娘が塾のテストから帰ってきて昼食を取り、弟宅へ向かう。 先月19日、弟は交通事故で亡くなってしまった。
明後日の29日は弟の四十九日の法要である。 お通夜とお葬式は私と夫との二人で出席。 四十九日は私一人での出席である。
私はどうしても子どもたちに、私の弟が存在していたことを忘れないで欲しいと思っている。そして自分たちの「いとこ」がいることもこれから先ずっと忘れて欲しくないと思っている。だから、四十九日の前に、弟宅に連れて行きたかった。
奥さんは、私たち家族が行くことを歓迎してくれた。
弟の子(4歳の女の子)も、会うなりなついてくれ、いっぱいいっぱいスキンシップ。絵本を読んでくれたり、幼稚園のこと、お友達のこと、いろんなこと話してくれた。はっきりいってうちの小3の息子より読むのが上手い。私たちの方が遊んでもらっているという感じだ。テーブルの下に隠れて私の足をトントンと触ってくるので、覗くとニッコニッコ笑っていたりする。人見知りしがちなはにかみ屋さんが、心をオープンにして向かえてくれるのはとても嬉しいものだ。
弟の写真を見せてもらいたい、と頼み、彼らがまだ結婚前の初々しいアルバムを見せてもらった。10年前の弟は大学卒業してすぐの頃で、まだ少年のようだった。結婚して娘が生まれ、まだまだお父さんとしては成長過程だったのだろう。
いつの写真も幸せそうに見えた。娘の赤ちゃんの時のアルバムにある、父のコメント欄に弟が書き込んでいたものも見せてもらった。達筆な字で、父親らしいかっこいい言葉が綴られいた。これから先、何があっても味方だから、何かあったら相談しなよ、みたいなことが書かれていた。相談しなよって、あんたもういないのに、どうやって相談しろっちゅーねん!と、涙が出そうになったが、弟の字の上手さに助けられた。
めちゃくちゃ字が上手い。いや、昔の人なら当たり前なのだが、最近の人としては上手すぎる。上手すぎて驚いた。父も母も上手いから、上手い子どもが生まれて当然の結果なのだろうけど、私が字がめちゃくちゃ下手だからである。夫には、お前の字は読めない。暗号のようだ、と言われるくらいだ。字が上手いと感嘆する自分が、悲しみより勝って、涙が落ちる前に止まった。
夕方になって近くの公園に一緒に行き、まず滑り台をすべる弟の子。私の息子はブランコに乗ったり、自分の好きなように遊んでいる。結局、砂場に落ち着き、子どもたちは制作に励んでいる。夫もトトロなんぞを作っている。
弟の子は、自分の手を汚してまで、私の座る場所を確保してくれ、ほら、こうすれば座れるでしょ、と砂場の周りの砂を払ってくれる。
そろそろ帰ろうか、と言うと、うちの子たちはそのまま手を洗いに行ってしまったが、弟の子は「危ないからこうしないと。」と、深く掘った穴を埋めて平らにしてから手を洗いに行く。ホント、エライ子なのだ。
弟の家に戻り、そろそろ帰るね、と伝え、子どもたちに後片付けをさせ、車に向かう。弟の子は、座ったまま動こうとしない。さっきまでの明るい表情がなくなっている。弟のお嫁さんが、「最近、バイバイしなくて。」とすまなそうに言う。
さみしいんだろうな。と、思い、そのまま笑顔で「またね。」と、車に向かうと、追いかけるように階段を下りてきて、最後は笑顔でバイバイしてくれた。
約1時間ほどで自宅周辺に戻り、最近行ってないから行こうよ、と言っていた安楽亭で食事。クーポン8枚使って、6000円ほど。息子は期間限定のクレヨンしんちゃんセットを頼み、ご機嫌。
夫が、 「(弟の家族と)夕食一緒に食べようかどうか考えたんだけど、距離があるからなー、と。」
そうか、そんなことも考えていたんだ、と少し嬉しくなった。そうだよな、二人で食べるより、大勢でワイワイ食べた方が楽しいものね。今度は一緒に外食するのもいいかもなー、と思った。
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