2007年02月12日(月)
殺してしまうほど短気でもないけれど、待つほどお人好しでもない
泣かない「アニー」に見る秀吉的思考


クロワさんがもしいなかったら、今回もエントリーしてたかもしれないミュージカル。
その公演が、この11日、12日とあったので、この日、見て参りました。
古橋パパが、今度は下の子とエントリーしているので、応援もかねて♪


今回の演目は、ミュージカル界では言わずと知れた名作、「アニー」。
つかね。。。
こんなに有名な、有名すぎる本を選んでしまって、大丈夫なんかいな?? という思いが
当初からぬぐいきれませんでしたよ(苦笑)。
何が言いたいかというと、そういう作品は観客たちがとても高い水準のものを求めやすいんですよ。
加えて、ある程度の雛形がすでに存在するわけだから、作り手もオリジナリティが追求しにくく、
プロでもアマでも作業的に難しい部分が多く出てきたりするもの。
で、「ある程度」のものが完成したとしても、巷に「最高の出来」のものがすでに出てたりするわけだから
評価を得られにくいんですね。
無論、演者の技量は舞台上であれこれ評価され、それは目に見える作品の「質」となるわけだけど
おチビが主演のこの芝居は、もうとにかく指導者=演出の技量もガツンと問われるわけ。
どれだけ本気を出して、役者たちを奮い立たせて、健気な少女の物語を作り上げるか、
コレは演出家の度量と技量を直接試されているようなもので、
大人しか出てこない芝居に比べて、非常に残酷なシステムだったりするんですなぁ・・・・。


古橋パパに、是非、辛口な感想文を・・・・と言われたんだけど、
毎度のノリで辛口感想文を書くと、恐らく稽古場で泣かなかった子が泣いてしまうんじゃないかと
それが非常に心配であります(笑)。
そして、稽古の全行程に付き合ったわけではないので、ダメだしが出来る立場ではない。
しかし、本番の公演を低価格とはいえお金を払って見た立場として、
率直な感想は言える立場であろうから、そういうのをきちんと踏まえたうえで書いていくことにしよう。


ミュージカルなので、歌やダンスに力を入れたいのはわかるんだけど、
基本の芝居がガタガタすぎ( ̄∇ ̄;)
大人チームは経験者有志たちばかりだろうから、最低ラインみたいなものは
きちんとわかっておいでのことと思う。
ただ、プロだってきちんと演出をつけてもらいながら芝居は作っていくものだ。
指導者は一体何をしていたんだ?? と思うような箇所が本当に多かった。
この人(役者)はもっときちんと立ててあげて、動きや言葉の整理整頓をしてあげれば、
ずっと見やすくていい感じになるだろうに・・・・基礎があるだけに残念。。。と思うようなことも多々。
もうこれは、現場の交通整理が出来なかった演出家の責任だと思う。
基本、あたくしは役者の味方なので(笑)、役者を責めたりすることはしませんよ^^


そんなあたくしでも、本当に頭にきてしまうことがあった(苦笑)。


まぁとにかく、主演が酷い( ̄∇ ̄;)


コイツ・・・・稽古中に本気泣きしてないな(ー_ーメ)
こんな陰気くさいアニーを見たのは初めてだ。


あたくしの感覚がしばらく芝居から遠ざかっていたのもあって、鈍っているからかもしれないと
終演まで冷静に見届けたわけだけど、客出しに出て挨拶しているのを目撃して
あたくしは本当にがっかりしてしまったのだ。

↑言い知れぬ殺意がめらめらと・・・・(笑)

コレが今時の子だというのなら、それはそれでよかろう・・・・。
ただ、今時の子の日常生活を客は見に来ているわけじゃないんだよ。
嘘でもいいから、健気で無邪気で可愛い少女を演じてくれなきゃ困るわけだ。
普段は、絶対に役者を責めたりしないあたくしだけど、
この時ばかりは演出家に対してよりも、率直にこの役者に対しての怒りを感じた。
なめんじゃねぇ・・・・と。


誤解をしてもらっちゃ困る。
別に、技術的な問題を言っているのではない。
もちろん、技術的に達者ならばそれはそれで言うことはないわけだけど、
もっと大切なポイントがあるのだ。
台詞回しがつたなくても、ダンスが未熟でも、歌がヘタクソでも、
アニーの場合は観客を泣かせることが出来る、言うなら「おいしい」役のはずなのだ。
子供にはつらい声域の音をファルセットに頼らずに、のびのびと歌うだけでもよかった。
別にせりふが棒読みのままでもそれはそれでご愛嬌というものだ。
ただ、忘れちゃいけないのは、大人の心をとりこにするような少女じゃなくちゃダメなのだ。
いつでも明るくて、ニコニコ笑っている子が、急にわっと泣き出すから周囲がビックリするんだし、
彼女の背後にある不幸の大きさと笑顔のギャップが切なかったりするんだ。
そういうのを表現するのに、達者な歌唱力や流暢な台詞回しは二の次三の次だ。
そんなことよりも、ヘトヘトになるまで笑顔をキープするべきだし、誰よりも大きな声を出すべきだ。
舞台の上で、一番よく動く存在でなくてはならないし、
危なっかしいことをしてもいいから、常に観客の目を奪うような行動をやり続けなくてはならない。
舞台上にいたのは、所詮中流以上の家庭で育った日本人の女の子に他ならず、
どうしてそんな彼女に大統領までもが傾倒するのか不可解でもあり(笑)、
懸賞金までかけて親探しをしてくれちゃう大富豪が夢中になるのも、解せない。
物語の屋台骨まで彼女1人でぐらぐらにしていることに、彼女も演出家も気づいてなかったんだろうな。
他の演者が気の毒だよ。誰か救済してやってくれよ( ̄∇ ̄;)
あぅ・・・・。
もっと言いたいことはあるけれど、このへんにしておこう(笑)。


あとねぇ。。。
10代の女の子に成人男性の役を振るのは非常に難しいんですよ。
以前、「ナイチンゲール」の時にもそういったキャスティングがあったんだけど、
まさか今回もかよ( ̄∇ ̄;)といった感じで。。。
集まったメンバーの毛色から、そういうのもやむをえないと思うのですが、
こういう時は、演出家がきちんとキャラ付けの手伝いくらいはしてあげた方がいいと思う。
本来、そういうのは演出家の仕事ではないと、あたくしも重々承知しているんだけど、
女の何たるかもわからないはずの10代の女の子に、成人男性が理解できるわけなどなく(笑)、
男装して、声だけ低くしている彼女たちを見ていると、本当に気の毒になるんです。
腕組みをしていれば男性的に見えるという見解も、早い時期に正すべきでした。




テレビとかで、本家「アニー」の稽古風景とかを時々特集しているのを見かける。
で、必ずと言っていいほど、演出家に泣かされている(笑)。
泣き癖がついて戻ってこられないくらいにまで泣かされて、せりふを「えぐっえぐっ」言いながら
何とか言えた時に、ようやくOKをもらえて・・・・なんていう場面は有名だ。
あそこまでやらなくてもいいのに・・・・とお思いの方もおられようが、
お客にお金を出して見に来ていただく舞台を作るということは、
あそこまでやって「本物」を追求しないとダメだっていうことなのだ。
そのOKの後の彼女たちは、本当にスッキリとして芝居も歌も急にのびのびとしてくる。
上手とか下手とかではなく、「あぁ、かわいいなぁ」と素直に思える。
演出家は怒って、怖い顔をしながら
「本当に思ってやるということはこういうことなんだ。」
というのを、本気で教えている。
「アニー」という教材は、そういうのに向いている。
だから、指導者がキッチリ悪者も演じて、本気で立ち向かってやらないと、
物語の起伏が全部平坦になってしまう。大人と子供の勝負が織り込まれた作品なのだから。


とはいえ。
あんなに屋台骨が揺らいでいても、大人チームはよく踏ん張っていたなぁと思う。
あたくしだったら、12月くらいにクーデター起こしたくなっちゃうかも(爆)。
演出、ふざけんな!!みたいに( ̄个 ̄) (懲りてねぇな、ホントに。)

芝居の毛色は個人的な好みではないし、最初はいい印象ではなかったんだけど
芝居が進むに連れて、ハンニガン先生が「いいな」と思えてきた。
彼女の持っているクセが、いい風に作用していった成功例だろうな^^
それとは別で、彼女の歌はホントによかったと思います。
ウォーバックス氏は文句なしによかった。トータルバランスが一番よかった!!
芝居の安定感、歌唱力、とにかくこういう人が大人チームにいるだけで心強かろうと思う。

あたくしは、泣かないアニーに対して殺してしまうほど短気でもないし、
かといって泣くまで待ってられるほどお人好しでもなく、
秀吉のように、あれやこれやと策を講じて何とかして泣かせる方向に持っていこうとするんだろうけど、
個人的には、自分が大人になってしまったので、数ある作品から「アニー」は選ばないか(笑)。
だって、嫌われたくないじゃん(爆)。
↑コレがあたくしが演出家に向いてないといわれる所以( ̄∇ ̄;)
でも、今回のアニーに限っては、現場を同じくしたら、徹底的に泣かせる方向で行くかも(爆)。
だって、ねぇ。
せっかくやるんだもの、いい舞台にしてほしいじゃない?


久々に舞台を見たら、やはり復帰に対する情念の炎がめらめらと・・・・(= ̄▽ ̄=)
その前に、少し痩せたらどうだ? アサミンジャー( ̄∇ ̄;)

↑次は一緒に行けるといいな♪

あさみ


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あなたの毎日にずぅむいん・・・・

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