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■ The Edge Chronicles (2) Stormchaser/Paul Stewart
内容(「BOOK」データベースより) 浮遊する神聖都市サンクタフラクスの最高位学者と、地上町の商人連合の癒着により、サンクタフラクスと地上町はいまだかつてない危機を迎えていた。地上町の人々は浮遊都市をつなぎとめる鎖をつくるために奴隷のように働かされ、鎖づくりのために水はこのうえなく汚染されている。この危機を救えるのは、トウィッグの父、雲のオオカミをおいてない。嵐晶石を手に入れるために、大いなる嵐を追うのだ。飛空船、ストームチェイサー号の乗組員となってはや二年、少年トウィッグの新たなる冒険が始まる―。地上町、薄明の森、泥地、神聖都市…崖の国を縦横無尽に経巡ってダイナミックに展開する、『崖(がい)の国物語』第二部。
<翻訳> 崖の国物語〈2〉嵐を追う者たち/ポール スチュワート (著), Paul Stewart (原著), Chris Riddell (原著), 唐沢 則幸 (翻訳), クリス リデル 単行本: 550 p ; サイズ(cm): 182 x 128 出版社: ポプラ社 ; ISBN: 4591069842 ; 2 巻 (2001/10) 内容(「MARC」データベースより) 崩れた環境バランス、そこに巣食う利権構造…。町を救うには、嵐晶石を手に入れるしかない。飛空船ストームチェイサー号は、薄明の森へ旅立つ。崖の国を縦横無尽に巡って展開する人気の英国ファンタジー第2弾。
<崖の国物語固有名詞対訳表>
今回は、上の説明にもあるように、主人公トウィッグが空賊となり、浮遊都市サンクタフラクスを救うために、船長の父親と共に飛空船ストームチェイサー号で、薄明の森へ「嵐晶石」を取りに行くという話。
実はこの巻は、あとからわかることなのだが、シリーズ中、最も伏線を含んでいる話なのだ。相変わらず作者の作り出した奇妙な生き物や、現代科学をひっくり返すような物理的な不思議さを満載しているが、トウィッグの将来や、サンクタフラクスの行く末などを描くための下準備といった感じの内容だ。
サンクタフラクスは浮遊石でできている。これはまるで生きているかのようにどんどん成長し、その浮力も増す。そのために「嵐晶石」という、光を当てると軽くなり、暗いところではとてつもない重さになるという石でバランスをとっているのだ。
ところが、サンクタフラクスの最高位学者(神聖都市は学者の町)ヴィルニクス・ポムポルニウスが、自分の地位を不動のものにしようと、「嵐晶石」を持ち出し、「神聖砂」を作ることに利用してしまったため、サンクタフラクスはどんどん浮力が増していってしまい、何本もの鎖で地上町に係留しておかなくてはならない状態となってしまった。
浮力の増大はとどまることを知らず、鎖を作る工業のために、崖の国の河川は汚れ放題。それを浄化するために「神聖砂」が役立つことがわかり、そのためにヴィルニクスが最高位学者となったわけである。ここには商人連合との癒着などもあり、市民はむやみにそれを作ろうとしては、爆死するということを繰り返すのみ。これを憂慮した光と闇の両博士が、トウィッグの父である雲のオオカミに、「嵐晶石」を取ってくるよう命じたということである。
「嵐晶石」は、「大いなる嵐」が薄明の森に最大の稲妻を落としたときに生まれるもので、「大いなる嵐」を追いかけて、その中心部に入ることは、非常に困難。これまでにもたくさんの飛空騎士が試みてきたが、ほとんど成功していなかったのだ。
そして、いよいよ嵐の中に入ったとき、ストームチェイサー号はどうにもならなくなり、乗組員はすべて脱出するしかなくなった。ただひとり、雲のオオカミを残して。トウィッグは、心を引き裂かれそうになりながら、船を離れる。父親にやっと会えたと思ったのに、もう別れねばならないとは!なんと過酷な運命だろうか。
だが、生きて自分の跡を継ぐようにと父から言われた言葉を胸に、トウィッグは船を飛び出すのだ。ここで、トウィッグはひとつ成長する。自分は空賊の息子として、務めを果たさねばならないという責任感が生まれる。
しかし薄明の森に落下したトウィッグは、仲間を探しながら、「嵐晶石」ができるのを目にする。やっと仲間を探し出したトウィッグ。父なき今、船長はトウィッグであるということになり、彼は立派な船長になると決意する。しかし、帰路、ある者は薄明の森で気がふれ、ある者は泥地で足切りスクリードに殺されてしまう。
残ったトウィッグとストーン・パイロットは、難破船を修理して、なんとかサンクタフラクスに到着し、新たな船エッジダンサー号と乗組員を集める。その時シュゴ鳥が、父親の雲のオオカミが「虚空」で大変なことになっていると知らせに来る。取るものも取りあえず、トウィッグと新しい乗組員たちは「虚空」へと父を助けに向かう。
トウィッグが、冒険の末にだんだん成長していき、いよいよ自分の船を持って、最愛の人を助けに行くという結末だが、すごくカッコイイわけでもないし、運命のままに成長していくしかないようなトウィッグではあっても、正統派のヒーローの片鱗が見え始める。父を救うことはできるのか?「嵐晶石」は手に入るのか?
2004年05月04日(火)
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