2005年01月20日(木)
淋しい大人たち


表題と同じタイトルの読み切りを、あたくしの愛して止まない、一条ゆかり先生が描いている。
うん・・・・マンガ(笑)。
でも、今になって読むと、なかなか深いと思う。


主人公の女子高校生、由実はある日、母親が父親の浮気調査をして、父親を責め立てているのを
何となしに聞いてしまう。その上、そっと覗いた時に、父親の浮気相手がとても美人だったということを
知ってしまうのであった。
激怒する母親と、何も言い返さない父親を見ながら、由実は
「どうしてお父さんはお母さんなんかと結婚したんだろう。
 こんなに口喧しいおばさんより、若くて綺麗なこの愛人さんの方がいいっていう気持ち
 何となくわかる気がするなぁ・・・・。」
と思うのであった。

その翌日、由実は今までつきあっていた恋人から、成績が下がってしまったことを理由に
別れを告げられる。
本当は友達から、この恋人が別の日に知らない女の子と歩いていたということを
知らされていたので、自分も母親と同じように浮気をされていたということに
腹が立って、腹が立って仕方がない。
怒鳴り散らして喫茶店から飛び出した由実は、とあるショップの前で足を止める。
自分の今着ているワンピースに、とっても似合いそうなコートがウィンドウに飾ってあったからだ。
と、中の様子を見ると、間違いなくこの間見てしまった、写真の女性・・・・父親の浮気相手がそこにいる。
振られたばかりでムシャクシャしていた由実は、徐に店内に入り、陳列してあったブローチを
バッグの中に入れてそのまま帰ろうとした。が、呼び止められる。
そして由実はとうとうキレたのだ。
「人のものを取るのが悪いのなら、あなただって同じことをしてる!!
 私は、あなたの愛人の娘なんだから!!!」

由実はその場で泣き崩れるも、気まずくて、どうやって店を出たものかわからず
しばらく、店内にいた。
閉店後、女性は自分の自宅に由実を誘う。由実はなぜだかわからないが、
父親の愛人であるその女性の自宅までついていってしまったのである。
(便宜上、ちょっと端折ります(笑))

料理を振舞われ、商売柄沢山持っているからと、洋服や小物をもらう間柄にもなり、
2人はまるで、姉妹のような関係になり、由実もやがて、彼女のことが好きになっていった。
そんなある日、彼女は由実の父親との馴れ初めを話してくれた上で、
「由実ちゃんが思ってるような関係じゃないのよ。」
と告白する。
由実の父親は、
「初恋の続きをしているんだ。」
と、そう言ったらしい。

ところが由実の母親は、相変わらず虫の居所が悪く、由実に対しても小言がどんどん増えてくる。
ある日、ひょんなことから由実が
「そんなふうに口うるさいから、パパだって愛人の方がいいって思うのよ!!
 あの人は優しくて、温かくって、パパが好きになるのだってわかる!!」
と言ってしまう。
すると母親は、夫と娘が結託して自分を騙していたんだと思いこんでしまう。

家庭内でとんでもない修羅場を巻き起こしてしまった由実は、母親に詫びたが、
泣き叫びながら、鍋を磨く母親の姿に、今度こそ何も言えなくなってしまう。

由実は愛人と実母の間で揺れ動き、そして父親の気持ちもわからなくもない。
唯一、わからなかったのは、自分と歳の近い父親の愛人ではなく、母親の心だったのだ。




沢山の修羅場があって、でもそれはとても日常的な修羅場だったりして、
ともすれば、どこの家庭でも明日起こってもおかしくなさそうな、近かりし話題だったりする。
そんなあたくしも、結婚する前までは由実や愛人の気持ち、そして父親の心境はわかっても、
浮気をされた専業主婦の母親の気持ちというのが、ほとんど理解できなかった。

今は・・・・。
一所懸命に「家庭」を守ろうと必死だったあの母親の気持ちも、わからなくもない。
全部はわからないけれど、共感できる部分は以前よりも沢山出てきた。

既婚者にとって、不倫とか浮気とかいうのは「なし」の前提で話を進めていかなければならないが
「なし」にしてしまえない、「衝動」というのがこの世の中には沢山存在するんだな・・・・ということも
最近、人生相談めいたことが飛び交う、あたくしが利用している掲示板でも多く見られるので、
「結婚・婚姻」という制度が昔ほど、効力を持たなくなってきているのかなぁ・・・・とすら感じてしまう。



初恋の続きをしていると言った、由実の父親。
この人には私くらいのおばさんが丁度いいのよと、涙ながらに訴えた由実の母親。
それを眺めて、互いに必要とし、どこかで惹かれあっているからこそ、この2人は一緒にいるのだと
やっと納得した由実・・・・しかし、あの愛人はこの先どうやって生きていくのか、
それも心配だったりする。
高校生の目線では少々過激だったりもするが、こういうのを経て、大人の世界の縮図を
子供も徐々に覚えていかねばならない。高校生ともなれば、半分は大人だから。



この作品に、「淋しい大人たち」という表題をつけたその意図は何だろうと、考えてみたけれど、
表面上は、誰も淋しくなく、ハッピーエンドで終わっている。
しかし、心の中では、子供には決して見せないような恋愛感情や、「サビシイ」のサインが
頻繁に飛び交っているんだよ、ということをきっと伝えたかったのかもしれない。
成熟したはずの大人でも、少年のような淡い恋心を抱いたり、誰かに頼らずには生きていけなかったり、
色々と諸事情はあるものだ。
子供の頃は、「大人=完璧」みたいな方程式がいつでも少しは頭にあったが、
例えばいざ自分が結婚してみて、足らないものが多すぎるのに気付くと、
満たされていない、淋しい大人なのかな・・・・と時々思う。
自分の親たちはどうだったんだろう・・・・とか、修羅場を笑って話すけれど、
その実、すごい愛憎劇があったんじゃないか・・・・とか、突き詰めると色々出てきてキリがない。

↑逆はすごくわかりやすいんだけど(苦笑)

こういう身の上が、自分にもあったりするんで、由実の心情がすごくよくわかったのかも。
でも実際、自分が結婚してみると、意外とその決め手というのは、問われると上手に説明できない(笑)。
ただ、淋しかったのかなぁ・・・・?
それは違うと思うんだけど、でも、浮気でも不倫でもなく、初恋の続きをしているかのような
あたくしの行動を、ぷよ2は黙って見守っててくれるんだよな。
普通は咎められるものだと思うんだけどなぁ・・・・ありがたいなぁ。。。。
これからも、「生き直し」や「恋のし直し」くらいは、堂々とできそう(苦笑)。
多分、自分で納得できた頃・・・・きちんと恋が終わったと自覚できた頃、あたくしの人生も
きっと、新しく拓けて変わってくるのかもしれないな^^

あさみ


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