彩紀の戯言
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2006年10月30日(月) ぴのこ日記 その7。

■フィーリング

外科で「婦人科に紹介状を書きます」、と言われた時点で腹は据わった。
手術の香りもプンプンしたし、早く正体が知りたい。
若いよりベテランのお歳の先生がいいとか、女医さんがいいとか…
もう、どうでもよかった。
もっとも診察室が3つあるこの病院では選択不可能だったけど。

当然のごとく産婦人科の待合所は大半が妊婦で、夫同伴な人もいたりして…
ぽあぽあとピンクのハートが飛び交う中、私は頭の上に黒いうずうずを撒き散らして
2時間待った。

けっきょく一番最後になり、「お願いしまーす」とドアを開けたら…
若い男の先生(爆)。よりによって…(苦笑)。
私より若いだろうなぁ…。なんだけど。

やれ入院だの手術だのと重い話が進んでいくのに
私の頭の上の黒いぐるぐるは小さくなっていった。

安心感。

高圧的なふうでもなく、冷たくもない。
かといって、とくべつ面白いわけでもなく、すごく優しいわけでもないけれど…。

なんか、合う。

それだけで十分。
それが大事。


■アルよりナイ

旅行と言えば…温泉!な我が家。
「手術の痕なんて気にしないよぉ!入浴の許可が出たら行こうぜ!」と
行く気まんまん、だったのだが…気づいてしまった。

ない。
そうだ…。
なかったんだ。

「け」が。

傷痕がアルより、「け」がナイ方が恥ずかしい。

3ヶ月はオアズケ。











2006年10月29日(日) ぴのこ日記 その6。

■彩紀の場合

記録として残しておきたくてカキカキ。
くどいようだけど「彩紀の場合」。
症状も痛みも回復度も十人十色ってことで。
もちろん、検査も手術も「彩紀の場合」。
食事中には読まないほうがいいと思うなり。


・術前検査

「CT」
体の輪切り写真。たぶん。
筒の中に入るだけ。こんな楽な検査ならいつでもどうぞ状態。
造影剤はなし。装置のランクによるものなのか???

「MR」
縦切りの写真も撮れるらしい。有名な話だけど「うるさい」。
もれなく付いてくる耳栓からは音がもれっぱなし。造影剤?はて…。
プラスチック製アイスボックスのフタのようもので腹部を押されての撮影あり。うげ。
体力がない時期だったためか、ぐったり。暑かった。

「注腸」
二度と御免こうむる。腸を空っぽにして(←かなりヒモジイ)バリウムと空気投入。
もちろん入り口はおしりの穴。そして腹痛に耐えながらのレントゲン撮影。
外科で大腸へのダメージを見るために実施。
特に問題なしとなり、「見せ損(この感覚が間違っている)」かと思いきや…。
婦人科でもぴのこの癒着等を見るために撮りたいと言う。
「写真、借りてきます!」と、手を上げ立ち上がる勢いで提案。
CTもMRも借りてきたのだ。もう一度やるくらいなら…頼み込みます!!
巨大ぴのこ、だったための惨事。

「子宮がんの検査」
たぶん生検。ぶち!ってされた。ぶちっ!て。血ぃ出たし…。
何も言われてないから、たぶん問題なし。

「DIP」とやら。
造影剤を入れて尿管をレントゲン撮影。
これも巨大だったために行われたっぽい。
点滴して30分くらい寝転んでるだけ。
まっきーみたいな技師さんが気になって仕方がなかった…。

「ちく尿」
24時間分の尿をせっせと貯める。意外と出るもんだなぁ…。
ローテクでカップからビニール袋へ。
朝一はカップから溢れるかと思った(爆)。


・手術
もちろん巨大なため開腹手術。全身麻酔。
普通?の卵巣手術なら前日の夕食まであるのに私は二日前からひもじい注腸食(お粥やスープ)。
前日は点滴と水分のみ(号泣)。
腸を切る可能性があったためこの日程に。ビバ巨大(もう、やけくそ)。
手術時間は45分。かなりスムーズだったっぽい。でかした、ぴのこ!

・傷
おへその下から縦に12cmほど。
ホッチキス(みたいなやつ)16本。
もちろん…下っ腹は劇的に凹んだ(爆)。


・入院グッズ

「マグカップ」
湯飲みより持ち手があったほうが安心。

「暇つぶしグッズ」
本にしろゲームにしろ頭を使わないものを好んで使用。
小説などは意外と集中できなくてあまり読めなかった。
ゲームはRPGやアドベンチャーより「どうぶつの森」(笑)。

「布巾は不要」
食器類を洗った後に使ってたけど、前回なんとなく不衛生に感じたので
今回はティッシュで代用。ティッシュの上に置いておくだけで十分。

入院慣れした自分が少しだけ悲しい…。


2006年10月28日(土) ぴのこ日記 その5。

■ 話題の人

診療計画書にはこうあった。
術後1日目。少しずつ体を動かしていきましょう。

だから、売店に行っただけなのに…。
だって…トイレにもへっちゃらで行けたし…。

売店に行く途中で看護師さんに「すっごーい!」って言われたけど…
問題なく帰ってきたし…。

まさか、ナースステーションで「話題の人」になってるなんて。

回診に来る看護師さんはもれなく絶賛。
「三分粥、完食です。」「さすがね、彩紀さん」
「便。出てます。」「さすがね、彩紀さん」
苦労せずに寝転ぶと(傷と腹筋が痛い)…「さすがね、彩紀さん」

先生にいたっては…
「かなり、元気みたいだね」(思いっきり苦笑)
「有名みたいですね…」(さすがの私も気づいていた)
「普通…歩かないよな…ぼそぼそ」(そ、そうだったのか…)
「いえ、あの後、鎮痛剤が切れてダウンしました」(常人ぶってみる)

うーみゅ。
ぜったいに言えない。
タバコを吸いたかっただけだなんて…。(もちろんほとんど吸えなかったけど)

自慢できないことだと解っている。
しかし。

術後2日目からは何度か「散歩(別名、喫煙)」に出かけた。
三分粥・完食。五分粥・8割。七部粥・8割。

術後3日目。すでに術前の頻度で「散歩」に赴く。
全粥・8割。常食・7割。常食・8割。

術後4日目。1階降りるだけなので階段利用で…以下、略。
成績優秀のため?外出許可をゲットする。

手術経験者の方はご存知かと思うが、全身麻酔で動かなくなるのは手足だけではない。
呼吸器ももちろん、内臓の動きも停止する。歩いて歩いて内臓を動かす!

痛い腹を探られながら…じゃなくて、痛い腹を摩りながらポテポテ歩く。
術後の腸の成績で食事の量、しいては退院日が決まるといっても過言ではない…気がする。
傷なんて勝手に塞がるので問題ない。
髪の毛なんか作っちゃうんだぞ!皮の接着なんて朝飯前じゃ!

集中治療室から病棟に戻る前に看護師さんが聴診器でお腹の音をチェックする。
「腸が動いてるの、わかりますぅ?」と看護師さん。
「はい。夜中からぐるぐると…」

タバコだって一利ぐらいある。と、絞めたかったが…
ただの食いしん坊かもしれない。歩かなくても腸は動いていたのだから…。


2006年10月26日(木) ぴのこ日記 その4。

■ 巨大ぴのこ

正常な卵巣というのはウズラの卵くらいの大きさで、
もし大きくなった状態で発見されても5cmを超えなければ手術はしないらしい。
つまり、私の「ぴのこ」はそれよりもはるかにデカかったわけだ。

MRの写真で縦に10cm以上あることはわかっていたが…
取り出してみたら、なんと長径18cm(でかっ!)。
18×10×10ってなカンジ?…うっ、例えるものが思い浮かばない。
ダチョウの卵か?見たことないけど…。
ちなみに体重850gなり。下っ腹に生息。骨盤の中にまで鎮座。

私自身は「そこそこ小柄」という表現のサイズだと思う。
そのサイズにこの巨大なブツ…。
あぁ、スリムな?体系を何年無駄にしたのだろう(笑)。けっこう悔しい。

ブツの中身は脂と髪の毛、骨になりかけたもの(なりかけ、ってなんだ?)。
「きもちわるいよ」と言って、先生は中身の写真を見せてくれなかったけど、
家族は否応なく見せられたらしい。しかも目の前でオ〜プ〜ン(爆)。←はなまる風で

よくもまぁ、そんなものを勝手に作ったもんだ!と関心することこの上ないが、
残念ながら「あっちょんぶりけー!」と喋る分身を作るにはパーツが足りなかった。
(説明するまでもないと思うけど…ぜったいに作れません。)


■ 沈黙の臓器?

今回はたまたま見つかった…んだと思う。
子宮がん検診をサボっていたから、もし行っていたら?とも思ったけれど、
調べたところ…たぶん見つけられないのではないかと。

お腹の出具合に気づいてエコーで調べてくれれば「おやおや?」となるかもしれないけど…
通常の子宮がん検診ではエコー検査なんてしないんだよね???

先生は「こんな大きくなるもんなのか?普通は大きくても7,8cmだけど…
その時点で見つかってるだけなのかなぁ?」と、もごもごもご。
ウォンカがいたら「モゴモゴ喋るな」と言われるんじゃないか、この先生(笑)。
独り言なのか会話なのか、ときどき迷う…。

確かに。ずっとずっと避けてきた。
異常を感じないのをいいことに雑誌の特集ですら広告扱いしてきた。婦人病。
ごめんね、自分。

ホントに「たまたま」だったのかな?
リンパ節が腫れて病院に行った7月。
もしかしたら「ぴのこ」の必死な訴えだったのかもしれないな…。


2006年10月25日(水) ぴのこ日記 その3。

■ 救急救命士さん

私が入院しているのは公立病院。だからかな…。

手術当日の朝、麻酔科の先生と若いイケメンくんがやって来た。
先生は彼を救急救命士だと紹介し、
気管挿管(口から肺まで管を通す医療行為)の説明をし始める。

長いな…。

そして、イケメンくんはその認定取得を目指しているという。
認定を得るには病院実習を何十例もこなさなければならず…あーで、こーで。

言いたいことはわかってきたぞ…。
「あのぉ…単刀直入にどうぞ(笑)」と、私。

「今回の手術の気管挿管を彼にやらせていただけないかと…
 あ、いえいえ。半数の方が断っておられますので…」

「いいですよ」(きっぱり)

ふふん。なにしろ巨大なブツが入ってるからね(笑)。太っ腹な彩紀。
ドラマ「なーす あおい」で初期の気管挿管の重要性は理解しているつもりだ。
世のため。人のため。イケメンくんのためならば一肌脱ぐわ!
はなから、どうせ、すっぽんぽん!

ここで一善こなしておけば、私の未来も1ルクスくらいmore 明るいかもしれない。ではなく。
1日も早くイケメンくんが認定を取れば助かる命も増えるに違いないっ!!と、
オトナになったつもりが…。

「私って、そのときは意識ないですよね?」
「苦しくないですよね?」と、ついつい確認する私。
術後のお腹を暗示するかのように、若干、太っ腹ではない…。

「ありがとうございました。問題なく実習は終わりました。」と、
病棟に戻る頃、麻酔科の先生がお礼を言いに来た。

「いえいえ。お役に立てたようでよかったです。」と、答えたものの…

そんなことすっかり忘れてたわ(汗)。


2006年10月24日(火) ぴのこ日記 その2。

■ 手術ってヤツ

病院によっていろいろあるんでしょうが…
まさか自分で手術台に乗るとは思わなかった(爆)。
手術室って広いのねぇ。30畳くらいはありそう。

父親もそうだったけどドラマでもさぁ、ストレッチャーかベッドか何かに乗るのが
「いかにも!」ってカンジじゃない???
それが車椅子(←これも初めて)で中央手術室あたりまで運ばれて、
最後の最後は徒歩で手術室へ(笑)。後で書くけど救急救命士さんにごあいさつ。
で、マイセルフで手術台へよっこいしょ(爆)。

いつまで意識があるのかしら?って、怖くなっちゃったわよ。全身麻酔なのにっ!
手も足も固定されて、まさに「まな板の上の鯉」。むしろウナギかな。

「脳波を測定するために電極を付けますね〜!」…ど、どうぞ。
「点滴針からお薬入れますね〜!」…は、早くイかせてくれ!!
「酸素で〜す!深呼吸してくださ〜い!」…酸素なんて吸ってる場合じゃ…
す〜は〜。す〜…あれ?あごがしびれ……。だまされた(爆)。
はい、おちた!!←医龍のアベサダ風で





しーん。ざわざわざわ。音量、0から最大ってカンジ。突然の爆音。
覚醒と音の認識は同時じゃないのかなぁ…。
「彩紀さ〜ん!わかりますかぁ!!!」
「彩紀さ〜ん!終わりましたよぉ!!」

ステレオで喋られても…

「聞こえたら手を握ってくださ〜い!」
ん?どっち??まぁ、いいや。両方「にぎっ!」。

「○○です。上手くいきましたよぉ!」と唯一聞き覚えのある先生の声。
「あ…ありがとうございます…」と律儀な私。
「喋らなくていいですよぉ」
「あ、そ。」

で、手術室から出てきた私はすごい顔だったらしい(苦笑)。
いやぁ…苦しかった。何がかは、わからない。

呼吸はできてるのに口の中に何か入れられて邪魔で邪魔で仕方がない。
首が変に曲がってて気になって仕方がない。
スモーカなので痰が気になって仕方ないのだけど…ただの唾液だったらしい。
そんなこんなで…やっぱり「痛い」。かなり「痛い」。

今思えば、直後はものすごくパニックだったみたい。
汗がドッと噴き出して止まらない。看護師さんもびっくり。
流れる汗で電極が付かず、警報音?が鳴り響く。

んで。とにかく「痛い」。家族の顔を見てホッとするも痛みは減らない。
傷も痛いが、腰も痛い。背中を丸めたいけどお腹がパックリいきそうで怖い。もう、どうにもならない…。
痛み止めを何度か入れてもらい…痛みのないすばらしい幸せを感じたのは15時間後。
酒に強いのがいけないんだろうか(苦笑)。

看護師さんの話では陣痛のときの腰の痛みに匹敵するらしい。
子供も生んでないのになんだか損した気分(笑)。
まるで赤ん坊のようだった、わたし。痛い、苦しい、イヤだ、イヤだ…。

痛みも和らいだ頃、普通の病棟へ戻る準備が始まる。
赤ん坊のように体を拭いてもらうも、落ち着いた状態なので妙に恥ずかしい。
いろいろな管が抜け、パジャマに着替えさせてもらい元の状態へ近づいていく。

そしてベッドから車椅子にほぼ自力で移動し(鬼だな)、病棟へ。
戻ったら速攻で尿管を外してもらい完了!

昼ごろ(手術終了24時間後)、水分を取っていいと言われたので家族のモノと売店へ(爆)。
この行為がナースステーションで私を「話題の人」にした、と後で知ることになる。
もっとも、このときは鎮痛剤が効いていただけで、夕方には…ダウンしたのだが…。

ちなみに…コレを書いてる今は…術後3日目(笑)。


2006年10月23日(月) ぴのこ日記 その1。

たまにしか更新しないのに読んでくださる方、
検索をかけてたどり着かれた方、
どちらの方も「経験の一つ」として読んでくれたら、と思いますです。

■ 病名 巨大卵巣腫瘍

毎回、笑っちゃうんだけどさ、必ず「巨大」って書いてあるのよね。
「タダものじゃないぞ!」っていう変な意気込みを感じる…。

分類上、「皮様嚢腫(ひようのうしゅ)」でした。
画像診断などからおそらくコレではないかと言われてて、ビンゴ。
実物を見るまで、はっきりとは判らないんだそうな。
超有名コミックの「ぴのこ」ちゃんの…原料(笑)。

■ 手術名 付属器摘出術(+α)

笑えないけど、「巨大」だけのことはある。
もちろん開腹手術で、悪性の疑いがあった場合や癒着(他の臓器とひっついちゃってること)によっては
子宮全摘や大腸切除もあり、ってこと。

実際には癒着もほとんどなく、ほぼ良性と判断されたため片方の卵巣と卵管のみの摘出で終了。

■ 発見方法 偶然(爆)

なんで、こんなに育てちゃったの?と一般ピープルに言われまくったけど…。
自覚症状なかったもん…。

調べてみると症状としては…
「頻尿」…1日に何回トイレに行ったら頻尿なの?ビール飲むから多いですけど(笑)。
「便秘」…彩紀の辞書に便秘という文字は載っていない。
「腰痛」…ここ数ヶ月は朝起きると腰が痛かったけど…珍しくないと言うか…。
「お腹が出る」…これはさぁ、実感してたけど、脂肪だと思ってたわさ(汗)。

で。たまたま別の症状でCTを撮ったら、
なにやら巨大なブツが写っててラッキーだったんだけど、
そこは婦人科がない病院で、なんじゃこりゃ?状態。
自覚症状もないからとりあえず後回し。
というか、先の症状を治すために体に負担をかけられなかったらしい。
おそらく卵巣ではないか?と外科の先生は言ってましたが…ぴんぽーん、正解。

そうそう。術後に気づいたことが一つ。
いつからかまったく記憶にないけど、仰向けで腹筋をぎゅっ!ってしてお腹を引っ込めても
なんか縦長にボコッて出てたの。腹筋なんだぁ、って思い込んでたけど、
「マイぴのこ」の写真を見て…「あっ。この形は…あのボコッだ。」って(笑)。
右の卵巣なんだけどブツは中央。
左右どちらかにボコってなってたら、さすがの私もおかしいと思っただろうけどねー。

他の人の手記にも似たようなことが書いてあったので参考までに。


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