|
|
■■■
■■
■ 「さよなら」すら言えない。
一人で哀しい思いにさいなまれるのは、 もう、おしまいにしようと思う。 携帯電話の着信履歴が気になったり、 ネットを繋げては彼のICQが立ち上がるのを待ったり、 あり得ないことと知りつつも、メールチェックをしたり。 恋は終わってしまった。 それも、自分から、自分すら気がつかないうちに、 体ではなく、唇から先に、彼に別れを告げていたのだ。 キスを全くしなくなっていたわけではないけれど、 セックスに熱を上げるのに夢中で、あたし達はキスを忘れてしまっていたぐらい。 「キスは好きな人としかしない。唇には信実が宿るから、ね。」 そう信じてやまなかったあたしは、今になって自分の信念の残酷さを知る。 会いたいときに会えないと言えない人、 声を聞きたいときに、電話すらできない人、 言いたいことすら、遠慮して言えない人、 思い出になるプレゼントの一つも、 写真の一枚も、残らなかった人、 そして、あたしが一番愛した人。 どんなに、なおざりにされても、 どんなに、都合良くあしらわれていると客観視できても、 それでも、愛し続けた人。 もう、さよならと言うことすらできないぐらい、 遠くへ隔たってしまった人。 不倫は、毒のある恋愛だと言った作家がいたけれど、 その人はこうも言った。 不倫は、純愛である、と。 二年がかりの毒のある純愛は、やっぱり、、、、定石どおりに終わるようです。 あたしは、また、違う人と出会って、キスができるのだろうか、 あたしは、彼を、恨まないで生きていけるだろうか、 彼は、あたしを一瞬でも愛していたのだろうか、、、、。 答えのない問いばかりくり返して、途方に暮れるばかり。
2001年01月10日(水)
|
|
|