思い、願い。。
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中学受験日記。 (上の子(娘)の受験は2004年2月まで)

中学受験日記から4年数ヶ月、その間、3人目出産、起業し・・・

2003年07月10日(木) 長崎の五島列島(3日目)

朝、7時20分、おじいちゃんと自転車で町まで行く。

おじいちゃんはのんびりのんびり自転車をこぎ、ゆるかやな坂になると加速する。
そういう場所は一箇所しかなく、40分、ゆったりゆったり自転車で町に向かう。

おじいちゃんの背を見ながら、その40分、ずっと後をついていく。

通学の子たちが、自転車で次々と追い越していく。

8時、町の電気屋さんに入る。
ふつー、こういう店っちゅーのは、大体10時くらいにオープンなのだろうが、
店は8時前くらいにもうシャッターを開けて開店の準備なのである。

入った瞬間。

「親戚の家たい。」

その親戚が経営するという電気屋さんで、来る途中に使い切ってしまったビデオテープを買う。

8時半に漁業が開くからと、自転車を前に止めて待っていた。

一台、車が横付けされ、シャッターが開き、釣ったと思われる魚が運び込まれる。
おじいちゃんはその後をついてシャッターをくぐり、私はおじいちゃんが入るところをビデオに撮っており、おじいちゃんが中に入って自分も中に入ろうとしたら、目の前でシャッターが下りていった。
私はその一部始終をビデオに収めていた。

そう、おじいちゃんは営業時間で開いたわけでない店内に入っていってしまったのだ。
唖然。。

やっと開店の時間になって中に入る。

おじいちゃんは、私のこと孫だ、とみんなに紹介していた。

大きなブリみたいな魚とアジ、を買い、
店に預けていた「1万円」で買っていた。

家に戻ってきてしばらくすると、今度は展望台に行こうということになった。

10時半、おじいちゃんと母のご主人と私と三人で、五島列島の奈留島にある唯一の展望台へ行くことになった。
タクシーを呼び、おじいちゃんはまた
「1万円で足りるか。」
と聞き、
「足ります。足ります。」
と向かう。

展望台に向かって山を登っていくタクシー。
展望台のふもとに着くと、おじいちゃんは何度もタクシーに待っているように、と念をする。
「待ってます。待ってます。」
展望台に向かう。

一体何段あるんだよ、というくらい頂上が見えない階段を、おじいちゃんは息も切らさず、同じ店舗で登っていく。
おいおい、本当に84歳かよ、とつっこみながら、私は後からビデオを撮りながら登る。
私の息は限界にきていてハアハア、自分の耳にも響く。
後のショットばかりじゃあつまんないよなあ、と、息を止めて一気に駆け上がっていく。真っ先に頂上に着いておじいちゃんたちがあがってくるのを映す。
おじいちゃんは私を通り越して更に上に上がっていく。
えっ?まだ上があるの?
一番頂上に登ると、島全体が見渡せるほど本当に綺麗だった。
小さな島、タコのような形をしているので、足の先端に戻ってはまた胴体に戻り、というつながり方をしている。
タクシーで島一周すると1時間くらいだそうだ。
以前、タクシーの運転手さんが選挙のポスター貼りの人を乗せて一周したらそれくらいだったと言っていた。
まあ、車では行けない場所というのもあるので、それを省いてということらしい。

展望台から帰ってくると、素早く昼食を済ませ、一人、昨日、行ったのにビデオの電池が切れてしまって移せなかった母校へ行った。

昨日、行った母校は、もう既に廃墟と化していた。
ポストには平成11年度〜12年度までの電気代の請求の紙が入っていた。
私はここに小3の1学期間通ったのだ。
嫌な思い出いっぱいのこの場所。
いじめられたけど絶対負けなかったこの場所。
でも私の大切な思い出である。

学校は荒れ果てていた。
昨日も歩いた場所をまた歩きながらビデオに収める。
開かない窓、どの窓も固く閉ざされているというのに、窓の向こうにはまだ子どもたちが通っていた頃のままの風景が残っている。生徒たちが書いたであろう絵が貼られたまま、そこだけ時間が止まっているのだ。

校庭の草は私の腰の上まで隠すほどに草が茂ってしまっているところもあった。

学校の夏の研究で足を運んだ蚕を飼育している家々。その家々も廃墟となっているようだった。家までの道が草で覆われていて、とてもそれ以上足を踏み込めないようになっているのだ。

学校からなら山の道も行けるかもしれない。

私はうる覚えの道を自転車を引きながら歩いた。川の流れに沿って歩いて来たのだ。

やっぱりこっちも途中で道が無くなってしまっていた。

母からの声が聞こえた。

「早く帰ってきなさい。危ないところに行っちゃだめ。」

母は私が出る時、何度も何度も言い続けた。

弟が亡くなって、私まで亡くなったら、母は踏んだり蹴ったりだよなあ。
今はまだ生きていなきゃなあ。

どこまで行けるか、茂みの中に入りたかった。
でも言い聞かせたんだ。
いつか、いつかまた来よう。
今度は準備万端で、道を探そう。


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