思い、願い。。
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中学受験日記。 (上の子(娘)の受験は2004年2月まで)

中学受験日記から4年数ヶ月、その間、3人目出産、起業し・・・

2002年11月20日(水) 偶然たるもの

久しぶりに、電車で上大岡にある婦人科に行くと、
「院長が7月28日早朝に逝去のため、しばらく診察ができません」
という内容の張り紙がしてあった。
驚き&これからどうしよう、という思いがぐるぐるまわっていた。

仕方なく病院を諦め、近くのイトーヨーカドーをぶらぶらし、
息子の靴下を6足、昨日母からもらったギフト券+JCBギフトカードで購入する。

KEIKYU地下の食料品売場で、夫が好きな「コールスローサラダ」100g120円を300g、焼き鳥もも10本で580円、食パン1斤を、KEIKYUのポイントカードでゲットしたお買物券で買う。

まだ息子が帰ってくるまでは少し時間がある。
5Fの子供服売場でも覗いてみるかな、と、何の気なしにエスカレーターに乗る。

何気なく隣りの下りエスカレーターに目をやり、そのまま上の階に目をやる。
1秒くらい経って「あれ?」ともう一度、下りエスカレーターに目をやると、
さっきも視界にいたショートでふわふわっした髪の女性がこちらを見ている。
(あーーーーーーーーーーー!!)
知っている顔だ、間違いない、笑顔で手を振る。

先に気付いたのは向こうで、振り返らないかな、と待っていたそうだ。
私が振り向いて気付くか気付かないかくらいで、笑顔で手を振ってくれた。

彼女は下の階に辿り着くなり、そっちに上がっていってもいい?
というしぐさをしたので、おいでおいで!としぐさで返す。

当時、下の息子を妊娠中にいろいろと仕事を手伝ってもらっていたことがある。

「びっくりしたー!すぐわからなかったよ。」
「振り向いてくれなかったらって駄目ってことだって思ってた。」>彼女
「すぐわかったの?」>私
「相変わらず綺麗だから(すぐわかったよ)。」>彼女
「またまたー。」>私

「時間あるの?」>私
「うん、大丈夫」>彼女
「お茶する?」>私
「いいよ。」>彼女
「ご飯食べた?」>私
「ううん、まだ。」>彼女
「じゃ、何か食べる?」>私
「うん。」>彼女

ホントにホントに、びっくりした。


今、ホームヘルパーの仕事をしていて、今日はたまたま仕事先のおばあちゃんが骨折して仕事がなくなってしまったそうだ。
誰かとお茶でもしたい、そう思っていたそうだ。

たまたま仕事がなくなって、たまたま仕方なしにKEIKYUをぶらぶらしていた彼女。
私も行くはずの婦人科の先生が亡くなっていて診察を受けられず、たまたまイトーヨーカドー→KEIKYUと来たのだ。
数秒でもズレていたら、二人は出会わなかった。

もう何年も会ってない相手とたまたま会ったのだ。
もし私が下りのエスカレーターを見なければ、
もし彼女が上りのエスカレーターを見なければ、
二人は気付かずすれ違っていたはず。

5Fの喫茶店でランチを食べることにした。

何から話していいのかわからない。
本当はお互いいっぱい聞きたいことがあったのかもしれない。
いっぱい話したいことがあったのかもしれないけど、
驚きの方がいっぱいで、近況報告にとどまった。

時間になって、私は電車、彼女はバイクで帰るということで別れる時、
「また機会があったら声かけるね。一緒に仕事しよう。」
と言った。

彼女は、
「会えてよかった。過去に嫌な思いをさせちゃったから。」
と言った。


そういえば私は彼女から避けられていたっけ。
彼女は私の仕事を手伝ってくれていたけど、その仕事に興味がないから、と、言って去っていったのに、ノウハウそっくり持っていかれて、自分でやり始めていたのだ。
周りの知人は、てっきり私も一緒にやっているものだと思ったらしく、いろいろ私に聞いてきて初めて知った。
その後、店を開いたことも、移転したことも、閉店したこともすべて人づてに聞くこととなった。

「知ってるんでしょ?」
「うん、知ってたよ。」

今までの付き合いからいって、こういう場合、周りから聞くより本人から直接それなりの報告があってもおかしくはない。
彼女はそれを避けたのだ。

もしかしたら、私に顔向けできない、そう思っているのかな? そう感じるようにもなっていった。
ある日私が問うと、私の思いやりのなさが、彼女を傷つけていたらしく、それが嫌なんだ、と言われた。

その後も、私は仕事という口実で、時々コンタクトを取ったりしていた。こちらから連絡すれば笑顔で対応もしてくれていた。

そう、そんなこともあったんだよ。

彼女が言ったこと、
「会えてよかった。過去に嫌な思いをさせちゃったから。」
と、過去のことがすぐには結びつかなかった。

いろんな感情があったことは確かだ。

「そう思ってるんだ。」
何気にそう口にしていた。

そう思ってくれていたんだ。
今までつかえていたものが、はがれ落ちていく気がした。


よそよそしい態度が、もしかしたらそういう風に思ってのことじゃないかと、思ってはいた。
でも、改めて言葉で言われて受け入れられたような気がした。

「もう40(才)になっちゃった。」
そう言って笑ってる彼女の笑顔が眩しかった。
ごたごたする以前の彼女を見ているようだったから。

彼女は言ってたんだ。
初めて会った時に、
「自分の店を持ちたい。」
って。
彼女は夢を叶えたんだもん。
すごいことだよ。

私がボーっとして過ごしている間、彼女はまた新しい仕事をするために資格を取って頑張っていたんだ。
会わなくなってから、彼女が二人目を妊娠したことを聞いた。
「生まれたんだってよ。」
知人から聞いていた。
何度か店の前を、自転車では通り過ぎていた。
ベビーカーに生まれたばかりのちっちゃな赤ちゃんを寝かせ、品物の整理をしていたり、お客さんと話していたりする姿を見かけたりしてた。
でも、声はかけなかった。
頑張ってるんだ、そう思うと嬉しかった、ただそれだけだった。
きっと彼女は私に会いたくないに違いない、そう思うようになってたし。

「会えてよかった。過去に嫌な思いをさせちゃったから。」

その言葉が頭の中で繰り返している。
彼女と別れてからもその言葉が繰り返し繰り返し頭の中で響いている。

いろんなことがあった。
彼女に限らず、いろんなことがあった。
いろんな感情があふれてきてたまらなくなった。

「ねえ、赤ちゃん、もういくつになったの?」
「3歳だよ。」

えーーーーーっ!!
あれから3年も経ってるんだ。


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