカ南部―大国の内なる異郷』/ジェームス・M. バーダマン (著), James M. Vardaman (原著), 森本 豊富 (翻訳) 新書: 249 p ; サイズ(cm): 18 出版社: 講談社 ; ISBN: 4061492535 ; (1995/06) 出版社/著者からの内容紹介 「古き良き」大農園文化(プランテーション)。一方に、過酷な生活から花開いた黒人文学や音楽。合衆国史を重層的に彩り、今なおアメリカの深奥に生きる「南部(ディクシー)」世界。
メンフィスの夜――4月3日の夜、キング牧師は講演の中で、「私はもう山頂に到達したが、モーセのように「皆と一緒に約束の地に行くことはできないかもしれない」と暗示的なことを述べた。その講演は、皮肉にも翌日に起こった彼の運命を言い当てていた。ロレイン・モーテルの2階のバルコニーで、キング牧師はジェイムズ・アール・レイの凶弾に倒れた。全米はおろか、全世界で名の知れ渡っていた公民権運動家の暗殺の知らせは、全米を駈けめぐった。公民権運動の偉大な指導者が凶弾に倒れたという悲報を受けて、全米各地で暴動が発生した。私のいたローズ大学(Rhodes College)では、学生はダウンタウンに出かけないように申し渡された。そして、メンフィス市全域に夜間外出禁止令が出された。大学寮の窓の外を、武装した兵を乗せた軍の搬送車が通り過ぎで行ったときのことが、今でも鮮明な記憶として甦ってくる。幸いにメンフィスでは、大きな騒動は起こらなかった。しかし、公民権運動を推し進めていた人々の表情は、明らかに深い落胆のそれであった。――本書より
2005年06月06日(月)
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