2004年06月20日(日)
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高口を読むっっ!!! |
「っっ!!!」とつけたのは、そんくらい、気合が要るってことで 普段、絶対に嘔吐できない体になっているのに、こう、内側からジワジワと嫌なものがこみあげてくるのを グッと堪えながら読む、いうなら、嫌な種類の漫画・・・・「花のあすか組 外伝」。。。。
本編の方は別にどうってことないの。 少し枠からはみ出て生きることを選んだ、普通の中学生が、 あんまり世間では吐かないようなせりふを吐きながら、わざと「争いごと」の中に飛び込んで、 自分を磨くために、強くなるために、「命」と「力」の本当の意味を見出すために、 小さな街の片隅で、日々抗争に明け暮れする・・・・まぁ如何にもあたくしの好きそうな話なんだけど コレが外伝となると、ちょいと話は別で、いい大人が、「生の命題」を突きつけられているようで、 しかも、自分がもう少しどちらかの方向にずれ込んでいたら、確実にここら登場人物のようになる、 そんな確信が心のどっかにあって、コレを読むと、主人公が嘔吐する瞬間に自分までもが 本当に吐きたい気持ちになる。
主人公は中学1年の少女・・・・後に、2年3年と進級して物語は進むのだが、 外伝では、13歳にまで遡ったところに焦点を当て、後に世間でも頻発することになるであろう ODやリストカット、不登校の本当の理由、「いい子」から脱却するために背負わなければならない負荷、 痛いと「感じる」ということ、本当の意味での裏切り、大人への不信感・・・・ そんなことが、びっしりと描いてある。 まだ、それらが社会現象になっていなかった頃の作品だというのに、本当によく描けている。
主人公は、本編では「あすか」だけだが、外伝では様々な人物に焦点が当てられている。 少女特有の悩みが羅列してある。 しかしそれは本当に、少女期だけのものだろうか・・・・?と、疑問に思うことがある。 少女特有の世渡りの仕方や規律なども羅列してある。 しかしそれも本当に、少女期だけのものだろうか・・・・?と、これもまた疑問なところだ。
13歳の脆さは、言い換えれば、そのまま13歳の本能であり能力。 クレバーな頭の回転は見せないが、妙に勘が鋭い・・・・時に真実を見抜く。 脆さと紙一重のところに残虐性があって、その両方を自覚すると、滅法強くなる。 オンナはみんな通ってきた道だから、改めてその通過儀礼的なことを思い出すと、吐き気がするのかも。 あたくしの13歳は・・・・今から思うと、その吐き気をどんなに上手く誤魔化したか、 それの凝縮版の気がする。
コイツを読んでいると、確かに吐き気がするんだけど、少女時代なりの真実がズバリと描いてあるから、 何度も読んでしまうのかもしれない。 読んでも何も感じない人もいるだろうが、あたくしにとっては、未だかつてこの作品が 色々な意味で以って「グロテスク」なのだ。
過ぎたバイオレンスシーンより、サイコ的怖さより、現実味があるから「グロテスク」。
このテの作品を読んでいれば少なくとも、人に殴られれば痛い、殴った方も痛い、 況してや、刃物で切りつけた時どんな痛みや苦しみがあるのか、 或いはそれを他人に向かってしてもいい行為なのか否か、一発で理解できると思う。 リストカット、アームカットなどで自傷行為をしている人たちの傷は痛々しいが、 いずれその傷から流れる血は止まると知っていて切る。そういう保険を知っているから切ることが出来る。 ただ、本当に苦しくて、息をしているのも嫌で、絶とう・・・・そういう気持ちで切った時、 血が止まってしまうのは、本当に気が狂いそうになるほどに、恐ろしいことなんだ。 13歳の少女は、死ねると思って切ってしまうわけだが、血は結局止まってしまう。
無器用に正義を見出そうとすると、アウトサイダーになる。 人も殴らねばならない。 自分も殴らねばならない。 拒否反応で吐く。 そこから自立していく様は美しいが、同時に物理的な痛みを伴う。 少女時代特有の社会の構図は、今や、そのまま大人の世界でも通用すると思う。
ただ・・・・。 今や、本当に自立した美しい大人が少ないので、彼女たちの抗争がキラキラして見える。 あたくしも自立したい・・・・そう願い続けて、もう20年以上経ってしまった。 無器用なアウトサイダーでもいいから、自立を自覚できたら、 生き難いかもしれないけれど、自分を許せそうな気がする・・・・。
台風が近づいております。 あたくしの顔は土色です( ̄∇ ̄;)
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