宣誓したからにはやらねばな。勝手にシリーズ化した第1弾。「竹取物語」と言えば、日本最古の物語としても有名で、有名すぎるほど有名なのに何故か作者は不詳。古典の教科書にももれなく取り上げられるくらいなのに、謎が多い物語。特に主人公のかぐやは、古典世界でもそして現代人の感覚から見ても不思議オーラが満載で、理解不能な部分が多いとされている。それなのに、教科書はおろか就学以前の子供が読むような童話や絵本としてまで取り上げられているところをみると、日本人の「好み」みたいなものが集約されているのではないか・・・・と、あたくしは極々個人的にそう睨んだ!!(笑)だって、そうとでも考えなければ、彼女の価値観が当世の絶対権力をも動かしてしまうことに対するリアリティとメルヘンのバランスの説明がつかないし、1000年以上も語り継がれる理由が見当たらないことになってしまう(苦笑)。まず第1の結論として、日本人に限らず、人間はこういう物語が好きみたい。外国でもこの物語は相当受けがいいらしく、源氏物語と並んで絶賛される日本の物語の代表格らしい。さて。このかぐやの正体についても諸説紛々。後世の研究家たちが言うには、異星人説がもっとも有力らしい。月の世界と明記されているから、月世界の人と解釈するのが妥当なんですがね。まぁ、最終的には月に帰っていくし。・・・・のわりには、絵本に描かれたイラストを見るとお迎えの人たちも時代的な衣裳を身にまとっている。原文を読み下すと、色々と姿かたちに関する記述もしてあって、それがまた謎めいているけれど、童話というところまで読み下すと、正体が何者か!?という概念を取り払って、「むかしむかし・・・・」の出来事としてまとめた方がわかりやすかろうという観点から作られているようだ。そして異性人というわりには、少々艶かしすぎて人間くさい彼女。それもそのはず。とある人の解釈によると、彼女はその世界で言う犯罪者で、文化的に劣る当世の地球に「島流し」同様、流刑にされたという説もある。どんな罪だったか・・・・というのにも触れていたのだけど、それもぼかしてあった気がする。要するに、童話として子供には聞かせられない・・・・いわゆる、不貞みたいな感じだったんだろうなぁ。原文にも罪人と解釈できるような記述があるにはあるのだけど、あまり詳しすぎない。きっと、そこんところが曖昧に作られているから、長きにわたって愛されているのかもな。めちゃくちゃ納得(笑)。異星人だからこその不思議ちゃんぶりを発揮する彼女は、半ば確信犯的に、そして半分は「こうすれば相手が困るに違いない」とわかって、男性たちを仕掛け、翻弄する。蓬莱の玉の枝、竜の首の玉、燕の子安貝、火鼠の皮衣という、この世にあるのかないのかも不明の伝説の宝物ばかりを指定して、プロポーズに現れた男性たちを試す。ブランド志向なのね。男たちも、頭のいいヤツ、体力自慢のヤツ、権力自慢のヤツ、金持ち自慢のヤツ、まぁ色々いるわけでコレはこの時代もそして昭和や平成も大して変わんないん点でもある。恐らくそれ以前の時代、どこを覗き見ても同じなんだろう。そして、それを上手にコントロールしてきた女性たちが各時代にいるということだ。悪女といわれる人や良妻賢母といわれる人、内助の功ともてはやされる人も基本、みんな一緒といえるのかもしれない。そして、その元祖がこの物語に登場するかぐやではなかろうか・・・・ということ。思うに。当世の絶対権力、帝からの求愛にも応えなかったのにも、きっと彼女なりの理由がありそうだ。彼女なりの価値観・・・・?先のプロポーズは、お断りすることを前提に無理難題を吹っかけているけれど、帝からの求愛にはそれなりに揺らいでいるのである。コレは推測に過ぎないけれど、恐らく彼女が帰っていくはずの世界の文明は相当高度だったと思われる。流刑地に当時の地球:日本の普通の山里が選択されるからには、そこが罪人が住まうにふさわしいレベルでなければならない。なので、たとえ当世の絶対権力と言えど、彼女にとっては帝も故郷の庶民以下の存在なのかもしれない。それに、究極にモッテモテになるのはきっと気分もよかったことと思う。たとえ、自分の生活レベル、文化レベルとかけ離れた人々からでも、好かれりゃ悪い気はしないだろう。流刑地生活だって何不自由なかったはずで、彼女さえ妥協すれば、故郷に戻らなくても、そこそこ快適に暮らしていけることが予見できたはずではないだろうか。で、だ。かぐやがもし、帝の求愛を受諾し、加えて迎えの者たちを上手に向こうの世界に帰したとしたら。コレではすっかり物語が成立しなくなってしまうのだけれど(笑)。それでもあえてそうしたら。一見ハッピーエンド、子供に見せるには大丈夫そうな物語になりそうな気もするけれど、恐らく、1000年の時を超えてここまで語り継がれるような物語にはならなかっただろう。彼女の価値観は、誰にも理解できないからいいのである。これがたとえ帝だけとはいえ、彼女を理解する人物が現れてしまった時点で、もうぶち壊しになってしまうのである。いつの時代も、男は絶対に攻略不能といわれるような高嶺の花の存在を欲しがり、自分が攻略できなくてもいいから、そういう女性にいてほしがる。かぐやは、そのバランスを本当によく心得た存在といえる。もし彼女が、帝とのハッピーエンド(彼女にとってはハッピーではないかもしれないが)を選んだら、夢見る少女の数は歴史から半減し(笑)、男たちは上昇志向を失い(爆)、よって戦争は少なくなったかもしれないが、この国の文化と人口は伸び悩んだかもしれない。そういう観点からすると、この物語をぶちたてた作者は、相当すごいよな。かぐや姫は基本、善人ではない。育ててくれたじいちゃんばあちゃんに対しても、感謝はすれど言う事は決して聞かない。男たちにしても、すっぱりと切り捨てればいいものを、結構えげつなくいたぶる。(まぁ、コレは4人の男が究極にしつこかったからだけど。)そして本当にわがまま。地球人に対しても、月世界の人に対してもそれは同じようにわがまま(笑)。なのに、どうしてこんなにも長い間、愛されちゃうんだろう・・・・?例えば、今現在でも女性が読むような雑誌に「こんなオンナは嫌われる」みたいな特集がしょっちゅうしてあるのを見かける。アレを全部総まとめにしたようなのが、恐らく実写版のかぐやに相当するんだろうけれど、そんなにクセのある理解不能な人間がいてもいいのかと思うところ、そこまで貫くと、逆に羨ましくなるようなおめでたさが漂いだす。ものすごい美貌の持ち主で、4人の男から求婚されるのをいいことに、絶対に手にはいらないような物品をおねだり、手に入らないと知るとばっさりと切り捨てる、たとえその物品を得るために命を落としても「お気の毒ね」の一言で済ませてしまう。親が持ち込んだ最高条件の就職や縁談も足蹴にし、深窓の令嬢でい続ける・・・・ってな女性が周囲にいたら、何だか「嫌い」以前に「不気味」ですが( ̄∇ ̄;)どの時代の「常識」からも本当に上手に逸脱しているから、長く愛されるのかもしれない。罪人だろうが異星人だろうが、オンナは嫌いなタイプのオンナが結局は羨ましい。あたくしだってそうだ。おぉ・・・・。この昔話にも意外な教訓を見つけた(笑)。大人にとってもためになるのな。↑オンナって難しい( ̄∇ ̄;)ところで。とある記述には、かぐやが月を見ながら発狂しそうになっている・・・・なんてのもあるそうで。それは、月世界に対する思慕という解釈もあるんだけど、一方では、月経からくる情緒不安定をデフォルメしているのだという説もある。つくづくこの物語は、かぐやを通して、女性の持ついやな部分を上手に描いているなぁと思う。子供に読ませるにはもったいない(笑)。コレは熟読して、もっと理解を深めたいかも。尚、星新一氏が現代語訳した竹取物語は、原文を口語訳した間に挟まれる星氏の解説文も面白いので個人的におすすめです。