思い起こせば。
あたくしの卒業式には、本当にいい思い出なんか1つもありゃしない・・・・。
普通に卒業できると信じていた小学校。
式典が全て終わり、友達と写真を撮り合ったりしている中、
あたくし1人が隣のクラスの女の子に呼び出され、
いきなり肩頬を張られた。
あたくしは、それまで自分の隣の席の男の子と「ふつうに」仲が良かったのだが
彼のことを好きだった彼女は、それを誤解して、
このような形で怒りを露にして来た。
以後、宿題も何もないはずでハッピーな春休みは全部憂鬱になった。
中学に上がるのも、面倒くさかった。
絶対、普通には卒業できないだろうなと予測させた中学校。
やっぱり普通には卒業できなかった。
予てからギクシャクしていたクラスメイトと早く離れたい一心で
卒業式を心待ちにしていたくらいだ。
音楽に力を入れていた我が中学校は、
卒業式ともなれば本格的な混声四部合唱で以って、三年生はその生活に幕を閉じる。
大概の女子生徒たちはここで感極まって、すすり泣いたりするものだが、
あたくしだけは何故か、無表情のウラで、喜びに満ちていた。
その喜びのウラで、泣くに泣けない事情もあった。
隣でリエが泣いていた。
あたくしは、その当時、本当に弱りきっていたので、
泣いてしまうと、自分が何かに食い潰されそうな錯覚に陥っていた。
本当に和解したかった相手とは、結局和解出来ないまま、
中学を後にした。未だ蟠りが残りまくっているのは、その所為・・・・。
高校の卒業式は、実に慌しかった。
大学受験の結果がまだ全部出ていなくて・・・・というか、行き先が決まっていなくて、
本当に来月から大学生になれるのかどうか分からなくて、
式典の内容はほとんど覚えていない。
クラスメイトと何枚か写真を撮ったりしたけれど、
式典が終わるや否や、進路指導室に駆け込んで、
保険代わりの、地元女子大の願書と調査書をインスタントに作ってもらった。
その2日後。
第1志望の合格がわかって、ホット胸を撫で下ろし、
担任教師らと山賊の店に飲みに行った(爆)。<止めろよな、担任。
まだ20歳になっていないあたくしらと、早々とグラスを交わしてしまった
あの教師たちのことは良く覚えているけれど、
「卒業式」そのもののことは、ほとんど覚えていない。
(お酒は20歳になってから♪ いくら保護者同伴でもダメよん♪ ホントは)
言うなら、自分が2年の時に好きだった先輩が卒業していく時に
あれだけ約束していたのに、第2ボタンを他人にくれてしまったあの悲しみは
やっぱりあまり良い思い出ではない。
そんなこんなで大学(パラサイト・パラダイス)に入学し、4年間を満喫し、
卒業式には学部長賞という栄誉までつけられて、
一見、素晴らしい卒業式のようにも見える、大学の時。
大学の卒業式には、謝恩会がつきものである。
うちの学科は、それぞれ芸事を嗜んだ人々ばかりの集まりなので、
それなりに、盛り上がりはしたものの、
如何せん、会場と当時の自宅が離れていたため、
バカバカしいほど荷物が多い。
卒業式では振袖を着たが、謝恩会には別の洋服で行った。
脱いだ着物は、稽古場できちんと畳んで専用のバッグに詰め、
御草履に、バッグも全部総とっかえ。
おまけに、余分に表彰されたものだから、
その副賞としての「広辞苑」(箔押し金粉・学部長の署名落款入り)の
重いこと重いこと・・・・・。
おまけに荷物はこれだけではなくて、
新年度生のためにロッカーの仲を全部空にしておかなければならないので、
その分の荷物も抱え込み、池袋駅のロッカーにとりあえずは突っ込んだのである。
いい加減、そのウタゲも終わり、
いざ帰途についたのだが、パンプスが足に合わなくて、もう大変。
最寄駅で、腕がちぎれそうなくらいに重い荷物の中から、
たまたまスニーカーがあった事を思い出し、何とかそれに履き替える。
と・・・・・・。
もう、自宅は目と鼻の先・・・・というところまで歩いてきて、
あたくしはその荷物の中で、一番大事な物を、
どこかに置き忘れてきたことに気づいたのである。
顔面蒼白・・・・・・。
慌てて、さっきスニーカーに履き替えたところまで戻るが、もう、そこには
あたくしが置き忘れた、FENDIのバッグ(現金5万円他、免許証等入り)は
なかったのである( ̄∇ ̄;)
あたくしは半べそ状態で、駅の反対側にある交番に駆け込み事の経緯を説明し、
とりあえず、遺失物の書類を書きながらガタガタ震えた。
そのときのあたくしのナリといったら、
そこそこのブランドのワンピーススーツを着ているのに、
足元だけは、ボロボロのスニーカーで、
本来、その洋服にあわせて持っていたバッグだけがなくて、
どうでもいい稽古着が入った大きなずた袋のようなバッグと、
振袖の入ったバッグ、
そして、「広辞苑」やその他記念品の入った、重いばかりでどうでもよい紙袋。
アンバランスこの上ない格好で、今にも泣きそう。
半狂乱でとっ散らかっているあたくしに、お巡りさんは親切に対応してくれたけれど、
あたくしはこの日、早朝からの出動、そして、この頃もう終電間際の時間である。
もうヘトヘトで、そんな優しいお巡りさんにまで神経が回らない。
と・・・・・その時。
駅構内で行商をしているおじさんが、あたくしのバッグを届けてくれたのである。
あたくしは一気に箍が外れ、ボロボロ泣き出して、
額がコンクリートにくっつくぐらいの勢いで、その叔父さんに頭を下げて
御礼を言った。
本来なら、拾った中身の1割はおじさんに権利があるんだけれど、
おじさんは、あたくしの半狂乱振りを見てか、それとも親切心からか、
「女の子なんだから、バッグだけは身体から離しちゃいけないよ。」
と、とってもタメになる教訓を残して、1銭も受け取らずに帰っていった。
お巡りさんも、
「先方さんがああ言っているんだから、この書類はいらないね。」
と言って、あたくしが書いた書類をなかったことにしてくれた。
あたくしは、安心感と感謝と疲労で、すっかり脱力してしまい、
本当なら、5分ちょっとで帰り着くことが出来る自宅まで、
15分以上もかかってしまい、その後3日ほど寝込んだ(爆)。
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と、こんな話をしているのも、本日の「金八」の卒業式が、
あんまりにも「面白かった」からである。
普通、式典ともなればあぁはならない。
あんなふざけた事をしようものなら、うちの中学では
とっくの昔に、何かしらの形で懲罰を受けただろう(嗚呼、恐ろしい)。
お辞儀の角度まで強制練習させられた忌まわしき過去・・・・。
まるで軍隊みたい。
あんな卒業式が、羨ましくてたまらない。
特にあたくしは、「卒業式」そのものにあんまり良い思い出がないばっかりに
余計に、感動を誘う「卒業式」には憧れてしまうのかもしれないな。
「金八」最終回、総合統括的感想文は明日の日記にでも。
では、べったべたなクイズで、本日はこのへんで♪
【次の中で「卒業」というタイトルの曲を出していないのは誰でしょう。】
渡辺美里とかも出してるんだよね、そういえば。
卒業に際して、あたくしの頭の中に流れていたのは、
そんな言葉の入る余地などない、暗い曲ばかりだった(苦笑)。