2003年04月16日(水)
プロトタイプに戻りたいアサミンジャー/昨日の続き


そうやね、「エヴァンゲリオン」を引き合いに出すなら、今のあたくしは
「弐号機」であったり「参号機」であったり、とかく、基本に忠実とはいえない(苦笑)。
「零号機」ばりのプロトタイプであるならば、あたくしには自由が生まれ意志が生まれ、
多少、生き難いかもしれないけれど、前線に立てる。誰彼から何かと頼りにされる、
そして、あたくしがこの世の定規みたいになれる(小学生みたいな野望♪)(くすくす)。


昨日のあの一件で、ユリ姐からメールが来ていた。
「気にすることはないよ♪」
みたいな事が書いてあった。・・・・うん。気にしないようにはしようと思うんだ。
気にしたって、仕方がないもの。


昨日、核心に触れたにも拘らず、割愛してしまったその内容を、今日、少しだけ
ここに書こうと思う。




「あなたはね、パニック障害じゃないんだよ。」

「うん・・・・前にも聞いたよ。」

「で、だ。これとよく似た症例の人がいたんだ。彼女は治った。
人間観察が得意な君なら、もうわかるだろう。どうしたら治るのか。」


「先生の言いたいことはわかるよ。・・・・でも、それができないままでいるから
あたしはここに来てるんだよね・・・・。」


「彼女は『残虐性』を遠ざけるのではなく、見事に自分の中に引き入れた。
そうしたら、一発で治ったんだ。この病気は治るんだよ!」




・・・・初めてじゃないだろうか?
医者も含めて他人から、気休めとかではなく確たる証拠や理由を並べて、
その上で「治る」と断言されたのは。
だから、治る・治らないは別として、この言葉が凄く印象に残っていて、
自分がどうすればいいのか、だとか
これからどうしていけばいいのか、だとか
そういう具体的なことまで目が向くようになった。


要するに、あたくしの中に潜む、いつ暴れだすかわからない『残虐性』
あたくしが自分の意志で以って自分の中に上手に取り込んでしまえばいい。
そういうことになる。
それは、自分でもかなり前からわかっていたのだけど、
オーアエ『残虐性』の根源をゆっくりと時間をかけて探り当てていたようなので、
あたくしもそれにつきあっていた。


あたくしが自分の中から『残虐性』を切り離さなければいけなくなったのは
幼い頃に窮屈な躾をされたことでもなく、
優等生というレールに乗ってしまったことでもなく、
いじめをうけたということでもなく、
先生の自殺が原因というわけでもない・・・・。


あたくしを嬲り者にした「男」への強い怒りが「殺意」に摩り替わってしまったらしい。
あたくしはその事からずっと目を背け続けてきた。
ひょっとしたら、自分も悪かったのかもしれないから、他人を責める前に
自分をよく省みて、本当に非がないかどうかを確認してからでも遅くはない。


そして、自分自身の強い意志として、
「男性恐怖症」などというお粗末な顛末にだけは絶対に陥るまいと、半ば荒療治的に
男性に近づいては、自分で「取捨選択」し、「納得・合意」の上
自分の「女性」を確立させようと躍起になっている時期もあったのだ。
そうして出来上がったのが、「朝美」。例の4人の中では一番遅咲きで
歴史も浅い。
そして、多分同時にあたくしの中に、
あの暴れん坊ヤロウが目覚めるきっかけを与えてしまったのかもしれない。
しばらくはその存在さえ気付かなかった。
暴れる必要がなかったからかもしれない。
例えば、その「殺意」とか「残虐性」とかを芝居に置き換えて発散することができていたから
抑えが利いていたのかもしれない。
今は・・・・それが、ない。
いつ、アイツが暴れだしてもおかしくない。
そして、そのトリガーになっているのは、きっとSEXだということも薄々わかっていた。
だから、最近、わざと自分をそういうところから遠ざけて、発作が出ないように
心がけているくらいだ。


普通に男性と交際をし、普通に失恋をし、普通に関係を持ち、普通に成熟していく・・・・
その「普通」がある事件を境に、全てどこかへいってしまったのだ。
前に話した時は、「朝美」が出ていたせいかオーアエもランスルーした事件だったが、
本当は、そこに治療をするにあたってのコアが隠されていることが、昨日判明した。


「いつ頃だっけか、その事件とやらは。」

「20歳。」

「・・・・相手の男のしたことは、明らかに犯罪だよ。
ただ、出るところに出ても傷つくだけだ。
それに、あなたのしてきたことは決して間違いじゃない。
自己防衛の一種だからね、これは。」


「でもね、先生・・・・あたし今でも思うんだ。
本気を出せばちゃんと逃げられたんじゃないかって。
お金を貰わなければよかったんじゃないかって。
・・・・ただ、バイトの帰り道、待ち伏せをされてたことは本当に怖かったんだ。
それからも、その人の顔を見るたびに、柄にもなく身が竦んだわよ。」


「金を受け取ろうが拒もうが、あなたの中ではその時、既に『殺意』が生まれていたんだから、
この際、お金は関係ない。
あなたがその男に対して、どういうふうに思ったか・・・・それだけだよ。」


「さすがに参っちゃって、学校も2〜3日休んだ。
同じ女性に相談すればいいのに、あたし、何を思ったのか
大学の男の先輩に相談したんだ。
その人は言ってくれた・・・・『よく無事に家まで戻ってこられたなぁ』って。
その言葉に救われて、何とか学校には行けるようになったけど、
そこから、色々と変わってったかも。
無償で身体を差し出すことで、全部綺麗に洗い流したくなっちゃったんだ。」


「パターンからいうと、極々ありがちな感じだ。
別段、異常というわけでも特別というわけでもない。
直後、女性ではなく男性に相談したところからもう既に、何かが始まっていたのかもな。」


「そうなの?」

「断言はできないけど、多分ね。」

「でも、『殺意』っていうのは・・・・」

「あなたは頭の中で、よく『残虐シーン』を巡らすんだろう?
小説に書いたり、演じたり。
発作の時も、俺を殺そうと誰かに命じられてたって言ってたじゃないか。
血みどろの何かを求めて、それで・・・・」


「血みどろは違うわ。
・・・・あたしが本当にやっちゃいけないことって感じているのは
人間としての機能を完全に奪い取ることよ。
殺しはしない・・・・ただ呼吸しているだけの「モノ」にしてやるのが
一番残酷で、一番気分がいいわ。
血を見るよりも、生殺し・・・・生きているのに生きていない、
そういう存在にしてやることの方が、あたしは残酷で・・・・そして快感だよ。」


「なるほど・・・・ある意味、スパッと命を奪い取るより
残酷で残虐だな♪」


「だからね、相手が生きて苦しんでいる限り、多分あたしも同じように悔いると思う。
せめて、あたしの『殺意』とやらが、スパッと相手の命を奪い取ってしまうようなものだったら
あたしもきっと、もっと早い時期にアイツを受け容れてるんだと思うよ。」


「おかしな『捩れ』みたいなモノが生じていた点はそこか。
私はてっきり・・・・」


「てっきり・・・・何よ?」

「弟に対する殺意が完結していないだけなのだと思ったよ(笑)。
なるほどなぁ。人間としての機能を奪う、か。
弟に対しては既に施しているからなぁ。納得、納得。」


「だから、そこまで恨んでないってば( ̄∇ ̄;)」

「とにかく・・・・あなたのその暴走は必ず治まるよ。
大丈夫だ。」


「男としての機能を奪う・・・・って、
女としては究極の『残虐性』だと思うんだけど
あたしと寝た男たちは、そういう意味では凄く可哀想・・・・。」


「何を言う? 幸せ者だと思うぞ〜♪」





まぁ、確かに(苦笑)。命こそ奪わなかったが、男としての沽券に関わるものを
丸潰しにしてやったことはあったかも。
彼がその後、所謂ところの「役立たず」になったかどうかは知らないけれど、
あたくしがこの時に感じた快感は、SEXで得るそれを遥かに凌駕した、素晴らしいものだった。
あたくしが悦に浸っているところを見て、そんな男たちは勘違いして幸せと思ってくれただろうか。
もしそうならば、あたくしはそれこそ、これ以上の快感はないと思うのだ。


今のステディには気を許しているし、あたくしがいつどんな時に発作を起こしやすいのか
そういう時はどうしたらいいのか・・・・それを全部知っているので、仕掛ける気にもならない。
かといって、公然と浮気をしたり、援交まがいなバカが許される年齢でもない。
じゃあ、あたくしの輪廻はいつになったら解きほぐされるわけ?
答えは出ているのに、方法論がバシッと見つけられないのはどうして?
あたくしがあの暴れん坊を吸収するには、他にどんな方法があるというの?
畜生・・・・それを聞いてくるのを忘れた(爆)。


この後に、昨日書いた「同級生騒ぎ」があって、何だかごちゃごちゃしてしまって、
それどころじゃなくなってしまったのだ(苦笑)。
あたくしもとっ散らかっていたし、オーアエもお疲れのようだったし(爆)。

↑次回の診察の時に昨日のことは忘れてそうだが( ̄∇ ̄;)


本当にそういうヤツなんだよ、オーアエは( ̄∇ ̄;)
それこそ、あたくしが自己カルテとしてこういう日記を書いていなかったら、
話はもっと混濁して、病名さえハッキリしないんじゃないかというくらいにややこしくて、
あたくしの方から、さっさと彼を見限ってしまっていたかもしれない。
それでも3年近く2週に1度顔を見る間柄になっていると、なかなかそれはそれで面白いもので、
「信頼関係」といえば聞こえは良いが、患者側のあたくしではなく、
医者側のあっちが横着になってくるという図式も、ハッキリしてきた。


ところで・・・・。
あたくしは某大病院にかかっている時は、「精神神経科」に通っていたはずなのに
この新しいクリニックに移ってきてからは「心療内科」に通っていることになる(爆)。
もっと面白いのは、某大病院では精神神経科で医長とまで名乗っていたあのオーアエ
あのクリニックでは、ただの「心療内科医」でしかないということ。
医者の世界というのは、ホントにわからないことだらけだ(爆)。

まぁ、こっちも「精神科に通っています・・・・。」と肩身狭く言うよりも
「心療内科のお世話になってます。」と言った方が聞こえが良いような気がするのは
何でだろう??
日本人の『偏見』が消える日はまだまだ遠そうだ。(特にこういう田舎では)

↑そんな予感めいたものがしてたんだけど・・・・。

予感が大当たりしても、気持ちが良いものでもない。
クリニックから帰ってきた時に、既にちょっとピリピリしてたからなぁ。

でも、新しいあの場所は結構好き。
某大病院の時は、院内に入った途端に、息が詰まりそうだったのだけど、
あのクリニックにはそれがない。
それがせめてもの救いかも♪
前に行った時よりも、色んな本が増えてた。
あたくしの目の前には、色鉛筆画の本が置いてあって、パラパラとめくってみたら
結構面白そうだったんだけど、
自分の原稿の方が大事なので、ずっとそればっかりを書いていた。
大きなテーブルのある待合室は、図書館みたいで、あたくしにとっては居心地がいい。

あさみ


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