2005年04月21日(木)
メイビスの時代


6m四方のコートの中に無言の戦士がひとり
同じ大きさ、ネットの向こうにはやはり無言の戦士がもうひとり
私たちは意思の疎通を必要としない 孤独な打撃手だった

爆発的瞬発力と強靭的持久力を求められ いつも息を切らせていた
脚はみるみるうちに太くなり どんな踏み込みにも耐えられるように
シューズは鉛のように重く
そしてどんなコースのシャトルも打ち分けられるように
究極に軽量化したラケットでも 時にずしりと利き手に沈むこともある

まだジャンプスマッシュが打てなかった頃
高く上がったライジングを持て余したこともある
左利きだから
嫌がらせのために 相手の顔の左側にわざとクロスコースでドライブを打ち込むこともよくやった


6m四方のコートの中にふたりで立つ時
私たちは意思の疎通になれていないものだから よくぶつかった
体もぶつかった
ラケットが嫌な音を立てたこともある
ぶつからずに済んだ時も コルクの音が床に当たる嫌な音が静かにこだましたことを思い出す
白いシャトルを拾うのがこんなに難しいのなら
孤独でいた方がうんとましだと
私はひとりを選んだ


相談者もなく ただひとりで動けるだけ動くんだ
拾えるだけ拾い 打ち込めるだけ打ち込む
ハイクリアは高く そしてエンドラインギリギリまで飛ばし
ネット際の攻防に終止符を打つため
ヘアピンでシャトルをネットの向こうに押し込んだら
バックステップですぐにセンターポジションまで戻っていた

自分が拾えなかったら負け
あっさりとしているけれど 孤独とはそういうものだ

他人のせいにしなくてもいいから 勝つも負けるも自分次第だけれど
醜い感情を表に出さないために わざとそういうのを回避していたのかな


ひとりでいるとひとりぶん疲れる
ふたりでいるとふたりぶん疲れる
生きていくのに楽はできない
シャトルは嘲りながらも それを教えてくれていた

強く打てば強く返ってくるかというとそうでもなく
あんなにも渾身の力を込めて打ち込んだのに
あっけなくスピードを殺されて分が悪くなることもあった
打っても打っても響かない 生きているとそういうことってよくある

こぼれそうになったシャトルを 寸でのところで拾い
ネットにひっかけながら押し込んだ一撃が決勝点になることもあった
気持ちよく スマッシュが決まれば後味も良いが
こういう結末もあるということだ
一所懸命やっているのに 隙間に押し込んだ何かが
たまたまその道すじの何かを決めてしまう
生きているとそんなこともある


初速は200km/hを余裕で超える
なのに それが相手に届くまでに
頃合の速度になっている
打っても打っても響かない
だけど 拾わないと前に進めない
どこへ飛んでいくかもわからないシャトルとの追いかけっこは
人生 ここぞという時に とてもよく似ている
孤独なシングルス
衝突のダブルス
メイビスの時代のバドミントンは
未成熟な私たちに かなり厳しい試練を与えていった



↑いや、マジで( ̄∇ ̄;)



当時痛烈に感じたことがひとつだけある。
強さに比例して、性格が悪くなる・・・・ということだ(苦笑)。
まぁ、どんなスポーツでもそうだが、強靭な精神力=図太さがないと、ある程度のレベルに達せないんだと
15にして悟った瞬間でもあった。
フェアプレイと思いやりは似て非なるもの。
あたくしは若い頃、結構血の気が多く、究極の感覚派だったので
どうもチームプレイは苦手なのであった(笑)。

↑ま、そんな程度(爆)

あさみ


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