「ああ、少し炎症を起こしてかぶれてますね。
ちょっと力を抜いてくださいね、今、中も見てみますから。」
「はい・・・・。」
「あ、排卵きてますよ。問題ないですね。
あと2週間もすれば、生理が来るはずです。
子宮の方も、特に問題はないと思いますよ♪」
「そうですか♪ ありがとうございます♪」
触診からすぐに診察室に戻されて、詳しい話を聞く。
「一応、お薬を出しておきますね。膣内にも今お薬が注入してあるので、
しばらくおりものは多いかもしれませんが、それは心配ありませんから。
あと、お薬ですけど、
痒み止めだけをむやみに塗っても菌を繁殖させるだけですから
こっちの抗生物質のほうも少し塗ってください。
そうすれば、当面の症状はかなり緩和されると思いますから。」
「はい。ありがとうございます。」
「1週間後に、検査の結果がでますので、
もう1度だけ来てくださいね。」
「はい。どうもありがとうございました。」
ひょっとしたら、まだカンジダが蔓延っているかもしれないというのに、
しかも、つい先日終わったばかりだと自分で思い込んでいた生理が
あと2週間後ですよ〜、と宣告されたのに、
それでも何でか気分は爽快だった。
これで産める・・・・。
その確信がそれにつながったのかもしれないけれど。
しかし、ちょっと触診しただけで排卵がきているとか、
あと何日で生理がきますよなんてことまでわかるのね・・・・。
知らなかった。すごいと思った。
ちょっとした感動を覚えて、外来で待たせているぷよ2のところに戻った。
「どうだった?」
「うん♪ 筋腫とか内膜症とかの心配はないって♪
オマケに、排卵もきてるらしくて、
多分このままいくと2週間後には生理だわ(笑)」
「そっか〜♪ よかったな♪」
「ずっと無排卵月経じゃないかと思ってたけど、
ちゃんと動いてたんだ、あたしの卵巣・・・・。」
「・・・・うん。ホントによかった。」
「何かね、先生も人あたりいい感じで、触診も痛くなかったよ。」
「俺もね、思ったんだ。この場所はオトコにとってかなり場違いかなぁって。
でも、結構、男の人とかもここで待ってる人が沢山いたから、
ちょっと安心した。・・・・っていうか、前も思ったけど、
ここ、絶対産院じゃねぇよな(-。-) ぼそっ」
「うん・・・・あたしもそう思う。」
「ほら、あさみたんの友達も言ってたじゃん?
ここで産むと、三食のほかにおやつとお夜食までついてくるって。
ここのサービスは並じゃねぇよ。」
「うん。すごいよ。」
「あさみたんも、産むとなったら、こういうとこの方が絶対いいって!
オトコの方も安心できるもん。」
「そうだねぇ・・・・。外来待合で居辛い思いをしないっていうのは
男性にとってもいいのかもね。」
「でもなぁ、結構笑えた事があったんやぞ。
中年の男性二人組みがな、さっき、多分道を聞きにきたんやけど、
あの二人だけは、確実に浮いとった(爆)」
「ぎゃははははははは _(__)/彡☆ばんばん!」
「男同士で来るとこじゃねぇよな。」
「ま、確かに(爆)」
奇しくも、このリゾート系産院は、
昨今新しく出来た庁舎の合間にひっそりとたたずむようにあって、
車の通りこそ少ないものの、かつてのあの場所を知っている人にとっては、
あの田んぼばかりだった土地が、こんなふうに開発されるなんて、ふっしぎぃ〜♪
みたいな場所にあるのである。
そういう庁舎に用事があるのは、大概、中央から来た公務員であるとか、
企業のサラリーマン(研修)だとかが多いんだけど、
何も、産婦人科で道を聞かなくてもいいじゃないか? とは思うのである。
建物が沢山できて、道がややこしくなったのはわかるけどさぁ・・・・。
と、この文章を書いている時に、サヨコが横から口を挟んだ。
ぷよ2に言わせると、その男性二人組みは
ちょっと困った感じで、この場所を後にしたらしいが、
確かに、道を聞くには、ちょっと困っちゃう環境かもしれない。
あっちでは赤ちゃんが注射をするのが嫌だといって、連鎖大合唱が始まっているし
こっちでは、おなかの大きな妊婦さんが、ゆったりと雑誌を読んでいたりするんだから。
それにしてもよかった、よかった。
ぷよ2の言うとおり、こういう場所で産む方がいいのかもしれないな
と思った1日でした。