2009年02月09日(月)
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記憶には記憶がくっついてくる |
昨日、久々に舞台を見てきた。しかも子連れで(自爆)。 まさかなぁ・・・・こんなに早く、クロワさんをこういう場所に連れ出すことになるなんて。 まぁ、ミュージカルだし、チケットもそんなにバカ高いものじゃないから途中退場も惜しくないし、 デビュー戦に最もふさわしいとも言えるんだけど。
その会場で、地元ということもあり、とても懐かしい人物に出会った。 顔にめちゃくちゃ特徴のある(笑)、中学の時の英語の先生だった。 あたくしがすぐにその人と気づいたことは当然といえば当然だ。 何せ先方は容姿に特徴がある人だし(まだ言うか(笑))、こちらは学年に200人からいた生徒の一人、 あちらは一教師。 そしてこちらは中学生、あちらはすでに大人だった。
ところが、子持ちの三十路のあたくしを紛うことなくすぐに「あら、日野さん! 久しぶりね!」と気づいたのである。
クロワさんが休憩間近にして「じゅーす、じゅーす!!」と騒ぎ出したので、途中退場して、 ジュースとビスケットを与えていた時、先生はそれは懐かしそうに近づいてきた。 近況報告やら、そばをうろちょろするちびのことやら話しているうちに、話題がふと20年前のことに飛んだ。
「日野さんは誰と一緒だったかしら・・・・? 同じ学年の子。」
「あぁ・・・・そうですね・・・・トモくん(無論苗字で)とか、ヤスエ(無論苗字)とか・・・・」
と、当時同じ学年で有名だったはずの人間で、無難そうな名前をいくつか出したら、先生は合点したらしく、すかさず、
「あぁ、ヨシオくんとかも一緒ね!」
と、また懐かしそうに言った。
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彼に関する記述は、2005年の9月末から大総集編をかましたので、今更何を付記するアレではないが、 あたくしは自分の記憶力の猛々しさはさることながら、この先生のそれも相当なものだなぁと、 呆れるの半分、通り越して感心してしまった(苦笑)。
この先生は、自分の担任するクラスにいたヨシオ(今更言うのもなんだけど、仮名)のことを殊更気に入っていたことを ぶわっと思い出して、あたくしは思わず苦笑してしまった。 もっと印象深い生徒もいただろうに、と、咄嗟に思うのだ。 なのに彼の名前が出た。 よっぽど気に入っていたんだなぁ・・・・。 20年も経つのに、ぐわっと彼女の頭の中で筆頭に上ってきてしまうのだから。 その後、何年も教職を続け、それこそ何百人という数の生徒を相手にしてきたはずなのに。 大人の記憶の中にこれほどの印象を刻みつけることができる15歳の少年がいるっていうことを思い知らされて、 家に帰ってきてから、何とも言えない気持ちになった。
あたくしが彼のことをよく覚えているのと、彼女が同じようによく覚えているのとでは、 客観的に見て成分が全く異なると思う。
そしてあたくしは、いつもの暴走妄想癖を発動させて、とんでもない空想を繰り広げていた(笑)。
彼女はあたくしに、結婚してどんな名前に変わったのか? と聞いてきた。 その時にもし、ヨシオの苗字を告げていたら、一体どんな顔をしたのだろう(爆笑)。 (趣味がいい冗談とは言えないな、コレ)
20年前の当時。 あたくしたちは、大人と子供の境界線をさまよいつつ、例えば親とか、例えば教師とかは 境界線の向こう側にいるものとして、勝手に区画していた。 当然のことながら、自分たちと同じ感覚でものを考えているだなんて思ってもいなかったし、 後々に気づくことになるのだけれど、「オンナ」という生き物が子供だの大人だのという境界線など無視して 自由奔放で直情的にものをとらえる・・・・そういうもんだと具体的に知ろうとしていなかったので、 区画された大人たちの枠の中に、とんでもないのがいるなんていうのはあんまり想像していなかった。
あたくしが妙な気持ちになったのは、そういうのが具現化したのを目の前で見てしまったからかもなぁ。
この人はきっと、あの頃のことを全部知っていたのかもしれないなぁ。
ものすごく集中して、あのメンバーのうちの一人を眺めていたのかもなぁ。
そうすれば全ての辻褄があう。
漏れていくことのなかったはずの「秘密」が大人たちに広まっていったのを当時はすごく不思議に思ったのだけど、 フェイヴァリットを守りたい気持ちがそうさせたのであるならば、わからなくもない。
自分の記憶に整理をつけて、もう何をどうというアレもないけれど、 そうなってからの方が、物事がよく見えることもある・・・・皮肉なものだわ。
ミュージカルの後半戦、クロワさんも何とか持ちこたえたので、デビュー戦はとりあえず善戦。 久々に古巣に出かけた感じがして、あたくしも気分は良かった。 2種類のノスタルジー。
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