すまぬ、愚痴。

 今日は全員出勤日。
 年度末で忙しいのはおいらだけじゃない。皆疲れているみたいで、少し心配だ。花見だ花見。花見まで頑張ろうぜ〜♪





 なぜか「ドライ」だと評されることが多いのだけど、現実は違う。
 何もかもを、ONかOFFで割り切れるのなら、楽だ。こんなに楽なことはない。
 割り切れないこと、折り合いを付けられないこともつらいけど、しかしそれ以上にONかOFFかの判断がすでに見えていながら、そうできないことがつらい。
 そうできないのは、感情、衝動、本能。或いは体裁か、憐憫か、事勿れ主義か。
 そして恐らくは、それらすべて。

 ま、でもそれはそれで仕方ない。
 選択するということは、どちらか一方を切り捨てるということで。
 一方を拾うなら、もう一方は捨てるしかない。
 そういうものだ。それが選択するということだ。
 だから仕方ない。
 衝動に任せ選択した私は、それに因るすべての負荷を享受しよう。
 憐憫を排し選択した私は、それに因るすべての非難を甘受しよう。
 それが選択するということだ。

 さて問題は、次にどう動くか、ということなんだけど…。
2003年03月30日(日)

±0?

 先日、あるエンピツライター様から、今日新星堂と長町モールで木下伸市さんの無料ライブが行われるという情報を頂きました。
 ありがとうごぜーますだー!必ず行きますだー!
 と、前々から楽しみにしていたのですが。

 金曜日に仕事が終わらず、敢え無く休日出勤。
 ううう…折角情報頂いたのに、すみません…。
 これに懲りずに、また宜しくお願い申し上げます。
 それにしても無念。や、自分が悪いんだけど。



 しかし仙台セントラル劇場の土曜特別レイトショーは滑り込みセーフ!
 『地球に落ちて来た男』(1976年イギリス/ニコラス・ローグ監督)です。

 セントラルの特別レイトはいつもほぼ満員なのだけど、増村保造特集やロマン・ポランスキー特集に比べ、やや女性客が多いように見受けられるのは…ボウイ様効果でしょーかね?。
 や、D.ボウイが若いオナゴシに如何程の影響力を持つのかなど、知る由もないのですが。

 仙台の観客というのは不思議に、映画もお芝居も、お相撲もプロ野球も、比較的大人しくてマナーが宜しい人が多いような気がします。しかしこういう映画の時は困ったなー。静まり返る客席でひとり笑いを堪えるのに必死でした。

 映画中盤から、やたら飲んだくれるボウイ様。
 危うい手つきで注いだ酒を一気に乾すその姿に、なんだか既視感を覚える。や、…正確に云うと危機感なんだけど…。
 「夜通し飲んだくれモード」に入ったワタシもこんな感じかも知れないと思い当たったのです。き、気を付けよう。同じような飲みっぷりでも、D.ボウイだと気怠ぅ〜い空気が退廃的で色っぽいが、ワタシは…た、単なる酔っ払い。あわわ。


 休日出勤や木下伸市さんのライブに行けなかったことは至極不本意ではありましたが、若き日のボウイ様の全裸を見ることができたので、もう思い残すことはございません(ぉぃ)。
2003年03月29日(土)

カンアジ

 犬を飼っているひとの殆どがそうだと思うのだけど、ワタシも例に漏れず、「親ばか」ならぬ「飼い主ばか」です。
 世界でいちばん、うちの犬が可愛いと思っています。
 誰がなんと云おうと、世界でいちばん、うちの犬が可愛いです。
 典型的な飼い主ばかです。



 帰宅後、いつもより少し遅い犬の散歩。
 隣を歩く犬の、くるんと巻き上がった尾のゆれる様を見ていると、愛しさがこみ上げる。それはいつものことですが、今日はなぜだか突然、ふと20年前に亡くなった父方の祖母を思い出しました。

 祖母は遅くにできた体の弱い末っ子(つまり父)と、その子であるワタシと妹を、それは可愛がったと聞きます。
 が、ワタシ自身には「可愛がられた」という記憶は、あまりありません。
 覚えているのは、「アイゴ、ネ、カンアジヤ〜」と叫びながら追いかけられ、ほおずりされたことだけ。
 ワタシたちは、わけのわからない言葉を叫ぶ祖母に恐怖し、逃げ惑い、つかまったときは怖くて泣きました。
 大人たちはそれを見て笑っていました。


 あのときは本当に怖かったし、笑うばかりで助けようとしない大人たちを恨んだりしたけれど、いまなら、ほんとうに微笑ましい光景だったろうことが解ります。
 「カンアジ」とは朝鮮語で「仔犬」。
 つまり「私の仔犬ちゃんたち」と、祖母は云っていたのです。
 ワタシがこの犬を見るように、可愛く愛しく思ってくれたのだろう。
 あーなんであのとき逃げちゃったんだろう。泣いちゃったんだろう。
 なんだか申し訳ない気持ちになります。
 ま、今更後悔しても詮無きことですけどねー。
2003年03月28日(金)

仙台セントラル万歳

 仙台セントラル劇場のこのラインナップはどうよ。
 相変わらずイイ…スゴクイイ…。タマラン。
 土曜の夜はボウイ様でキメてみたいと思います。

 しかし最近仕事が爆裂忙しいので、土曜は出勤かも知れません。
 や、ヤダ…。もう予定ビッチシ入れてるのに…。
 というわけで、明日は残業頑張ります。
 あ〜温泉行きたいな〜…(遠い目)。
2003年03月27日(木)

あまり変わらない。

 缶コーヒーを飲むと「ぐわ〜〜っ」となります。
 なにが「ぐわ〜〜っ」となっているのかわかりませんが、とにかく体中に「ぐわ〜〜っ」となにかが駆け巡る感じがします。
 そういえば、一昨年亡くなった伯父が糖尿病でしたが、低血糖で倒れたときは缶コーヒーが一番効くのだと話していたことを思い出します。
 血糖値が「ぐわ〜〜っ」と上がってるのかなあ、などと考えると、少し恐ろしいです。ほどほどにしよう…。



 アカデミー賞もラジー賞も、カンヌもベルリンもベネツィアも正直に云うとどうでもいい。
 嫌いなわけではない。
 映画や映画人が評価される場所は必要だと思うし、なにより純粋に楽しい。

 しかし賞を獲ろうが獲るまいが、ステキな映画はステキだし、好きな映画は好きだ。あまり変わらない。賞を獲ったからといって、特に大きく左右されるものは、ワタシには、ない。


 受賞の妥当性や、映画祭や映画賞がどうあるべきかなどという議論はしたいヒトにさせておくとして。
 過大評価も過小評価もせず、一作一作、ちゃんと観たい。しっかり観たい。見つめたい。
 あまり変わらない。
2003年03月25日(火)

capriccioso cantabile

 二ノ宮知子さんの「のだめカンタービレ」(講談社)5巻を読みながら、大いに笑った。
 笑いながら、泣いた。


 千秋の演奏を聴いた「のだめ」が、「弾かなきゃ」と走り出す。
 覚えがある。
 時折津波のように襲う、あの焦燥。あの衝動。

 そしてそんな「のだめ」を見て、おいらもまた「こうしてはいられない」と焦るのだ。やらなきゃ、と突き動かされるのだ。

 でも、いったいなにを?
 何をしたらいいんだろう?
 この焦燥、この衝動を、どこに持っていけばいいのだろう。

 空気を震わせたい。音を律したい。その坩堝に身を、心を委ねたい。
 この欲望を満たすことができたなら、他には何も要らないと切に思う。


 以前は時折襲うそんな激情を(それはもう激情と云うほかない)、ばかみたいにピアノを弾きまくって漸くにやり過ごした。
 元々手慰み程度の技術しかなかったし、自分の音に酔うほどの演奏ができるわけではないのでフラストレーションが募るばかりで、指を傷めたりもしたけれど。
 それでもやり場があるというのはいい。
 そのピアノもない今、この焦燥、この衝動のやり場がわからない…。嗚呼。

 ピアノ弾きてー。おもきし弾きてー。
2003年03月19日(水)

こういう奴もいるってことで。

 昨年秋の日朝首脳会談以降、日記読者がちょびっと増えました。
 でも「〜についてどう思うか」とか「〜について書いて欲しい」というメールを頂くと、正直困惑してしまいます。

 あのー、一応紹介文などにも自分が在日コリアンであることを明記しているし、日記にもフツーにそういう言葉が出るけれど。
 それは、それを避けて通って書こうとすると、どうしたった無理がおこるし、嘘を書くことになる。そういうのがめんどいからです。
 ただそれだけです。
 在日コリアンやその周辺の事情ついて、特別何かを主張したいとか、そういう気概は持ち合わせていません。
 じゃあなんで書くのかって聞かれたら、困っちゃうんだけどさ〜。
 政治などに関しては、書かないんじゃなく書けないのです。無知だから。


 ただ梁石日さんの小説「血と骨」から言葉を借りるならば。

 「俊平には国家や祖国という概念はない」
 「生まれた故郷である済州島に対する思いはある」

 これに似た感情は持っていると思う。
 ただし、「血と骨」の主人公・金俊平とは違い、土地ではなく、人間に持っているのだと思う。
 祖父母の生まれ故郷である慶尚南道(韓国)には、何の感慨もない。また、「帰国」した伯父の子供たちが住むという、行ったことのない咸鏡北道(北朝鮮)にも、修学旅行で一度行ったきりの平壌にも何の感慨もない。
 それでも、そこに住む親戚や、親しい友人たちに対する思いはある。

 しかしそれもよく知る範囲の人たち対してばかりで、20万人以上いるという同一本貫の人たちや、50万人いるという「在日同朋」全員にまで思いを馳せるほど深謀遠慮するニンゲンじゃないのです。
 ワタシの本貫はモトを辿れば中国に至るらしいし、そういう理由もあって、「民族」に過剰な思い入れはないのです。

 冷淡ですか?無責任?
 じゃあさ、日本人のミナサンはあります?
 「日本民族」の根源は、朝鮮民族以上に複雑で不鮮明ですよね。
 そもそもそういうのを辿っていくことに、あまり意義を見出せない。

 ワタシは「教育熱心」な両親の元で民族学校に通い、物心つく頃には自分が在日朝鮮人だと知っていたので、そういう育ち故に、自分が「他の日本人」とはちょっと違うかも知れないということを自覚してはいるけれど。
 それで何が変わるかってーと、どうなのかなー?

 あまりトクベツじゃないですよ。
 「ちょっと違うかもしんない」ってだけで。

 ワタシの考えは在日コリアンの総意ではあり得ないし、だからといってとりわけ違う考えを持った在日コリアンってわけでもないし。
 隠すと嘘になるし、わざわざ嘘を書くのはめんどいからそうしないだけで、当たり前だけど、色々な日本人がいるように、色々な在日コリアンがいます。
 こういう奴もいるってことで、納得していただけないでしょーか。
2003年03月12日(水)

勉強が足りません。

 いつか林權澤監督の『祝祭』(1996年韓国)についてちょこっと触れたけど。
 『春香伝』(2000年韓国)もまた、素晴らしいです。
 劇場で観るチャンスを逃し、先日漸くビデオで観ることができました。
 北朝鮮製作版は何度も観たのですが、ストーリーは同じでもゼンゼン違う!
 韓国版は、ら、らぶしーんが…北朝鮮版にはなかった…。



 初めてパンソリを耳にしたのは、高校生の頃でした。
 当時本格的に朝鮮文学を学びたいと考え始めていた友人が、朝鮮語教師から借りたというパンソリのCDを聴いていたのです。
 忘れもしない、「春香伝」でした。
 真剣にCDからの声を追う友人の隣で、耳を傾けましたが…。
 全然ヒアリングできませんでした…。

 「春香伝」のストーリーは、何度も観た映画(1980年北朝鮮)で知っていたので、単語を拾い、なんとか筋は追えたけど…それにしても不甲斐ない。
 それでも人間の声の圧倒的な表現力に驚嘆した覚えがあります。

 卒業後はパンソリに触れる機会もなく、忘れかけていたものの、その後やはり林監督の『風の丘を越えて/西便制』(1994年韓国)が大ヒット。
 韓国の若者の間でも人気がなかったという伝統芸能パンソリが、この映画を機に俄かに脚光を浴びるようになったと聞きます。



 さて、映画『春香伝』。
 物語自体は、両班(貴族)の息子と芸妓の娘という身分違いの恋がテーマで、更に暗行御史(アメンオサ/王の直属の密使で、粗末な身なりをして国中を旅し、官吏の不正を正す…水戸黄門みたいな役職)が活躍するというストーリーなのですが。
 国唱人間文化財であるパンソリ詠唱者の「春香伝」のライブ映像から始まり、映像もまた台詞も、その唄を中心に進行します。
 パンソリの映像化、とでも云うのでしょうか。
 特に主人公の春香が拷問を受けるシーンでは、打たれる映像をただ観るよりも、その苦痛が聴く者に伝わります。ハンカチで目頭を押さえる観客の姿を観るまでもなく、春香にシンクロし叫び出しそうになりました。



 ワタシは普段、日本語でものを考えます。第一言語ってやつですね。
 日本で生まれ育った在日コリアンの殆どがそうだと思います。
 日本語の授業時間以外での日本語の使用を禁止されたハッキョ(学校)で12年間教育を受けたので、朝鮮語で話すのにもあまり苦労はしません。が、この朝鮮学校の朝鮮語というのはナカナカ曲者で、発音はまだしも、抑揚が北朝鮮で使われる朝鮮語、韓国で使われる朝鮮語(韓国語)とはかなり違います。イワユル在日朝鮮語です。
 そんなわけで、日本語で読み書きしたり喋ったりする方が、朝鮮語よりラクチンだというワタシは、ことあるごとに、美しく豊かな日本語の表現力に感動するのです。

 ともかく、日本語を第一言語とし、その美しさと表現の豊かさは世界に並ぶものはないと考えていたワタシは、この映画を観てとても衝撃を受けました。
 朝鮮語の節回しの、機知に富んだ美しさ!
 恥ずかしながら、今回もちゃんと正確に聞き取ったとは云えず、耳で聞き取った言葉と字幕で漸く大意を理解できる程度でしたが、知的な言葉遊びや、瑞々しく美しい表現の数々に、ただ驚き、己の無知を恥じる他ありませんでした。
 ワタシの朝鮮語の語彙が、本国では日常会話レベルだろうことは認識していたつもりでしたが、甘かった。
 幼児レベルなんじゃないだろうか?それ以下かも知れない。
 何も知らない。朝鮮語の奥深さも、美しさも、何も。参ったなぁ。

 勿論、国唱人間文化財チョ・サンヒョン氏の独唱は素晴らしいという他ないということを付け加えておきましょう。
 あの壮絶な詠唱を、なんて表現していいのか皆目わからん。

 それにしても、第一言語である日本語ですら語彙が乏しく文章力もないワタシが何を書いても説得力ゼロで参っちゃう。まだまだ勉強が足りません。
2003年03月08日(土)

メイテイノテイ / チドリアシ

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