読書の日記 --- READING DIARY
 ⇒読書日記BLOGへ
  schazzie @ SCHAZZIE CLUB



 メリー・アン・シングルトンの物(4)サンフランシスコの贈り物/アーミステッド・モーピン

なんと!この巻ではエリザベス女王まで登場する!前巻ではガイアナの人民寺院の話だったが、女王まで出てくるとは!しかし、一番驚いたのは、マイケルの恋人ジョン・フィールディングがエイズで死んだこと。これも死ぬ経緯は書かれていないのだが、冒頭からすでに死んだことになっている。それを乗り越えられないマイケルは、女王陛下の船の無線士であるサイモンと部屋を交換して、イギリスに行く。

そして、子どもを作るという問題で、夫婦の危機に陥ったメリー・アン。夫ブライアンのほうが子どもを欲しがっているのだが、彼は実は無精子症だったのだ。どうしてもブライアンに子どもを作ってあげたいと思ったメリー・アン(本人は仕事が忙しく、子どもなんてどうでもいいという雰囲気なのだが)は、ブライアンにそっくりなサイモンと。。。しかし、サイモンには出生の秘密があり、パイプカットをしていたことを知る。つまり、意味なし!だったわけ。

この巻は、どうもメリー・アンが馬鹿に見えてしまう。ちょっとでしゃばりすぎ!ブライアンもだらしないし、別れたほうがいいんじゃないかと思うほど。つまり、モーピンは、ストレートな男女の間の問題には疎いってことなのだろうか?

「サンフランシスコの贈り物」というタイトルだが、この意味は最後になってわかる。それによって、メリー・アンとブライアンの仲も元通りになる。でも、ちょっと都合が良すぎるんじゃないか・・・?

この物語はあと2巻あるが、もうこの辺でいいだろうという感じ。だんだん話が突飛になってきた感じがして、こんなことは有り得ないだろうという思いが強くなってきた。


2002年08月19日(月)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 Uncertain Summer/Betty Neels

<SUMMER READING>ロマンス。

主人公である看護婦のSerenaは、交通事故で入院してきたオランダ人の医師Laurensの強引な求愛にほだされ、国も仕事も捨ててオランダへと出向く。ところが、彼の実家では母親に冷たくされて居心地が悪いうえに、どうやらLaurensには恋人がいるようなのだ。途方にくれるSerenaに、なにかと優しくしてくれる、Laurensの従兄弟で、同じく医師のGijs。実はGijsは最初からSerenaを好きだったのだ。Laurensへの愛を捨てきれないSerenaなのだが、いつしかGijsを愛するようになる。

あらすじは以上のようなことだが、口のうまい男に騙されちゃって・・・という感じが抜けなくて、共感も何もない。言動の疑わしい男なのに、いきなり仕事もなにも捨てて行ってしまうなんて、馬鹿じゃないの?と思うが、すっごくハンサムでお金持ちだったら、やっぱりついていっちゃうのかも?

しかし、そちらの恋が実らなかったからと言って、なにも無理に手近の男で固めなくてもよさそうなものだ。たしかにGijsは親切で優しいいい人だが、ちょっとお手軽すぎる。最初は拒否しているが、最後は結ばれるというお決まりのパターン。退屈。


2002年08月15日(木)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 メリー・アン・シングルトンの物語(3)ゴールデンゲート・パーク/アーミステッド・モーピン

この巻では、ガイアナ人民寺院の集団自殺という社会的事件を取り上げ、そこの指導者であったジョーンズがまだ生きていたという設定で、少々ミステリーがかった筋立てとなっている。そして、メリー・アン・シングルトンの結婚という出来事も!

この物語の中には魅力的な登場人物がたくさん出てくるのだが、メリー・アンの結婚相手は、その中でも個人的に虫の好かない男。やはりモーピンはゲイなのだろうか?ストレートの男の描写はいまいち魅力に欠ける。どうしてこの男と結婚したのかなあ?という感じなのだが、結婚に至るプロセスは書かれていない。もっとも、メリー・アンの周囲に、ストレートの男は、このブライアンくらいしかいないので、仕方がないと言えば仕方がないのかも。

そしてメリー・アンは、こういった小説につきものの、テレビレポーターとなる。だしかブリジット・ジョーンズもそうだった。しつこいようだが、書かれたのはこちらが先。ここまで設定が似てくると、やはりフィールディングのほうが、この物語を参考にしたのかも?という思いがする。

しかし決定的に違うのは、この物語は一貫してゲイの物語だということ。もちろんメリー・アンのようなストレートな関係もあるが、やはりメインはゲイの話。個人的には非常に面白いが、免疫のない人にはどうだろう?例えばゲイのマイケルの両親のように。。。




2002年08月09日(金)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 ファニー・ヒル/ジョン・クレランド

<解説>
1963年、これまで到底おおっぴらな形では出版されないものと一般には考えられていた『ファニー・ヒル』が、初版刊行依頼214年ぶりに無削除のまま、はじめアメリカついでイギリスで再刊され、しかも多くの一流批評家たちによって、この本が大々的にとりあげられ、文学作品として、無視できない古典的な価値ももつものであるといった評価が行われた。

『ファニー・ヒル』は、原題を『ある遊女の回想記』(Memoirs of a Woman of Pleasure)といい、当時流行の書簡体をとり、主人公が語り手となって、自分の経験を物語る仕組みになっている。

イギリスの著名な批評家V.S.プリチェットによれば、問題のホット・パートについては、性行為のよろこびをこれほど優雅に、力強く、かつやさしくえがいた点は、あきらかにクレランドの功績であると言い切り、D.H.ロレンスをはじめ、後世の作家は、いずれも、この点で、みじめな失敗をしたと決めつけている。

アメリカでは、本書刊行後ただちに、いろいろの州の裁判所でその当否が審議された。この審議は慎重を極め、『ファニー・ヒル』の与える社会的影響をあらゆる角度から検討し、ついにこれをワイセツ文書にあらずと断じた。

この本は私の個人的な感想としても、上記にあるようにワイセツ文書ではないと感じた。いささかも下品でいやらしいところがないのだ。あくまでも優雅で、「お金で買われる娼婦」としてではなく、「自分の喜びを語る一女性」としての手記なのだ。女性の立場が社会的にうんぬんということは、ここでは不粋というものだろう。何より、日本語の訳がすばらしい。基本的にはたったひとつのことを描いてあるのだが、バラエティーに富んだ品のある日本語訳が、原作にさらに優雅さを与えているのではないだろうか。


2002年08月04日(日)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 メリー・アン・シングルトンの物語(2)ロシアン・ヒルの子供たち/アーミステッド・モーピン

内容(「MARC」データベースより
急死した、メリー・アンの雇い主エドガー・ハルシオン会長は、彼女に多額の小切手を遺す。豪華客船に乗り込んだメリー・アンは、新しい恋人バークと出会うが、彼はサンフランシスコに住んでいた3年間の記憶を失っていた…。

とにかく目まぐるしく事件が起き、「ブリジット」どころの話ではない。なにしろストレートからゲイ、レスビアン、記憶喪失、カルト教団、性転換の話など、盛りだくさん。この人たちはどうなってしまうのか、もう興味津々になってしまう。

1作目でも感じたけれど、メリー・アン・シングルトンの物語とはなっているものの、彼女のことよりもその周囲の話のほうがメインのような気がするし、一応メリー・アンを中心にという形ではあるが、中心はやっぱりゲイのマイケルではないかと思う。たしか作者のモーピンもゲイだという話を聞いたことがあるので、そちらの描写のほうがお得意ってこと?作者がゲイだと、男性の描写が際立っているような気がする。

しかし同じような物語を書いても、女性作家との根本的な違いというものがある。女性作家が恋愛に終始し、おおかたハッピーエンドのコメディで終わるのに対し、男性作家の場合は、そこに社会問題やら生死に関わる問題を絡めてくる。この本も、単純に恋愛ものではなく、そういった大きな問題がたくさん含まれているので、時に胸がズキンとすることがある。


2002年08月02日(金)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.
初日 最新 目次 MAIL HOME


↑参考になったら押してください
My追加

Amazon.co.jp アソシエイト