2011年01月20日(木) |
『小さな村の小さなダンサー』 |
1961年、中国山東省の小さな村。 リー・ツンシン(ツァオ・チー)は、貧しいながらも、しっかり者で愛情深い母(ジョアン・チェン)のおかげで、気丈な少年に育つ。 11歳のある日、学校に視察に訪れた毛沢東夫人の目に止まったリーは、北京の舞踏学校に入学する。 だが入学後、レッスンに馴染めず落ちこぼれてしまう。 そんな彼を見かね、密かに持っていた古典バレエのテープを渡してくれるチェン先生。 バレエの美しさを知ってほしいという思いからだった。 これをきっかけに、バレエにのめり込んでいくリー。 だが、チェン先生は江青夫人の方針に逆らった疑いで捕えられてしまう。 時は流れて改革開放路線の中国。 青年に成長したリーに、米国のバレエ団の研修に参加するチャンスが舞い込む。。。
私が今まで見た映画の中で3本の指に入るのが2001年に公開されたイギリス映画の『リトル・ダンサー』。
本当に大好きな映画で、ロンドンのウエストエンドまでミュージカル『ビリー・エリオット』も見に行ったくらいの思い入れがある作品です。
新聞の評で、この『小さな村の小さなダンサー』という作品を知った時、「中国版のリトルダンサー?」と思い、ずっと気になっていました。
前者との大きな違いは、実話であるということ。 なので、バレエの話しと共に、政治的な展開も多く含まれています。
昨今、ニュースでもよく目にする、中国の(中国人の)イケイケ振りを見ると、この作品の中の出来事がホンの40年ぐらい前の事とは思えません。
今の中国の様子を(テレビや雑誌で)見ると、文化大革命や毛沢東の共産主義が1世紀ぐらい前のことのように思えてきます。 (でも世界から見たら、敗戦かた立ち上がったひと昔前の日本もきっと同じような状況だったんだろうな…)
この時代、1人でアメリカに渡り、言葉の壁や人種の壁…。 映画の中で、このあたりの差別や苦労はほとんど描かれていなかったけど、相当に大変だったはずです。
バレエに賭ける情熱や恋人と祖国や家族を天秤にかけなければいけないなんて…。 そして、亡命を選ぶなんて…。 並大抵の決意で出来ることではないと思う。 あまりに凄い次元すぎて、自分では置き換えられません。
目の前にあるのは「踊ること」のみ。
バレエシーンもとても素晴らしくて、中国の両親が招待された公演のシーンは本当に感動的でした。
そして、故郷の村に奥さんを連れて凱旋帰国した時の2人のダンス。 恩師の先生との再会もシーンも涙・涙でした。
中国では今も、全土から優秀な子をスカウトしてきて、オリンピック選手の育成教育とかやっているのかなぁ?
近年だと、シンクロの躍進が目立つけど、勉強であれスポーツであれ芸術であれ、人口が多い分だけ優秀な芽が出る可能性も高いわけで…国を挙げて育成していくシステムが整っているのかな〜。
今も、もしかしたら山奥の小学校までスカウトしに行っているかもしれない。 でも、この映画の頃とは時代が違う。 中国の躍進を目にする機会が多い今だからこそ、余計にこの作品のメッセージや良さが分かったような気がします。
主人公のリー・ツンシン役は、「子供時代」「北京時代」「現代」と、子役を含む3人の役者が演じていて、回想劇になっています。
子役からの移り変わりのスムーズだったし、アメリカ時代の恋人やバレエシーン、政治に翻弄されていくスピーディな展開もひきつけられ、期待どおりの素晴らしい作品でした。
ただやっぱり私は、イギリス北部の炭鉱町を舞台に、ジェイミー・ベルの少年期の1番ステキな時が凝縮された『リトル・ダンサー』の方に軍配は上がるかなぁ〜。
今作も、またまた会員になっている小さな劇場での鑑賞。 なかなかの盛況で、あちこちからすすり泣きが聞こえてきました。
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