2003年05月13日(火) |
『小さな中国のお針子』 |
1971年、文化大革命最中の中国。 医者の両親を持つ、ルオ(チュン・コン)と、マー(リィウ・イエ)は、反革命分子の子供として、山奥の農村で労働の“再教育”を受けることになる。 町の生活とは掛け離れた村の暮らしの中で、2人は、仕立て屋の孫娘と出会い恋に落ちる。 お針子(ジョウ・シュン)は、2人が読み聞かせてくれるバルザックの小説に夢中になり、変わり始めていく。。。
以前、『山の郵便配達』を見た時にも、中国の山間の景色に圧倒されたけど、今回も、また息を飲むほどの景色に、ただただ見とれてしまった。
文革を土台にしてるわりに、政治的な流れも強く無く、また、男2人+女1人という設定から、三角関係絡みが中心かと思っていたら(単純…(苦笑))、決して恋愛部分だけを強調してる映画というわけではなかった。
しっかし、このお針子は、意外にしたたかな娘だったなぁ。 映画を見ながら、ふと、「もし、自分が、このお針子だったら…絶対、こんなに早く、すんなり片方の人を選ぶなんて出来ないっ」と思ったもん。
それなのに、お針子の心の動きの描き方がチョット弱いんだな…。 ルオを好きになっていく様子なんて、全然分からないのに、突然くっついてて「あれ?」って感じ。 その後、バルザックに魅せられていく感情も非常に弱い。
私は、お針子や村の娘たちが着ている洋服が、斬新なデザインに新調されていった様子と、お針子の気持ちの変化を、かけてるのかなぁと思ったんだけど…。 けど、ラストを、あのような、もってき方にするのなら、もっと、お針子の気持ちを強く出さないと…ルオとマー、2人の切なさが、な〜んか活きてこなくて、個人的には、ちと物足りない終わり方になってしまって残念。
ただ、1人の女性(お針子)から見て、2人の男性は、カナリ対極にある存在だった事は、もの凄く印象的でした。
ルオは、 (↓以下、ネタバレスクロール) お針子が妊娠したことも、中絶してしまったことも、また、それをマーが全て知っていることも、何も 知らないんだよね?
お針子が、2人のどちらを深く想ってたかは分からないけれど、少なくとも、ルオよりも、マーの方が彼女を強く愛していたんじゃないかなぁ…と、私は思いました。
劇中の風景は素晴らしいし、モーツァルトのヴァイオリンも良いし、主人公の3人は、それぞれに魅力的だったけど、う〜ん、、、これは、映画ではなく原作を読むべきだったなぁ。
♪BGM♪〜『レ・ヴォヤージュ』by:クレモンティーヌ ≪≪ 昨日の映画は『過去のない男』
|