2002年11月27日(水) |
勝手に糸が通るかいっ! |
あまりのバカさかげんに呆れてしまった。
まず昨日のことから。
例のごとく、娘はまた「国語の上巻」がないと騒いでいた。 娘の部屋から、ドッタンバッタンと大きな音が、これみよがしに聞こえてくる。 さも、私はこんなにも探しているのよ、大変なのよ、と言いたげだ。
夫は、ほっとけ、と言うが、 壁に穴でもあいたらどうする! 我慢できなくて娘の部屋に入る。 あてつけの攻撃が私への攻撃に変化する。 私がどこかへしまったのではないかというような態度で怒鳴り散らしてくる。
学校の教科書は机の上の本棚の一番右端のブロックに入れる、 きちんと指定位置に整理整頓しとけ! と言っているではないか。 自分がきちんと管理していないのがいけないんじゃないのか。
娘は、そんな話は、もう聞き飽きて素直に聞くはずもない。
「だから探しているんでしょ!」
チラッと、机横の本棚を見る。 彼女の探しているとやらの国語の教科書上巻が、きちんと入っているじゃあないか。
「これは何?」
「あ。」
「自分でしまったんじゃないの?教科書は1人で歩いて行かないよね。」
「(間)いや、歩いていくんだよ。」
「んなバカな話、あるわけないでしょ。」
以前も同じような事はあったよな。この日記にも書いたけどさ。 これくらいでびっくりしちゃあいけない、わけさね。
今日、学校から帰ってきた娘は、カバンをしょったまま上着も脱がずリビングに座り、編み物をしていた。 どうやら学校の帰り道も編みながら帰ってきたらしい。
昨日、実家に行くのに、実家でもやりたいからと入れていた編み物がそのまま入ったままになっていたのだろう。かぎ針編みだから、給食用のナプキン等が入る小さなきんちゃくに十分入るのだった。
いつまでも帰ってきたままの状態で編み物を続けている。
「いい加減、カバンもおろして上着を脱ぎなさい」
ひとまず、言われた通りにしたようだが、娘の様子がおかしい。 イライラして糸のはしきれがうんぬんとブツブツ言い、糸がこんがらがった状態で、ぐちゃぐちゃになっている。
「どうしたの?」
「なんでもない!」
毛糸は、まん中にある糸を取り出して編んでいるわけで、毛糸の外側の先端はそのまま毛糸に巻いていれば問題なく編める。 編んでいるのは毛糸のまん中から出ている糸なわけだから、そのまま編んでいれば、まん中からするすると永遠に糸は出てくるはずなのだ。
それなのに外側にくるっと巻いてたはずの糸の先端を持ちながら、必死にほどいているように見えた。いや、ほどいているというより、余計ぐちゃぐちゃにしているような、どんどんえらいことになっているようにすらみえる。
ん?!
よーく、見ていくと、娘のズボンのベルト通し部分を毛糸が通過している。
むむ?!
どういうこと?
「この糸をベルトに通しちゃったの?」
「違う!知らないうちにこうなってたの!」
「知らないうちって、糸が勝手に歩くわけないじゃん。」
「学校ではどうだったの?」
「カバンの中に入ってた。」
「どうしてこうなったかわかる?」
「わかんない。家に帰って編み物してたらいつの間にかこうなってた。」
いつのまにかって。。
いろいろ考えてしまった。 さゆりちゃん?ゆかりちゃん?みきちゃん?ゆうこちゃん?彼女の中には本当は別の人格があって、その人格がいたずらしたのかな〜。いや、彼女ならないとは言えない。いつもそんな事を考えたりするんだが。
冷静になれ、冷静になれ。
糸は勝手にベルト通しを通ったわけがない。 この世でそんなことが現実に起こるなんて面白いだろうが、あるはずないはず。 >ちょっと自信なさげ
ひょっとして私が知らないだけで、本当は寝ている間におもちゃたちがおもちゃのマーチを演奏して踊っているのかもしれない? いや、たぶん、ないだろう、いや、ぜったいに。
そう、絶対娘が入れたに違いないんだ。 でも、入れたんじゃないと言っている。
「とにかく編み続けなさい」 編み続けさせながら考える。
こんがらがった毛糸をよーく見ながら、多少ほどきながら考えていく。 違う、毛糸の外側の先端が入ったんじゃない。
編んでる作品そのものか、毛糸そのものが入ったとしか思えない。 娘が編み続け、ぐちゃぐちゃした毛糸がスカスカになっていくにつれ見えたきた。
でも毛糸の固まりが娘のズボンの小さなベルト通しに入るわけがない。 だからといって、編んでる作品そのものもベルト通しに勝手に入るわけもない。
「ねえ、まさか。」
娘を追求する。
「そうかもしれない。」
「そうかもしれないって?」
「学校の帰り、ここにあれば手に持たなくていいって思って。」
「そこ(ベルト通し)に、ひっかけてきたの?」
「そう。。」
んなアホな。
これで謎が解けた。
帰り道に編んでいた。編むのが疲れたので、ちょっとポケットに入れるつもりで、ベルト通しに編みかけの作品の方をひっかけた。家に帰ってきてそれを抜いた時にベルト穴を通してしまった。そのまま娘は編み続け、簡単には抜けないくらいまで作品が仕上がってしまった。
「よかったー。取れたー。」
なんとか作品をほどかずに取ってやると、嬉しそうにまた編み続けている。
そりゃ、そうさ。 毛糸と自分の身体がくっついたまま、ずっと編んでたんだからな。
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