2005年06月22日(水)
|
グリーンマイルを歩くのだ |
あたくしに彼のことを紹介してくれた心の姉は、彼を「魔法使い」と呼んだ。 人間誰しも、藁にも縋りたい状況というものに出会うものだ。 そういう時に、救いであるとか癒しであるとか、何か自分の求めていたものを まるで雛形を抜き取ったかのように施してくれる人がいるとするならば、 姉が語ったように、その人は当事者にとって、紛いようのない「魔法使い」かもしれない。
あたくしにとっての彼の第一印象は、「魔法使い」というよりも、 誰のグリーンマイルにもひょっこりと現れて、面白おかしい冗談を聞かせては笑わせてくれる、 エンターテイナー系のジョン・コーフィ・・・・そんな感じだった。 映画「グリーンマイル」に登場するジョン・コーフィは厳つい大男で、確かに冗談は通じそうだが ちょっと無器用そうでしょう? その無器用さを大人の機微でカバーして、尚且つ、すぃっと笑いを引き出してくれる・・・・ 彼はサービス精神旺盛なジョン・コーフィ。あたくしにはそう感じた。
「コーフィ」は言った。・・・・俺は胡散臭いよ。と。 「コーフィ」は言った。・・・・最低限の猜疑心くらい持ってた方がいいって。と。
あたくしは彼が繰り出す、真面目な話と、冗談まみれの話のパッチワークを聞いているうちに、 ケラケラと笑い出し、すっかり気分が良くなった。 お酒はあんまり強くないけれど、いいお酒を飲んで酔っぱらった時の感覚が一番近かろう。
やがて、あたくしの体は物理的に、断続的な変化を示し始めた。
いい気分の時に出る、特有の「鳥肌」が出ては引き、出ては引き・・・・彼と会話をしている間、 ずっとそういうのが続くのだ。 姉が彼のことを「魔法使い」と呼んだ由縁は、恐らく、ここにある。そう直感するくらい、顕著であった。
「コーフィ」は更に色んなことを話してくれた。 世の中には色んな人がいるんだよ、ということ。 普通に「奇蹟」と呼ばれるようなことを起こす人や、平気で人を貶める人、 優しい人、面白い人、悲しい人、成功した人、失敗した人、あったかい人、色々いるって。 自分の周りにどんな人を配置するかは自分で決めていく・・・・そんなことも教えてくれた。
思えば、あたくしのことを慮ってくれる人は、確かに増えている。 あたくしがそう感じようと努めているのもあるけれど、そう努めると、増えるんだということに気付いた。 心の姉が「魔法使い」として紹介してくれた「コーフィ」もその中の1人。 姉があたくしを慮ってくれるから、出会えたようなものだ。 これは偶然でも奇蹟でもなく、必然で、恐らく「出会えるべくして出会う」あたくしのグリーンマイルに 既に配置されていた人なのかもしれない。
「コーフィ」は期待を裏切らない、エンターテイナーだった。 彼のことを、詐欺だペテンだという人もきっと少なからずいることだろう。 だけど、あたくしにとって彼は、最高のエンターテイナーだと思う。 喩えるなら、彼の「存在」に対する代価があるとするならば、それへの散財は惜しみたくない・・・・ そういう気持ちにさせてくれる。
・・・・手っ取り早い話がですね。
面白いんですよっっ!!
好きな人なら、吉本新喜劇を正に自分ひとりのために目の前で繰り広げてくれていると言ってもいい。 吉本を受け付けないのであれば、他のどのエンターテイメントでも構わない、 ただ、自分だけのために時間を割いて、面白いことを提供してくれるから、物凄く贅沢な気分が味わえる。 出会えてオトク!! 魔法使い:ジョン・コーフィ!! 物凄く礼賛してしまいましたが、そういう人がいるんです!!
映画の中だけの話かと思っていました。 日本にはいないと思っていました。 アメリカにならひょっとしたらいるかもしれないけれど、今の時代、どうだろう?と思っていました。
エンターテイメントが人生の中で不可欠なものかというと、そうではない。 音楽や香水やマニキュアがこの世から消えたとしても、人間が生きていけるように、 食糧や水や空気みたいに、絶対になくなったら困るようなものではないけれど、 あればあったで、より濃厚な人生が送れる。 「コーフィ」は困っている人の前にひょっこりと現れて、クラウンのように道化を演じてみせながら、 きちんと救いと癒しも与えて、スッと去っていく。 映画「グリーンマイル」に登場するジョン・コーフィは、道化でもなければエンターテイナーでもない。 が、あたくしの前に現れた「コーフィ」はそういった意味で、最強に見えた。
人生、どんな出会いがあるか、本当にわからない。 生粋の日本人、「コーフィ」にあたくしは、しばらく陶酔して甘えてしまうかもしれないけれど、 この出会いが、本格的な「自立」を導いてくれるような感じがした。 確かにあたくしたちは、生れ落ちた瞬間から「グリーンマイル」を歩き出すんだけど、 その緑色をワントーン明るくしてくれた「コーフィ」。 この道を、ふんばって最後まで歩き通してみせるよ!
ありがとう、姉さん。ありがとう、「コーフィ」。
|