2006年03月26日(日) |
『クラッシュ』+2月3月の読書まとめ |
アメリカ、ロサンゼルス。 ハイウェイで一件の自動車事故が起きた。 その“衝突”の向こうには、誰もが抱える“感情”の爆発が待っていた。 ペルシャ人の雑貨店主人は護身用の銃を購入し、アフリカ系黒人の若い青年2人は白人夫婦の車を強奪。 人種差別主義者の白人警官は、裕福な黒人夫婦の車を止めていた。 階層も人種も違う彼らがぶつかり合ったとき、悲しみと憎しみが生まれる。。。
「長いものには巻かれよ」という諺がありますよね。 Yield to power 理想や理屈じゃ片付けられない動きを感じた作品でした。
いつも御世話になっているリネさんから「LAの油断できない怖さがよく現れていた」という感想を聞いていて、私はLAには行った事がないけど、見終わった直後に「あ〜、これがリネさんが表現してた“油断できない怖さ”なんだろうな」って強烈に感じました。
「これ、もっすごい現実なんだろうな」って。 どの登場人物を見ても、「きっとこれが現実」と。
私が住む磐田には、数年前からブラジル人が多く住むようになってきました。 近頃は、市指定のゴミ袋の注意書きにもポルトガル表記があったり、広報にも部分的にポルトガル表記があったり、市役所や病院、銀行などには、通訳が居ます。 ホンの10年前とは明らかに変わった街の流れ。
当然、市内にブラジル人も増えてきました。 でも、ブラジル人が住んでいるアパートには日本人はあまり住んでいません。
勤めていた頃、業務で不動産関係もやっていた為、不動産屋さんから話を聞く機会も多かったんだけど、「ブラジル人が住み始めると、日本人がみんな出て行っちゃう」と、どの不動産屋さんも言ってました。 会社の近所のアパートを見ていても、まさにその通りで、いつの間にか日本人の姿が見えなくなり、ブラジル人専用化したアパートになっていってた。 だから、新築のアパートや貸家なんかは、最初からブラジル人は入居不可のアパートもあったりします。
それは、そのブラジル人の人間性の良し悪しとか、そうゆうのは全く関係ない次元で発生している。
劇中に出てきたあらゆる人種の人は、少なくとも全員が共通語(英語)をしゃべっていた。 しかし、うちの方にいる外国人は、まず日本語が理解できない人が圧倒的に多く、1番に言葉の問題があり、生活習慣の違い、文化の違い…etc…近隣に住めば、何かしらの問題が発生してきます。
旅行に行って出会った外国人と触れ合うのとは違う。 日常を生きている者同士の問題は絶対にある。 10戸あるアパートで、9戸に言葉が通じない外国人が住んでいたら、私だって他のアパートに移ると思う。 そこに住みたいとか住みたくないとか言う以前に、「わざわざそこに住む必要がない」と感じるだろうから。
これは「差別」なんでしょうか…?
劇中、中国人の密売人のエピソードで、アメリカ人が中国人を「タイ人とカンボジア人(だったと思う)」と呼ぶシーンがあるんだけど、欧米人からすると、アジア人の顔って、「なにじん」か区別できないものなんだなぁ…って改めて痛感したシーンだった。
我々から見ると、言葉を聞かずとも容姿を見ただけで、「中国人か?日本人か?」は、十中八九、区別がつく。 中国人とタイ人も、ほぼ間違えることはないと思う。
昨年、ニューヨークを旅した時、「どこから来たの?どこの国の人?」ってよく聞かれたけど、自分では「どこって…アナタ、どこからどうみても私ジャパニーズでしょ?!」って思ってるんだけど、欧米人から見ると、しょせん「東洋人」は「東洋人」なんだろうね…。
ニューヨークから帰国後、「日本人は、1度はアジアから出てみないとダメだな」って凄く強く感じたんだけど、いろんな人種の人が居る街に行くと、単一民族国家である日本の(日本人の)感覚を狂わす出来事が起こる。
それは「差別」というより「区別」かもしれない。
全くもって映画の感想になっていないレポですが(苦笑)…評判どおり、非常によく出来た作品だと思いました。 一言で言うと、「鋭い」作品って感じかなぁ。
ドン・チードル演じる警察官のラストの繋がりは、「あ〜、なるほど、ここに…」と思う人が多いんじゃないかな?
どの登場人物もエピソードも本当に鋭くグサっとえぐられるんだけど、、、敢えて印象深いエピソードをピックアップするならば、個人的には、マット・ディロンとライアン・フィリップが演じた警察官の対比が1番印象的だったかな。
そういえば、、、少し前の『ER』で、ガラントとプラット(←共に黒人青年の医師)が、強盗に間違えられて、警察から無理やりな職務質問を受け、道路に捻じ伏せられたシーンがありました。 2人がちょうど車に乗ろうとしていた時、「(黒人なのに)なんでこんな良い車に乗れるんだ」みたいに言われて、2人が「カウンティのドクターだ」と答えても信じてもらえず、強引な職質でした。 結局、犯人じゃないことが分かって、その場は落ち着いた。 そしたら、直後にその警察官がカウンティに患者として運ばれてきました。 2人は、「あの時の嫌な警官だ」と気づいて、プラットは治療を拒否した。
↑ちょっとうろ覚えだけど、こんなような流れの展開がありました。 劇中でもまさにこれと似たようなエピソードがある…。 映画を見終わった後に、この『ER』のエピソードを思い出しました。
ちょうど『ER』の9シーズンには、ドン・チードルも数回出演してたんだよね。 脳に障害をもつ医学生の役で、エリザベスとのシーンはジーンとくるところが多かった。
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2月3月の読書まとめ。
・『私は美人』(酒井順子 著)★★☆☆☆
・『昭和〜戦争と天皇と三島由紀夫』(保阪正康 著)★★★☆☆
・『なめないでねわたしのこと』(内舘牧子 著)★★☆☆☆
・『ときどきフェノメノン』(森博嗣 著)★★★☆☆
・『国家の品格』(藤原正彦 著)★★★★★
・『語られなかった皇族たちの真実』(竹田恒泰 著)★★★☆☆
・『甘茶日記』(中野翠 著)★★★☆☆
・『ウーマンズ・アイランド』(林真理子 著)★★★☆☆
・『いまどきの“常識”』(香山リカ 著)★★★☆☆
・『魔女の笑窪』(大沢在昌 著)★★★★☆
・『ガール』(奥田英朗 著)★★★★☆
・『人は見た目が9割』(竹内一郎 著)★★☆☆☆
・『超バカの壁』(養老猛司 著)★★★★☆
・『下流社会』(三浦展 著)★★★★☆
♪BGM〜『A Chorus Line』サントラ
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■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『歓びを歌にのせて』
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