+シコウカイロ+
此花



 光。

コンクリートの壁を叩いた。
「入ってますよ」と返事した。
声に耳を傾けたら
夕飯の献立を考えている
コックがぶつくさと
肉を切る悲鳴が聞こえた。

君の声はもう聞こえない。
夕闇に染まる空 眺めてる。


黒い海の中に呑み込まれてゆく
絶望の嵐は揺れる船を
人魚の待つところへ
いともた易く連れて行った
どんなに飾り立てた世界でも
輝く水平線の煌きにかなうものはない
漁師たちは嘆きながら
遙彼方 頭上にある
光の波紋を見つめる貝になった。


夢見る子供たちの目に映っている
現実ほどリアルなものはない
生きることも死ぬことも
許されない世界があるなら
今ここにある全てが
間違っているのだろう。


生きることは光だ。
輝きは人それぞれで
淡く儚いものもあれば
強く輝くものもある

どれも美しい。
どれも必要なもの。





2001年07月28日(土)



 社会人。

自分で勧めたんだけど
同僚はシゴトを今月一杯で
辞めるということにした。


正直 自分のエゴも入ってる。
でも利己的に合理的に
考えれば仕方の無い結論だったりもスル。

身体壊してまで
ここで頑張る必要があるのか
ここでなくちゃいけないことでも
ないじゃん?
と思う。
「場も人も関係もキライ。
シゴトだから割り切る」
というなら
関係を保つための努力まで
割り切ってしていかないと
ダメじゃないのかな?

最初は何とか印象悪く取られない様に
フォローしてたんだけど
あんまりにも雰囲気が凄いことに
なってしまって
ここはドコ?ってくらい
修羅場の前の静けさになってる。
もう
無責任に「一緒にもう少し頑張ろうよ」
なんて言えない。



友達だったら「頑張ろう?」って
言われたいものかな?
独断と偏見で「辞めた方がいい」と私は告げた。
それでも普通言わないだろ〜って
言われそうだけどサ
色々複雑。
シゴトが半端で進まなくて困るからとか
合理的な面もあるし
その反面、
辞めて欲しくはないんだけど
自分が寂しいのを理由に
縛り付けるのは良くないと思うし。


私が一人で耐えられるのかという
不安は残るけど
多分、社会に出て個人として
歩み出した以上は
いつだって一人で頑張らなきゃイケナイのだと思う。
それを手助けしてくれる
仲間や友達を作ることも
学んで行かなければならないのかな。


でもホント
まずいよなぁ
この見た目とやることのギャップ。
しかも悪気なくサラッと素でかます辺りが
俺の毒吐きの悪いところだよね


ゴメンナサイ。





2001年07月27日(金)



 ケイカイ。

そこに愛も恋もなければ
会うことにも意味はない。

それが初対面でも何度か会ってるとしても
電話しててもメールしてても
そんなものの回数で
関係が築かれているのなら
壊れるのも簡単だと思うの。

そこに感情が入らない限り
何事も意味を成さないもの

行為を重ねても
焦りは消えないもの



もっとケイカイした方がいいんじゃない?
ってオススメされてもね
君のことシラナイし。

シラナイ人同士がお互いに
距離を測りながら腹の探り合い。
で?結果は「いいひと」でした。

可笑しすぎて笑えない。


現実に甘んじながら
日々適当に生きているけど
他人に対して正直に生きることを
ためらう気はない。

偽りを着飾るのは
息苦しくて
愚かなワタクシにはとても
とても
真似出来ないんです。




他人のルールに自分を当てはめる
必要なんてものはない

自分でルールを決めて
ただまっすぐにそれを進めば
道は君の後についてくるもの。


2001年07月24日(火)



 涙の色

澱んでいく薄汚れた水
澄んだ色に戻すにはどうすれば良い?
溢れる力と金と権力
人は迷いもせず
汚れは捨てて新しい水を
汲めば良いと言う。
澱んでいく 水の流れる先には
澄んだ瞳をした人が
汚れていくセカイに
流した涙が水となる

もっと涙を流させればイイ



多くの悲鳴と嘆きと悲しみが
空気に走って
流された涙の色が
変わっていくことにも気付かずに

憎しみの色は澄んだ瞳の奥底に


気付かれず したたかに
ゆったりと佇んでいる。

2001年07月19日(木)



 解放する手

壊したいもの
許したいもの
潰れた 汚れた 血が流される
戸惑いながら
足を踏み入れてしまった
後戻りは出来ない

人の上を歩いていく

連れてきたものは
黒く醜いイキモノ
足に食い込む鋼に
肉が裂けようとも
引き千切られようとも

歩みを止めることはしない

何を踏み潰しているのか
見ることはしない
足元の現実を
見て
生きていけるほど俺は強くない

この手に握る腕の先に
もう愛するもののカタチが
残っていなくても
大好きだったこの手を
俺は手放すことができない

許されるのなら
壊れていくこの世界を
赤く染めた俺の手から
君の手を解放することを

許されるのなら
せめて壊して欲しい

全てを消し去って
君との記憶の断片すら
俺の中から消し去って


2001年07月18日(水)



 人。

悲しい顔をする。
何故ならこの胸に痛みなど感じないから。
他人の痛みを自分のもののように
悲しんでみせる姿は実に哀れで
まるで本当に君が痛みを感じているかのように
見えるというのに

何も感じないこの心は
痛みがなにかを知らないのに
疑似的に真似るまるで他人なのに

そうしなければ
人でいられないから


人でいるフリをする
人でいたいと願っているのかも知れない

痛みなど感じない
生きることに意味など無い

ただ他人が生きている様が
あまりに悲しそうで
苦しそうだから
人はそういうものだと思った



他人の痛みなど感じない。
何故なら同じ人間ではないから

皆 同じ痛みを知っているフリをする

人であるために




何がそんなに悲しいのか
何がそんなに苦しいのか
理由のないものなどたくさんある
無駄なものなどたくさんある
でも
必要の無いとされる
時間の無駄として省かれるものは
人として一番大切なもの




これからの未来に
一体幾人の「人」が生きるだろう
これからの未来に
一体幾人の「ヒト」が生み出される?

生きることに価値を見出せない
人は人であることを放棄し
自ら生きる屍となる道を選んでいく
世に溢れかえる死体は暗黙の笑みを浮かべ
「人」を殺していくだろう。


たまに首を擡げた自分の中の「人」は
また平常のヒトとなる前に
魂の叫びを響かせる歌声が
反響し繰り返し
闇の中を響いていく


幸福を奏でる悲しみの旋律に
微かな希望をたくして

2001年07月13日(金)



 水。

結構いい加減な自分が
嫌になるときがある。
日常は合理的で
利己的で
非生産的だから
何も俺が何かしなくても

俺の欲望と渇望が
赴くままの今の生き方
無意味な消費を世間は許している。

一瞬がまたたくまに過ぎていくと知っていても
人間はその瞬間を逃さないほど王され
賢くは生きられない
だからチャンスは何度でも
形を変えては目の前に転がっては
蹴飛ばされている

気負いしながら
生きるのは疲れてしまうから
たまに生き抜きをしながら
優しさをただ得たいと思う
肉体に翻弄されながら
醜さに苦しみながら

このごろは
背に羽を見ない
自らの力で羽ばたくことを夢見た
あの思いだけが空高くに舞う。

代わりに
「眠る」と水に溶けて
消えてなくなる感覚が身を包む。

「楽になりたいのだ」と


耳元で囁くのは地に足をつけ
黒く伸びる影だろうか

2001年07月07日(土)



 「絶望」

「絶望」が背中合わせに
この世の終りについて語る

あまりにも酷似している
今の状況とダブって見えて
「絶望」の皮肉にむかっ腹を覚えつつ
下を向いて苦笑いした。

俺の人生の中で
欲しいと思っている言葉は
絶対に手に入らないことを
薄々感じている
たとえその言葉が発せられたとしても
その中の優しい嘘を知りながら
進んで行ける程強くも無い。

最初から投げている人生では
どう足掻いても
欲しいものなど手に入るわけがない

後悔しているとか言いながら
本当は別に悔しくもないのだろう
心が揺れることはない

優しい嘘が欲しい。

現実を突きつけては
遠まわしに締め付けるその縄を
緩めてくれ
これ以上吐露されることの無い
言葉を失った俺を
コロサナイデ
奪わないで


「夢も希望も無い世界は幸せだ」
夢も希望もなにも望まなければ
人はそれを知らないまま平穏に生きていける
「絶望」の語る言葉は
静かでそして甘かった。




2001年07月02日(月)
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