2003年05月23日(金) |
遠足・・・壊れてしまいそうです。 |
子どもたちは遠足だった。 1年生から6年生まで、縦割りでグループとなり、学校から徒歩40分くらいの公園まで行く。
先に娘が帰ってきて疲れたと言って寝てしまった。
次に息子が帰ってきて、すぐ友達から電話がかかってきて、その友達と遊ぶんだ、と外に行ってしまった。
今日はピアノがあった。
ピアノに行く日は、通常、学校から直接実家に行く。ピアノは実家にあり、実家からすぐ近くのピアノ教室へ行き、実家で夕食を食べ、おじいちゃん(義父)に送ってもらって帰ってくる。
実家に電話する。 「疲れて寝ちゃったので、後で起こしてから一緒に行きます。」
普通なら、一人で自転車で行かせるのだが、寝ぼけて怪我されてもかなわんし、ついでにピアノのレッスン料を義母に預けようと思ってのこと。
出る15分前に声をかける。 既に1時間は寝ているし、そろそろ疲れもとれているころだろう。
なかなか起きない。 声をかける。 やっと起きる。 この間10分くらい。
自転車の鍵がないという。
仕方がないから歩いて行こう、と声をかけるが、 自転車じゃないと行きたくない、と言う。
今日に限ったことじゃない。 あまりの腹立たしさで日記にも書かなかったが、彼女は歯の矯正用の7万の器具を無くした。先月末のことだ。歯科から直接実家に行き、ピアノ、それからどこにも見当たらないのだ。 彼女は実家でバックにしまったという。でもそのバックには入っていない。
「またティッシュにくるんでその辺に置いちゃったんじゃないの?」 本当にあの時は、大変だったんだ。
何度言ったことだろう。 外す時は必ずケースに入れなさい、と。
何度言ってもティッシュにくるむ、ケースに入れない、その辺にほっぽるのだ。 それでも見つける度に、注意し、見つける度にしまっていた自分。
何度言っても、何度注意しても、何度教えても、直らない。
この子はそういう病気なんだろうか。 何度も何度も思う。今でも思う。 この子は普通の子と違うのかもしれない。 病気なら病気で仕方がない。 一生懸命やっているのに出来ないのなら、無理強いすることはストレスになるだろう。 本当に病気なのか? そうじゃないのか?
自転車の鍵を無くした。
私だってそんなのはしょっちゅうあったし、今でもごくたまーにある。 たまーにと言っても、大抵すぐ見つかるところに置いてあるし、 いつも置いてあるべきところになくてバックの中に入っているとか、 上着のポケットに入ったままとか、そんな程度だ。 私も無くしてしまう、という思いがあるから、 絶対無くさないよう自分なりの工夫をしているのだ。
鍵を無くした。
別にいいじゃん。今、無いなら仕方ないじゃん。歩いて行こうよ。
いくら言っても嫌だと言って聞かない。
なだめすかしてやっとの思いで家を出ると、今度は全く違う方向に走って行ってしまう。
わかっている。 追いかけて欲しいってこと。 追いかけてひきとめて欲しいんだ。
娘の思い通り、追いかけて引きとめる。 またなだめすかしてやっとの思いで実家の方に向かう。
また次の路地で違う方向にズンズンと歩いていく。 わかっている。 また追いかけて欲しいってこと。 またひきとめてほしいってこと。
なだめすかして歩かせる。 娘は嫌だ嫌だと言いながら、店の看板を蹴ったり、殴ったりする。 「そんなことしちゃいけない。腹が立つなら自分にしなさい。物には人のいろんな思いが入っているのよ。それを他人のあなたが壊す権利なんてない。」 娘は自分の手を噛む。 自分の耳をぐいーっとひっぱって見せる。 ギャーギャー言いながら、私は辛いのよ、という態度をしている。
他の親子が追い越していく。 何やっているのかしら、という顔をして私たちを覗く。 何事もないような顔をして、普通の会話を娘になげかける。
「今日は疲れたねー。1年生の荷物持ってあげたの?」 なんて。今そんなこと聞きたくもないのに。
何度言いたいことか。 勝手に行けよ。 車にでもひかれろよ。
何度思うことか。 私がもう死んでいいよ、と言えば、 腹を立ててそのまま車に飛び込むだろう。 大きな道路に大きなトラックが次から次へと走っている。 娘はひかれてぐしゃぐしゃになって救急車を呼んで死んでお通夜でお葬式で、私は一生この事実を抱えていくのだろう。 いや、娘が飛び込んで、私が飛び込んで、娘が助かって、私が死ぬか、かたわになって、それでようやく自分のしたことに気付いてくれるのだろうか。そうしてようやく、お母さんにもっと優しくすればよかったって思ってくれるのだろうか。そうして初めて後悔してくれるのだろうか。
私が一言言えば、解放される。 それでいいのか、本当にいいのか。
「危ないからいらっしゃい。こっちへいらっしゃい。」
私は自分の自転車を引きながら、娘の手を握りしめた。
手なんてつなぎたくないような手をして、そんな生気のない手を握りしめる悲しさ。 自転車のハンドルに娘の右手を乗せ、私の左手をその上に乗せる。 私の右手は自転車のハンドルの右側にあり、そのまま歩いていく。
徒歩10分ちょい、実家に着く。 入りたくない、と言う。
家の前でうずくまっている。
「とにかく中に入ろう。 お金、払わなきゃならないし。」
娘がドアを開けて私を入らせようとする。 私が入るが娘は入ってこない。 ドアの前でうずくまっている。
義母が出てくる。
疲れてても、自分の仕事はやらなきゃだめ。 ピアノの先生は待っている。 ピアノの先生に迷惑をかけてはいけない。 怒りたいなら、あとでいくらでも怒りなさい。
娘は動じない。
「おいで、ほら、ここは蚊がいっぱいいるよ。刺されちゃうよ。」 手をひっぱって背中を押して中に入らせる。
今度は玄関の隅に座り込んでしまう。
私「とにかく中に入ろう。練習しよう。」
娘「どうして遠足なのにピアノにしたの?」
私「遠足なのにピアノにしたんじゃなくて、ピアノの日が遠足だったんじゃないのかなあ。」
義母「疲れちゃったんでしょう。休ませる?」
私「下(息子)は帰ってくるなり外に遊びに行っちゃったんですけどね。」
義母「この子は違うのよ。1つのことしか出来ないんだから。」
学校から帰ってきて昼寝をする。 ずっとそうだったんだ。
昼寝しなきゃいられない。 ずっとそうだったけど。
私のせいなのかなあ。
私「とにかくピアノ弾いてみようよ。」
娘が弾く。2小節くらいで「やっぱできない。」と手を止める。 私「ママが右手弾くから、左手だけ弾いてよ。」
私の下手さ加減に、自分で弾く。 娘「もういい。ママ弾かなくていいよ。自分でやるから。」
義母「あら、上手じゃない。あと3回くらい弾けば大丈夫よ。身体が覚えているんだからすぐ弾けるわ。」
娘「お腹空いた。」
やっと機嫌が戻ったようだった。お菓子でも食べる?リンゴでも剥いてやろうか?と言われ頷いている娘。
もう5時だし、息子も帰ってくる。そのまま娘を義母にお願いして帰ってきた。
疲れた。私は何なんだろう。考えるだけで涙が流れてくる。私って一体何なんだろう。娘の機嫌をとって、疲れちゃった。娘は変わりたいと思っている。でも、変わらないんだ。部屋だって片づけない。結局片づけないから片づける。私って何なんだろう。
今朝だって、お出かけ用の服を着ていた。遠足だっちゅーのに、なんで出かける用の服を着る?わざとなのか、なんなのか頭が狂いそうになる。それはお出かけ用だから駄目よって、別の服に着替えさせる。
登校班で娘を送り出した後に、班長で先頭を歩いている娘が、班の子たちを置いて一人で戻ってくる。
娘「水筒入れた?」 私「入れてないの?」
テーブルの上に弁当と一緒に置いただろが!と思いつつ、ぐっとこらえ、 優しく言ってみせる。
班の子にはちゃんと先に行くように言ったの? 「5年生の子に、忘れものしたから(私の代わりに)前に行って先に行っててって言った。」 「そう、ちゃんと言えたのね。エライエライ。」 などと言ってみせる。
心の中は煮えたぎっているのに、だ。
テーブルに残された水筒をリュックに入れ、もう一度外に出る娘。 またしばらくして戻ってくる。
娘「時計がいる。」
「時計いらないの?って聞いたら『いる』って言わなかったじゃない。」
「『いる』って言ったもん!」
「あら、そう。聞こえなかったわ。今度からちゃんと前の日に準備しましょうね。」
やっと行く。もう最後、やっと出てった。 時計は8時20分を回っていた。
おいおい、遅刻じゃねえのか?
こんな生活、嫌で嫌でたまらない。 夫に言っても、娘の話は聞きたくない、と言うだけ。 だからそれ以上は何も言えない。
私がどんな時に悩んでいるのか、どんな時にどんな思いして、どんなことを考え、私が苦しいと言っているのに、最後まで話も聞いてもらえない。とりかえしのつかないことをしてしまうかもしれない。とりかえしのつかないことなんてしたくない。だから最後まで聞いてほしいのに、そしたら楽になれるのに、私はこうやって日記に書くしかない。誰かが読んでくれれば、それが救いです。誰かが私がこんなことを思って感じて、生きてるって知ってくれれば、それでまた頑張れそうに思うから。
本当は怒鳴りたくて、本当は叫びたくて、本当は物を壊したくて、本当は傷つけたくて、本当は子どもを殴りたくて、本当は子どもに最悪の言葉を投げたくて、でもそれをしたら今は終わりだと思うから、自分を気持ちを殺すしかない。あとどれほど頑張れば、楽になれるのでしょうか。
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