2004年11月25日(木)
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あなたのことが好きなんです |
無器用な少年少女時代のことに思いを馳せていた。 たまさか、ぷよ2とママさんと一緒に飲んでいる時で、話題が当時、人気のあった女の子たち・・・・ なんてのになったからだ。
ぷよ2の同級生に頭脳明晰な上、眉目秀麗、温厚な性格で美術が得意、 ホントにこんな子がいてもいいんだろうか・・・・と神を疑いたくなるような少女がいたんだそうだ。 あたくしもその彼女には会ったことがあって、話もしたことがあって、 その中学時代の大人気を彷彿とさせる今の彼女を見ても、惚れ惚れとするような まさに、キラキラ星人★であった。 卒業アルバムを見せてもらった時も、1人だけ浮いているくらいに綺麗だったし、 如何せん、空気というかオーラが違う。 ここまで揃うと、同じ女子生徒たちにやっかみが発生してもおかしくないところ、彼女の場合、 その性格が周りの空気をやんわりとさせる効果があったのか、そんな話は一切聞かないという。
ホントにいるんだな、そういう子・・・・。 大人になった彼女を見て、あたくしは嘆息を漏らした。 どうしたら、ここまで擦れずに、やんわりとした大人になれるんだろう? 不思議で不思議で仕方がないくらいだった。
まぁ、あたくしの中学にも、そういう子がいないわけではなかった。 が、頭脳明晰、眉目秀麗、その他諸々のオプションつき・・・・となると、果たしていたかしら?と 少し考えねばならない。オマケに性格もいいって子なんて、あの中学で存在できたかしら? なんて・・・・(苦笑)。 中学の時点で、ガビガビに擦れてしまったあたくしたちは、女性を思わせる行為や服装、 生まれもったものまで否定されながら、3年間を生きてきてしまったものだから、 元々の素材がいい子たちが、完全に潰されてしまっていた帰来がある。 もしも、あんな校風でなかったら、そうだなぁ・・・・思い当たるフシも無きにしも非ずだけど、 如何せん環境がそれに応じていなかったため、彼女のような子・・・・を自分の周囲で探そうとなると、 コレ、至難の技となるのである。
で、自覚のないまま高校生になる。 色んな校風をかいくぐってきた色んな人種の子たちと、同じ学び舎になる。 すると不思議な現象が起こる。 ●●中学の誰々ちゃん、どんな子?? 中学の頃どうだった? つきあってる人、いるの?? と、このような会話が、まず1年生の初頭あたりに随時交わされる。 あたくしの中学から同じ高校へ行ったのは全部で12人しかいなかったのだけど、 それでもあたくしに、色々とリサーチをかけてきた少年がいるにはいた。 オマケに、周囲でそういう噂になっている女の子と同じクラスになっていたりすると、 関係ないのに、あれこれ聞かれたりするのも少なくないのである。 ふ〜ん・・・・あの子、モテるんだ。 同じクラスでも仲がそれほどいいわけじゃないと、このくらいのことしか感じないのだけど。
自覚のないまま高校生になったあたくしは、やっぱり1年生の初頭の頃だったのだが、 同じ高校の男子生徒に、つけまわされたことがある。 自転車登校をしていたあたくしは、部活動が終わって、田んぼの真ん中に通された一本道を 伊吹颪に吹かれながら、同じ部の子と一緒に帰っていたのだけど、何日かに渡って、 同じグループに追いかけられている。 どこかで巻こうにも、田んぼの一本道・・・・(爆)。巻けるはずもなく、どっちを追いかけているのか それが判明するまで、一本道を通り抜けたあと、一緒に色々な道を通って帰ったのだけど、 結局、どちらを追いかけていたのかはわからないままだった(笑)。
また、自覚に乏しいまま2年生になった春。 今度は、市内の工業高校の陸上部の先輩が、新入生歓迎公演の準備に忙しいうちら演劇部の稽古を こっそりと覗きに来ていたことがあった。 その時のあたくしは、部長におさまった直後というのもあって、次世代の部員確保に命をかけていたため 自分で役者をやりながら、灯体の準備をしたり、あれこれ全ての統括をしていたので、 野次に近い檄を飛ばしたり、体育館中を走り回ったりして、その合間に何とか休憩を・・・・といった そんな生活が続いていた。 自覚がないのは怖いもので、この話も実はずっと後になってから、うちの陸上部の部員に聞かされた。
「日野を見にきてたらしいよ。色々聞かれたもん。 あんた、昨年の工業祭、行ったでしょ? あれ以来、工業で噂になっとるらしいよ。」
「噂??」
「野球部の1年がうちの高校の年上のとつきあってるらしいって。」
「年上なら、うちらは関係ないじゃん。」
「バッカねぇ。ユウジくんの彼女はアンタでしょうが!? どうやら、あちらさんの野球部の先輩の中で噂になったのが飛び火したらしいよ。 演劇部の日野って何年?? どんな子?? かわいいの?? あの時、死ぬほど質問攻めに遭ったわ。」
「何でまた・・・・?」
「さぁね〜。ユウジくんが密かに自慢でもしてんじゃないの?? もしくは、目撃談が独り歩きしてるとか〜\( ̄∀ ̄*)」
「何でまた年上って・・・・」
「あんたが制服着ていかなかったからでしょっっ!!??」
そうなのであった( ̄∇ ̄;) あたくしは、当時つきあっていた工業高校の男の子のところに出向くのに、さすがに身元がばれる 制服姿というのは避けて、わざと私服で行ったんだった。 その目撃談が独り歩きして、野球部を蔓延した後、陸上部に飛び火・・・・遠征でうちの高校にやってきた 工業高校陸上部の人々が、わざわざうちの部を覗きに来る・・・・と、こういった流れだったらしい。 高嶺の花扱いは、決して気を悪くするものではなかったものの、慣れない扱いに戸惑った。 オマケにあたくしは、その偵察時に、思いっきり素で(爆)、檄を飛ばしたり怒鳴ったり、 正に鬼の形相で、そんな偵察隊が来ているものとは知らず、自分の世界に対峙中なのであった。 今の高校生は、お化粧くらい普通にするのかもしれないけれど、あたくしは大学に入ってからも ほとんどお化粧をしないで通学するくらいだったので、当時、顔を創るなんて以ての外。 舞台に上る時以外は、決して余分なものを顔にはつけないのであった。
コレによく似た話は、高校時代になってから数々浮上するものの、結局、浮いた話には直結しなくて 頗る悔しい思いをするのである。 万が一、あたくしが高嶺の花扱いをされていたのであったなら、そんなものはいらない(爆)。
前述したぷよ2の同級生の女の子は、男の子より女の子に人気があったと言っていたが それは上塗りの真実で、事実は水面下に留まっている場合が多い。 そもそも・・・・学校中で噂になるような女の子に対し、憧憬の眼差しで見ない少年がどこにいる? みんな、彼女のことを高嶺の花扱いしていたが故に、表出してこなかった真実だ。 浮いた話を聞いたことがないと、ぷよ2は言っていたけれど、浮けばいいかというとそうでもない。 誰かが、具体的に動いたとしたならば、あっという間に何十人、何百人と敵に回すのを 皆わかっているから、動かなかっただけで、思いは胸の奥深く・・・・青春の1ページとして 大事に大事に保存されていくのである(笑)。
「あなたのことが好きなんです。」
と、思いを告白した少年がいても、この彼女がそのことに関し、絶対の秘密を守っていたとしたなら 全て最初からなかったことになる。 まぁそもそも、初心な中学生の少年が
「あなたのことが好きなんです。」
と、告白するまでの道程が、果てしなく長いということを考慮に入れれば、 彼女に浮いた噂がひとつもないというのが真実だとしても頷ける。 なかなか言えないんだ・・・・このせりふひとつが。
いい大人がさぁ、同じせりふを吐いてもさぁ、重みが全然違うというか・・・・(苦笑)。 どっちが重くてどっちが軽いとか、そういう問題じゃなくて、初心な時代というのを どう過ごしてきたか・・・・によって、この言葉の重みが全く変わっちゃうんだなぁ・・・・ なんてことを考えておりました。
あたくしも少女時代、この言葉を口にするのに、2年半かけました。 この言葉を口にした途端、体はふっと軽くなった気がしたんだけど、同時に 何か大変なことを言ってしまったんじゃないかと、新しい重みが心に残った。
「あなたのことが好きなんです。」
乱発できない言葉だと、人間は本能的にわかっているんだろう。 重みに純粋に感応する人は、なかなか言えないものなのだ。 相手が人気者であろうがなかろうが、自分に責任が発生するから。 好き・・・・ってことは、丸腰の捨て身ということ。 初心な時代は、それが怖くて仕方がないものなんだ。
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