知らんけど

2003年04月02日(水) 発達的見方

今日は、これまでの実習の一つの成果を見せる機会として、自閉症の男の子との訓練を任されました。訓練とは言っても、まだ実習生ですのでまずは初めて会う男の子との信頼関係を築くところから入ります。今日は、そした信頼関係を築く遊び、そしてその遊びの中でそのこどもの発達レベルを読み取ることができました。

ことばの訓練をする言語聴覚士がなぜに「遊び」か?といいますと、大人の人に訓練するみたいに椅子に座って机に向かってきっちりとした訓練をするほどの忍耐力が子供にはないということが一つの理由です。ましてや、私たちが診る子供は障害を持って生まれてきており、健常児よりも発達が遅れていますから、そんな簡単に訓練はできません。そこで、遊びを通して信頼関係を築いたり、遊びの中でその子供の発達の段階をみたりします。

遊びと一口に言っても、私達が生まれてから物心つくまでの間に、様々な遊びがあります。たとえば、赤ん坊はブラブラと揺れるものに興味を示し、それを掴もうとします。少し大きくなると、お父さんに高い高いをしてもらってとても喜んだりします。もう少し大きくなると、おもちゃで色々想像遊びをしたりします。このように遊びにも様々な段階があるのです。

発達の遅れている子供の場合、どこの発達のレベルに居るかを診る指針として、こうした遊びのレベルを見ることになります。実際の年齢は5歳でも、発達のレベルは2歳だったりするわけです。5歳というと、もうすぐ小学校ですから、何かと文字の練習とかに目が行きがちですが、子供によっては高い高いを喜ぶレベルにしか達していない場合があるのです。その場合、文字の訓練よりも、まずは体を使った遊びを行わないと文字どころではありません。

ことばの訓練をと一口に言っても、実は、人間のことばの発達というのは赤ん坊のときからの運動や感覚の発達、モノを見分けていく認知の発達などを経てこないといけないのです。ですから、言語聴覚士はことばを訓練するためにこどものすべてを診ていく事になります。

人間の発達と同じように、問題の解決や改善に取組む際も、目先の事を表面的に解決しようとするのではなく、しっかりと全体像や全体の流れを押さえた上で問題を捉えるということが必要になってくるでしょう。その場しのぎの解決は、根本の解決には結びつかない事が多いようです。


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