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【今日の一本】なかむら穣☆ - 2005年07月16日(土)
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なかむら穣【なかむらじょう】 中村酒造場(鹿児島県国分市) 37度 芋(コガネセンガン) 白麹(米[ヒノヒカリ])
◆僕のような、焼酎歴たかだか2年強、 芋焼酎歴1年弱のヒヨッコに言われるまでもなく、 焼酎という酒のすばらしさの一つに、 「飲み方の多様性」というのがあると思う。 ◆生(ストレート)、ロック、水割り、お湯割り、燗。 これだけのヴァリエーションがあって、 そのどれもが楽しめるという酒はちょっと他にないだろう。 ビールを「ストレート」以外で飲む人というのは聞いたことがないし、 同じ蒸留酒のウィスキーでも、さすがに前割りして燗をつけたりはしない。 ◆これだけでも楽しいのに、さらにもう一段階の楽しみがある。 燗・ロックでじっくり飲んだときの、時間の経過による味の変化である。
◆最近、行きつけの店では、燗しか頼まないといってもよい。 その店では、燗を頼むと、水割りを入れた黒ぢょかに火をかけてサーヴしてもらえる。 中身をすこしずつ猪口に出して味わい、温度を確かめながら、 ちょっと強めに温めたかな、というところで火を吹き消す。 ◆そこからはただちびちび、ちびちびと飲むのである。 火は消えているのだから、当然酒は徐々に冷めていく。 ◆焼酎は、温度の変化にしたがって、本当にいろいろな表情を見せてくれる。 これが楽しい。 ◆この「楽しみ」は、もちろん酒によるところもあって、 温めすぎるとアルコール感が立ちすぎたり、 ぬるすぎると味がぼやけてしまって、ちょっといただけないものもある。 ◆しかし、そうならそうで、 その酒のベストの温度帯で飲むべく全霊を傾けるのである。 これだって同じくらい楽しい。
◆一方、アルコール度数が高い原酒や初留取りの酒ならば、 ロックで味の変化を楽しむことが出来る。 ◆今日の「なかむら穣」を飲んでいて、それに気付く。 ◆まず生でいただく。 冷凍庫には入れていないので、常温である。 口にすると、面積の広い甘さを感じる。 そして、甘さが引いていくときに、すっと「芋らしさ」が顔をのぞかせる。 しかし、さすがに37度は強い。 幾分かの厳しさを感じてしまうのは否めない。 また、常温なので、口の中でもたつく感じがある。 ◆次に、ふつうに冷凍庫でつくった小さい氷をひとかけら入れる。 当然だが、氷が溶ければ、酒は薄まり、温度も下がる。 こうすると、生で飲んだときに感じた厳しさやもたつきが薄らぐ。 ◆そこで、もう一つ氷を入れてみる。 ここのバランスが最高だ。 適度なパンチがあり、飲んでいて爽快である。 味のアピールも力強い。 ◆もう一つ氷を入れてみる。 これでも芯は残っていて、味は崩れない。 全く抵抗感なく飲むことが出来るが、原酒らしい力強さや、ふくよかな味の広がりは消える。
◆好みで言えば「第3段階」であるが、 どの段階にも、ならではの良さがある。 さらに言えば、1・2を通っていかなければ、 この3の良さにも気づけないかもしれない。 ◆いずれにせよ、これを楽しみと言わずになんと言おう。
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