Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2019年10月08日(火) |
#1639 『橋爪亮督|中村真/プレイ・スタンダーズ Vol.1』 |
ふたりの奏者のそれぞれ最良の資質が出会った作品だと思う、
#1639 『橋爪亮督|中村真/プレイ・スタンダーズ Vol.1』 『Ryosuke Hashizume | Makoto Nakamura / Play Standards Vol 1』
text by Masanori Tada 多田雅範
にはたづみレコード NRCD0010 \2500(税込)
橋爪亮督 (ts) 中村真 (p)
01.The masquerade is over 02.You are my everything 03.What is this thing called love? 04.The night we called it a day 05.Liebeslied 06.The song is you 07.It never entered my mind 08.I concentrate on you 09.Last night when we were young 10.Blackberry winter
Recorded at SOUND OF ART, February 25, 2019 Recording and Mastering Engineer: kazuhiro Kobushi (WAON Records) Piano technician: Makoto Kano (ALT NEU Artistservice) Produced by Ryosuke Hashizume and Makoto Nakamura Executive producer: Makoto Nakamura(にはたづみレコード)
深く、スローに、いい感じで、吹いてみました、弾いてみました、然としている、
聴いたことのない水準の録音に出会ったので、書きますと編集部にねじ込んだまではよかったものの、タダマス現代ジャズECM越境はぐれリスナーが、ジャズの王道、デュオ・アルバムに、スタンダーズ集に対してレビュー、何をか書けるものかいね、
そしてそれは残像のようでもある、渋谷毅がとなりにいるようでもある、
tactile sounds vol. 14 綜合藝術茶房 喫茶茶会記 2014-02-24 https://toomuch1.hatenadiary.org/entry/20140224/1393244818 このブログ記事のときにわたしは聴いていた、
「tactile sounds 14 で橋爪亮督・森重靖宗と共演していた中村真のピアノの強度が忘れられない、逸材を通り越してる、ううむ、イーストワークスからピアノソロ3枚CDが出ていて、どれも素晴らしいんだなこれが、ジャズピアノっぽくも甘くもシャープでもなく、指がこたえを知っているような、正攻法を極め過ぎる!、いや、普通に聴こえるだろう?「そのように」弾いているのだから、トーマスモーガンと何喰わぬ顔で共演させてみたい、おいアイヒャー、」2016.10.17わたしのブログ
tactile soundsはジャズ批評家・益子博之が橋爪亮督をメインに据えて企画されていたライブ・シリーズで、橋爪はマーク・ターナーやブラッド・メルドーと同じ世代の感覚を持つサックス奏者として彼のグループをはじめわたしも注目し続けている存在だ、そういえばこないだ米澤恵実・橋爪亮督・市野元彦のライブ(世界に誇るべきすごいメンツだ)で「今日は、いい感じで、やります」とアナウンスされていたのだ、それはもう浮遊感をデフォルトにしたインタープレイと記せばいいのだろうか、その境地は正しく21世紀的な身体のありようだし、世代的に新しい種族の感覚だ、
このデュオ録音を聴いていると、わたしが偉そうに能書き垂れている押しももちろんそうなんですけどねたださんと言われそうだが、そうさな、菅原洋一が『スーパー・コレクション〜AMOR/初恋』2007でサザンの「TSUNAMI」をカバーした、桑田佳祐が歌うオリジナルを越えてしまう歌唱、に、匹敵するスタンダード・ナンバーの“いい感じ”を更新していると言ってみたい、いや、これを言いたくてレビューしているのではないか、
デュオというと名手チャーリー・ヘイデンの録音はすべてコンプリート耳コピーしているが、どうよ、この橋爪〜中村の演奏は、この達観、佇まい、ジャズ史のみんなに問いただしたい、わかるかおまえ、
35年経ってスタンダーズ・キース・ジャレットをバッサリ斬ってしまう録音を日本の自主レーベルが成し遂げている、紛れもない傑作に立ち会っている、さらばジャズと言おう、那須塩原の山荘で大きめのスピーカーで鳴らすと風景の中にそのまま溶けるように音は自然と同化するのだった、風土の中でのこのようなありようを感じてしまうと、遠い国で奏でられた技巧押し出しジャズの艶やかさははしたないばかりであり、
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