日記×エッセイ...みち

 

 

フリーゲーム「送電塔のミメイ」を2周目遊びました。その1。 - 2007年03月03日(土)

さあて、ストーリーの全貌が見えたところで取りこぼし回収&1周目の自分との比較のために2周目!

…と意気込んだのですが、恐れていた通り、たいそうおもしろかったです。恐れるというのは、「…これは一読目で気付いてもいいのではないだろうか」と思う事象も多かったからです。とほほ。
ちなみに、気付けば2周目も睨むようにして読んでいました…。(特に戦闘時)

2周目感想はネタバレを気にせずに自由に書かせていただきたい、ということで、この先は最後までプレイ済みの方のみ推奨です。
読まれる方は、反転させてくださいませ。

(ここから↓)


なるべく時間軸に沿って書いてみます。

<プロローグ>

まず冒頭部分。
1周目では、何か含みがありそうだけど…わからないね…、とぼんやりと読んでいた部分です。1周終わってもう1度読んだら、ぎゃー!という感じです。作者さん、最初から出してきた…。というか、誰の目線で書かれている地の文かというのがごっちゃになっていたかも…、と1周目の自分を振り返りました。
そして、空き巣にぶつぶつ言っている夜刀にも笑った。(←修正。空き巣発言は一話ですね。)


<一話 ぬえ>

1周目では、夜刀に対しては「意外と親切な人」という印象でしたが、2周目になると「やさしく、面倒見がいい人」と、自分の受けた印象が少し変化しているのに気付いておもしろかったです。人に対する印象って、そういうもんなのかもしれないねえ。

「どうして知っているんだ。俺はあんたを知らないのに…」という総のセリフも、ふふふそれはね…と読めました。

「自分を閉じ込めた人間を恨み続けている」と鬼について語る総と、それを聞いている夜刀の様子を窺うのも楽しかったです。

この人から見えたものが正しいものではなくても、そういう答えになることがおかしくないな、と思うことも結構多くてそれが興味深かったです。例えば、杏子から見る総とか、シンさんからみるアトリさんとか。

総と杏子が祓歌をうたう時も、「あー!ミメイに影響してる!」って2周目で気付きました。
…全然、何も、気付いていなかった。こんなにはっきり書いてあるのに!

総が杏子のことは「どうでもいい」ことではないんだねえ、と思ってうれしくなりました。

1周目の初めの頃ずうっと、コゴリ鬼ってなんだあ〜?、と思っていたことも思い出しました。人の形をしていたり、ぬえの形をしていたりだし、見分け方って何かなあって。夜刀がコゴリ鬼って信じるのはミメイだからなのか一般的にそういうものなのか…とひどく高めの保留感のまま読んでいたなあと、2周目プレイにて思い出したりしました。


<二話 節の穴>

わたしはミメイ同様、頓着なく自分の髪を切る方だから、ぐるぐると夜刀が考えていることを読むのはおもしろかったです。夜刀、いいやつだなあ。
でも2周目では後に出てくるミメイの長い髪の姿を見ているので、ミメイにもっと頓着があって欲しいと思いました。(勝手)

「生涯違えぬと決めた約束の証」
金打。ああ、いいですねえ…。偶然とはいえ、好きですよ。

「傘。なぜ傘なのだろう。」
そうですねー。傘もなるほどでしたねー。なるほどというか、とても好き…。

なぜ夜刀は皆を「知っている」のか。これも後に繋がった時、おもしろかったです。

1周目で、アトリさんのことは、皆がアトリさんがそうあり続けて欲しいという願望で見ていたのかもなあ、とも思いました。そうしたら、2周目でそれに関する言葉も見つけて、驚きました。
総のセリフ。「アトリさんに近いところに居すぎて、(中略)余念というか、期待というか、そういうものがありすぎるんだよね」
強い思いだから長く続くものかといえばそうではないだろう。思いの深さと執着とはまた別のものに思う。執着してしまう理由があるのだと思う。

「相手がコゴリ鬼だとしても、恋人に会えたらうれしいものだろうか。」
この問いを1周目で読んだ時、わたしは、多分うれしい、と思いました。でも「象った人の性質をそのまま写す」コゴリ鬼であるからこそ、その分、一緒にいたら寂しくなるような気がするなあと思いました。
そして、2周目で同じ問いを目の前にすると、同じ問いにもかかわらず、たとえ仮の答えだとしても、初回のようにすぐには答えられませんでした。でも、多分うれしい、と思いました。困ったなあと思いました。

「ああなったら良いだとか、こうだったら嬉しいだとか…、そういう思いが目を曇らせる」
あああ…、夜刀、自分に向かっても言っているのね。

「どんなことにも深く自分が表れないよう、完全に客観を貫かなければ、正しいものは見えないだろう」
うむ。そして、正しいものに対して自分が納得できるか、どうしたら納得できる状態になるかを考える、ということに続く。

「俺にもできないのだから、ミメイにはもっと無理だ。」
その代わり、ミメイには納得できる状態になるにはどうすればいいか、と進めるに抵抗がない質がある、と思いました。つきはなさないで物事を見られるって素晴らしいことに思います。

総が夜刀に「ミメイさんが大変なのはわかったけど…」というセリフ、うまいなあと思いました。総、いろんな意味を含めて言っていますね。わたしもここのシーンで言ってました。こーの朴念仁がー!

「それでも…あれは、家に明かりを灯すための塔なのだ。そう思うと、黒くわき上がった衝動が、急にふっとおさまるのだった。」
おさまるんだね…。大切にしているんだなあ…。心がさやさやとしました。

「あるいは自分を見ているのは鬼ではなく、自分自身なのかもしれないと思った」
夜刀の地の文ですが、2周目にこの文を読んだら、わたしの中ではそれだけの意味に収まりませんでした。

鶴を折るシーン。
「全く楽しくない。そもそも叶えたい願いがない。」
じゃあ、1日1羽、楽しく折れたのだなあ…。素振り千本より苦行のものを(笑)
「元旦から折りはじめたなら、(略)」
1000羽折ったのかなあ…。

「いろいろな風景の夢だ。不思議なもので、そんな土地には行ったことも見たこともないのに、(略)」
うあああ…。それは…。
「きっと心根の清いものの目を通すと、景色はああいう風に見えるのだろう」
2周目、不覚にも感動してしまいました…。そして不覚だったため、3周目をしたら逆に笑ってしまいたい…ともこれをまとめながら思ったりして。ぷぷっ、心根が清いだって、って夜刀にツッコミたいなあ…。(自覚ないけどね)
「夢は願望の表れ」
…。2周目、これまた黙ってしまいました。

「自分のように、優れていることと劣っていることでしか、物や人の良し悪しが判断できないものにとって、己の不出来を認めるのは恐ろしいことだ。」
でも、自覚が出来ていることはすごいことだと思います。わたしはその自覚がなしに発せられる言葉の方が周りを傷つかせることを知っています。
そして、自覚が出来ているならばわたしはそれでいいんじゃない?と言ってしまうなあと思いました。劣っているからこそ難なく見えやすいものがある、という価値が見えれば、己の不出来を認める恐ろしさというものは、ただ単に自分を脅かすというものではなく、なんというか、頼りになる先輩みたいな存在になるんじゃないだろうか。

「アトリさんは、ミメイの冷たく見える外面を見ずに、」
この文が!
うわー、うまいなあ!
この文でわたしは簡単に、目が見えないゆえの世界を思い浮かべなくさせられました。うおー、ここで気付けやー(苦笑)
そして、自分でそれを違和感として気付く前に、すうっとその仕掛けをなだらかにならしてわからなくするかのように、「想像や気配で見ている」と思わせるようにその後の部分では表現されていて…。うおー。
ちなみに、アトリさんちにその後にコゴリ鬼を討ちに行く時の夜刀とミメイの会話で、1周目やっと気付いた人…。気付いたといってもちゃんとわかっていなくて、その後の帽子に笑ったことに対しては何も思わず…。ちょっと…。
しかしまあ、帽子の件もこれまた「伏線の道具」として無駄がなく、かつ自然エピソード…。

「そればかりではなく、ひとが抱えた忘れられない想いからもコゴリ鬼は姿を得る。その鬼に喰われるならば、宿主は本望なのだろうか。」
その後の展開を思うと、これも胸が切なくなる疑問です。
1周目ではこの言葉で、コゴリ鬼が愛情の証みたいに思われやすいもののような気もして、それはなんだか嫌だなあと思いました。2周目でもう1度この場面に来たら、こう思ったものはその後のハナちゃんの話に続いていることに気付いて、お見事、と思いました。

杏子がミメイを想う気持ちが出ている夜刀との会話を読んだら、泣けてしまいました。これも2周目ゆえですね。


<閑話 ささぶね這子>

ハナちゃんの、素直で夜刀やミメイの人となりをちゃんとわかっているところがわたしは好きです。
そして邪気のない言葉も(笑) ハナちゃんもっと言えー、という感じでした。
そして、「昔の話だ」と答える夜刀。うおー。それ、昔でもないー。はつこいのひとー。うわー。(この辺りは興奮しすぎでした)

ハナちゃん、大好きです。


<閑話 混じり水>

そうなんだよねえ…。子どもって親のことを見ているんだよねえ…。心配している時でも、そうでない時でも、親を見ている…。

「いろいろなものをたくさん見てみたい、と答えた」夜刀の、その時に持っている決心に思いを馳せました。知っていても助けられなくて、助けたい気持ちだったのに逆に守られて…、そうして暗い場所に閉じこもった後の決心。

「ナギさんの中の思い出だけでなく、あらゆる人と物に残っている記憶から知識を得て、コゴリはナギさんの念じた人の姿を写す」
とすると「ミメイ」はミメイと夜刀から生まれたのだな…と2周目で読んで思ったら、ちゃあんとそれもコゴリは結界の奥から情報を得たことが後に書いてあって…。
かー。気付かん自分よ!
というか、読んでいても頭がこの時に整理されてないままということがよくわかる!(笑)

「少しでも不安や迷いを抱えて念じれば、コゴリは化け物の姿を現す」
ほおー。あの人たちは、そうか、不安や迷いがあったねえ。

「けれど、純粋にただ会いたいと願えば、(略)」
おおー。そうか、純粋な想いの人たち…。

ナギさんの持つ相反する思い。泣きました。
そして、その後にほっとさせるのが上手なのよね。だからわたしの涙は乾きます。…話が進むほどにだんだんとそのローテーションが短くなるので、翻弄されてしまうわたしはなかなかしんどいですが、でもとても楽しいです。

「ミメイちゃんは、強くなっていざというときにわたしを助けてくれると言うけれど。本当は今でもじゅうぶん、私はミメイちゃんに助けられているのだ。」
ひとが救われると思うことって、いろんなことで起こるものだよねえ…。

まんじう。
ハナちゃんがかわいくて仕方ないわたしは、ハナちゃんが食べられることを切に願いました。夜刀が最後の1個に手を伸ばした時、「だめー!」とこんなほのぼのしたシーンでなぜか前のめり(笑)
夜刀がミメイの後についていった時は、ああ食える…とほっとしました。でもまだ油断は出来ませんでした。ナギさんが4つ全部食べてしまうかもしれない…(笑)と思っていたら、ハナちゃんが起きてきて食べたので、とてもうれしかったです。
まんじうの件では、ミメイが聞いていて感極まってしまうような過去の話をしながら、ぱくぱくとまんじうを立て続けに3つも食べていることでナギさんが過去のことはふっきれているんだなあと嬉しく思う反面、まんじうをミメイに食べさせないための攻撃だったのだろうか…なんてことも思ったりしました。(4つお土産に持ってきたなら、ひとり1個と思うのではないの…?とぼうっと思ったりw)


感想、長いですねー。
すみません、それでもまだまだ続くので2つに分けます(笑)
気力体力のある、ネタバレ感想OKの方は次回もどうぞ。


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