話す事は放す事

相談をもちかけられるたびに、私はこの言葉を思いだし聞き役に徹する努力をします。

『話すことは放すこと。』

相談を持ち掛ける人の大半が、実は既に心の中にある程度の決断を持って相談してきます。なんらかの結論が彼らの中には出ている場合が多いと思います。しかし、それが正しいのか?また、第三者はどのような反応を示すのか?を無意識のうちに求める事が相談という形になって現れることが多いような気がします。相談を受ける側としては、そのような無意識の部分を冷静に頭の片隅に置き、相談者自身が自分で責任をとれる形でその内に秘めた決断を実行することができるようにしてあげなければいけません。

まずは、相談者自身の決断をうまく引き出して言語化する。そして、それを意識下で確認させる必要があります。相談者の決断(思い)を、言語化し意識下にさらすというのは、非常に難しいことです。相手が発する言葉をしっかりと受け取り、状況や相談者の性格などを考慮し、いくつかの言葉から相談者の本当の心を掴んで、明確に言語化していくことが大事なのです。例えば、「俺、最近辛いねん。」の一言から、「そう言えば、前から仕事のことで悩んでたようやね。」という言語化をします。こうすることで、相談者は次に「そうやねん。上司がな〜。」と話しがスムーズに出てくるのです。

言語化というのは、いくつかの言葉や状況や性格から相談者が何を言わんとしているかを前もって察知して言葉足らずな部分を補うという作業になります。こうすることで、相談者はまず相談相手が同じ話題の中に居る事を確認し、そして、聞いてくれていることを確認し、自身も相手の言葉を聞いて再度自分の言葉を確認することとなります。こうすることで、自身の思いを意識しながら、そして、スムーズに話すことが可能になります。

こうして話しているうちに相談者は自身の考えを自分で聞くことになります。そして、より正確な情報を相談相手に伝えようとします。こうして話しをすることでどんどんと自身の意識を再度確認していくことになるのです。自身の言葉に勇気付けられ、そして、自身の言葉で自身の決断を促進していくわけですから、誰かが言ったからこれをする。という他人よがりの決断をしなくて済むのです。

これが、いわゆる『放す』事なのです。自分の気持ちを話す事で、自分のぼんやりとした気持ちを客観的な場所へ放し、それを相談相手の言語化により再確認するという事になるのです。逆に私達自身も、何かに迷ったりした際には、誰かに話すことが肝心です。今、こうして書いている私でさえ、自分自身のこととなると整理不能に陥ります。何か悩みがあるときは、まずはその気持ちを『放し』てみる事が大事です。

過去の今日
2002年10月10日(木)

日記 / issy