海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2003年04月30日(水) 資本回転率

むつかしい言葉で恐縮です。
1年間で元手が何回回転したかをあらわします。

日本酒を造るのにかかる元手は、おおきく分けて4つ
1)原料米代金
2)製造にかかわる蔵人さんの賃金
3)販売にかかわる社員さんの賃金
4)その他、燃料代、水道代、宣伝広告費、商品の発送配達費などなど

この稼業、いちばんかかるのは米代、次に人件費です。

酒造がはじまる直前、10月にに銀行からごっそり融資をうけ、米を仕入れ、蔵人さんの給料を払い、お酒が全部できるのは3月末。これを販売して次の10月までに借金を返し、あるていどお金が残っていれば黒字、残らなければ赤字です。

基本的にこの商売は、資本回転率が年1回という、ほかの業種から見ると特異な業種なのでありあます。

他の製造業ならば、原料を仕入れて、商品をつくり、納品し、サイト3ヶ月の手形をもらう繰り返しで資本の回転率は3回から4回くらいあるのでしょうが。

で、何がいいたいかといえば、「お金がない!!」。

蔵人さんは5ヶ月分のお給料をもらって能登にお帰りになり、原料米代金も農協さんに前金でおはらいしていますので、年末年始の売上と、花見とお祭りの売上があっても、この時期の吉田酒造の銀行口座は残高が非常にきびしいのです(弊社とリンクしている、開春の若林社長も日記でこぼしておられます)。

倒産や、廃業の話はあちらこちらで耳にしますが、他業種からこの業界への参入がないのも、このあたりが原因なのでしょう。事業としては、全く魅力のない業種なのだとわれながら思います。

「おいしいお酒をつくろう」という意気込みだけではやってけない。
そんな現実を実感する月末です。







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