”BLACK BEAUTY”な日々
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Boogie
自慢☆毛のスタジオにお邪魔した後、ヨッシーの車にブラックと一緒に乗り込む。寒い。4月も半ばだというのに夜風が身にしみる。
いつものラーメン屋に入り、いつもの「頑固チャーシューメンのラーメンセット」で腹ごしらえをする。その後、これまたいつものジョナサンで、ドリンクバーとスイーツを食しラーメンで乾いた喉を潤す。 その後、いつもバカ話に花を咲かせ、空が白み始めた頃店を出て、ヨッシーに家まで送ってもらう。
時計の針は6時30分を指していた。いつもならばベットにもぐり込み、午後まで惰眠をむさぼるパターンである。
しかしこの日はそうはいかなかった。息子と津田沼に行き、マックに寄った後、ユザワヤの地下1階のゲーセンで遊ぶという「男と男の契り」を前日に交わしており、それを果たさなければならないからだった。
津田沼まで息子の手を握りながら、ゆっくりと歩みを進める。 つい最近から通い始めた幼稚園の事、ケロロ軍曹の事、きらりんレボリューションの事等々。息子は嬉しそうに話をしてくれた。
今度は俺から息子に尋ねた。「今、一番好きなものってなあに?」
すると彼は歩みを止め、両手を一杯に広げ俺を見上げてこう言ったのだった。
「ぜーんぶ」
俺はてっきりプラレールとかグーチョコランタン等の答えを予想していたので、驚きを隠せなかった。そんな父親の顔を息子は笑みを隠さず見つめていた。
彼はこの世界のあらゆる事象を無邪気にすべて肯定しているのだった。 反射的に俺の目が涙で溢れる。
この涙はどの種類の感情にカテゴライズされるのか、自分でも分からなかった。これから彼に必ず訪れるであろう挫折や失望。それを知らずに「ぜーんぶ」と答える息子への憂い。また、息子の一点の曇りもない心の美しさへの感動。これらが混ざった今まで経験のない感情に俺は包まれていた。
その後マックで軽い食事を済ませたあとユザワヤのゲーセンに向かう。 鉄道が大好きな息子は「電車でGO」にトライするも、すぐに自滅してしまう。
ひとしきりゲームを楽しんだ後、1階のおもちゃ売り場へ向かう。 甘い父親は息子に成田エキスプレスのプラレールを買ってあげた。
妻に怒られるといけないので、「お母さんにコレどうしたの?」って聞かれたら「拾った」と答えなさいと言って聞かせた。自宅マンションの玄関でも最終リハを行い、本番に臨んだ。
ところが、我が愛しき息子はお母さんに聞かれる前にこういった。
「お母さんに怒られちゃうから『拾った』って言えってお父さんに言われたの」
全面自供である。某IT企業の元社長、「時代の寵児」と呼ばれ現在東京拘置所で容疑否認を続け、拘留中の某氏へ。
「貴方は俺の息子を見習った方が良い」
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