決まって夕方になると疲れが溜まってきて眠くなる。
夫は5時頃帰ってきた。
「早いね。」
「あっ、やべっ、忘れた。」
明日の材料を取りに行くのを忘れたらしい。 帰りに寄ることになっていたらしい。
「30分くらいで戻るから。」
もう眠さの限界だったので、
「帰ったら寝てるかも。」
と告げ、息子の部屋のベットで深い眠りについた。
夫が帰ってきて
「おっ、寝てる。」
と一言、そのままキッチンで焼酎を注ぎ、リビングでくつろぎ、和室で寝転がって「僕の生きる道」のDVDを見ていた。
まあ、寝ながら耳に入ってくる音からわかるんだけどね。
一部屋隔てた部屋から聞こえる「僕の生きる道」のBGMを聴きながらまた眠りについた。
電話が鳴って、夫が出る。
「え?弁当忘れた?どこに?お前の部屋?・・・ああー、あった。持ってかないよ。お前が忘れたんだからな。忘れたのがいけないんだからな。」
娘は4時半には家を出ている。 帰りは10時を回る。 いくらなんでも腹が空くだろ。
多分、楽しい夢を見ていて、なごりおしいと思いつつ起きると、息子が横に寝ていた。
「あれ?一緒に寝てたの?」
「えっ、ママ、知ってたでしょ。ヨシヨシしてたじゃない。」
「えっ?そお?」
そういや、寝る時淋しくて、
「寝るまでちょっと隣にいてヨシヨシしててよ。」
と息子に言ったのだ。 息子は私をヨシヨシしながら自分も眠ってしまったらしい。
リビングに起きてきて、
「電話、何だって?」
「弁当忘れたって、どうせ食う時間なんて10分やそこらしかないんだから、今から届けたって間に合わないだろ。だから行かないよって言ったよ。それに俺、酒飲んじゃったし。飲まなきゃバイクで行くけど。」
時計を見ると、6時半だった。
仕方ない、支度するか。
せっかく、焼きそば・サンドウィッチ・かぼちゃのサラダ・ウィンナーを詰めたのに。
「7時から15分の休み時間だから自転車で行ってくるよ。」
「甘いな。」
子どもを甘やかし過ぎる、という意味だろう。でも怒って言うわけではなく、あきれるわけでもなく、苦笑いしながらだったから、まあ今回に限ってはそれほど悪いことではないらしい。
「パパが酒飲んでなければバイクで行ってもらうんだけどねえ。」
「もっと早くわかってれば飲まないで行ったけどさあ。」
「ま、自転車なら片道20分、間に合うでしょ。」
寝起きで自転車で20分、
急いで行ったので、10分前には着いた。
帰りにちょうど通る美味しい寿司屋で「中トロ3人前」を買い、850円×3+消費税=2677円。 にぎってもらっている間、メールする。
「○○寿司で中トロ買って帰る。」
「今、DVDでおスシとる場面で、食べたいなーと思ってたから、うれしい!」
と、返事が来た。
僕の生きる道を観ていたらしい。
そういえば、理事長の家に中村先生が挨拶に行くシーンで、みどり先生と3人、寿司を食べるんだけど、その寿司が小さい器に入ったこじんまりとしたやつで、個々に目の前に置かれている。 それを見て夫が 「こりゃまた随分とっ。もっとどーんとでかいやつ頼めよ。」 と大杉漣さんに叫んでいた。
夫は同じシーンをもう3回も見ているのである。
本当は鴨鍋をする予定で、野菜も買ってきて、肉も解凍してあったんだけど、 息子も寝て起きないようだし、明日にすることにした。 すぐ作れるように出していた材料はひとまずまた冷蔵庫にしまわれた。
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