知らんけど

2003年02月06日(木) 発達

『発達の扉』というこどもの発達の本を読みました。学校でも発達の勉強はしていますが、また違った視点を与えられた感じで非常におもしろい本でした。何よりも、実際のこどもの写真がふんだんに掲載されており、書いてある発達の段階の一つ一つがイメージしやすいのが特徴です。また、著者の先生の文章表現がとてもロマンチックで、本当にこどもの事が好きなのだな、こどもって素敵だなと感じさせるような本です。

エリクソンやピアジェなどの、発達心理学の理論に関してはまったく触れられておらず、一般的な教養としてこどもの発達を知るにはとても分かりやすい本です。しかしながら、この本の中で一貫して述べられているポイントは、エリクソンやピアジェが述べてきた学問としての理論とは違う視点で述べられています。

この本の中で述べられている一番大事なポイント(私が大事だと思ったポイント)は、「こどもの憧れ」ということです。赤ちゃんが寝返りをするのは、普通6ヶ月前後ですが、それはほおっておいたら自然に寝返りを打つということではないのです。赤ちゃんの心の中にもっと周りを見たいという「憧れ」が心の中に芽生えることで、寝返りという高度な運動機能の発達が促進されるというのです。

発達の段階が色々な教科書に掲載されています。何ヶ月には何々ができる。何歳には何々ができる。育児雑誌などにも載っています。お母さんたちはこういう本を読んで、「うちの子は大丈夫。」「うちの子は遅れてるのかな?」とか考えるのでしょう。しかし、大事なのはそういった発達の段階そのものではなくて、そこに至らせるこどもの内面の問題なのです。

内面の発達なしに、機能の発達はありえないのです。反対に、機能が発達しなければ、次の内面の発達も起こってこない。こどもの発達とは外界とこどもとの微妙なバランスの上に成り立っていると本は語っています。大人は、そうした微妙なバランスをうまくバックアップしていけるような環境整備だったり、心理的なサポートだったりを意識的に行っていく必要があるのです。

何だか、本の受け売りになってしまいました。私がこの本を読んで驚いたのは、こどもというのも、大人とは質が違うのかもしれませんが、「〜したい」という動機付けがあるからこそ発達していけるのだということなのです。大人がこどもとちょっと違うのは、発達(または成長)していくためのステップを自身でコントロールしていくことができるという点です。私達には生まれながらにして、動機付けを探していこうとする能力があります。生まれながらにして備わっているのです。

こどもに負けていられませんよ。私達も日々発達です。


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