リリィ
 美しくも繊細な感覚を持ち合わせた佳人が素手で僕の心臓に手を伸ばし、血管の浮き出る心臓を身体から抜き出して空気に曝そうとする…そういう錯覚に陥った。ただ歌を聴いただけなのに。歌詞を耳にしただけなのに。

 リリィの声を聴くと出来るだけ周りへの反応を鈍くしようとする僕の意思を無視して過敏にさせられそうになる。
 だから怖い、だから好き。

 薬を飲んでいても彼女の歌声を聴くと心臓が痛くなる。医者曰くの発作とはまた違った発作。
 痛くなるからわざわざ聴くのではない。極力聴かないようにしている。けど、時折どうしても聴きたくなってしまうのだ。
 僕が自分で購入する数少ないCDの一つがリリィのもの。
 他のCDもMDも何もかも僕は自分で金を出していない。くれるから貰うだけ。

 言葉を捉えようと聴けば聴くほど心臓が苦しくなる。だから、僕は深くリリィの歌を聴いたことがない。
 歌詞だけ見ても確かに心臓は痛くなる。しかし、声を聴いた時程ではない。

 僕のリリィ・シュシュのイメージはリリィホリックによって余計歪んで行く。
 何かを忘れているような気がしてならないのは何故だろう。
2000年12月17日(日)
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